#159 会話のレイヤを合わせる難しさ24/5/3
みなさん、こんにちは。
今日は、対話・会話のレイヤについてを考えます。
コミュニケーションは幅広いテーマであることは、何度かエントリにしてきたとおりです。その中でも今回は、レイヤ(位相)を合わせることについてフォーカスして考えてみます。
「その認識はなかった」
「そういう理解ではなかった」
コミュニケーションのずれは、仕事にとどまらず日常的によく起きることです。そして、そのちょっとしたズレが積み重なり、人間関係にも影響を与えることがしばしばあります。仕事の成果にも影響力の強い要素だと考えます。
たとえば、先日、昨年1年間の採用活動を振り返るチーム内のディスカッションをして報告をまとめることがありました。主担当のあるチームメンバーがたたき台を作り、それをもとにチーム数名で意見交換をする1回目の打ち合わせを行ないました。そのときに、会話のレイヤを合わせることが改めて難しいと感じました。
そのチームメンバーが一度たたき台の報告内容を通しでプレゼンテーションしてくれました。
聞き終えてわたしは、全体感がわからないなぁ、が率直な感想でした。
なぜなら、ページごとの報告コンテンツとメッセージが単一バラバラに感じられたからです。各ページごとの、採用活動の単一プロセスごとの、枝葉末節をそれぞれ拾っていました。その意味では解像度が高いと言うこともできます。
一方、年間の採用活動を振り返っての、考察や示唆だしと考えると、大きな木の幹が見えないことが、全体が見えないと感じた理由と考えています。
その事業部門の求人、リクルーティングについて、来期に続く主たる課題はどんなことがあげられるのか抽出し、そして幹としてメッセージするのか、を立てることです。
このときに、会話のレイヤを合わせることが難しい感覚を持ちます。いってみれば、具体と抽象の程度感を合わせることです。
具体は、先の枝葉末節論でまだ相対的な難易度は容易です。それでも、具体を押さえたときに、レイヤ1の課題、ともすれば減少として起きていること、たとえば受注率が低い、リードタイムが長いとの数値の大小だけを捉えて問題だ、と捉えてしまうことです。
その現象として現れた絶対値が「なぜ」問題だと考えるのか、ここに思考が至らず、表層の現象数値だけで物事を捉えてしまう傾向にあります。このことを理解することの意味での、レイヤを合わせることの難しさがその1です。
次に、抽象化です。こちらがより難易度も高く、上達するには時間もパワーも要します。
抽象化とは、本質を抜き出す、ことと考えます。本質を抜き出す方法は大きく2つあると考えています。
1つは、具体の積み上げから、共通項や類型的な要素を紡ぎだす方法です。帰納法のアプローチです。どれだけ具体を、解像度高く、ある程度のバリエーションと総量を積み上げられるか、がキーファクターと考えます。
もう1つは、余計なものをそぎ落とすことです。
余計とは、たとえば人格やスキルの属人的な要素、その瞬間だけに起きたた要素、間接的には影響している要素、と考えます。この真鍮削り出しのような作業を通じて、残った要素=不変的なもの、と捉え、それが本質だと捉えるようなアプローチと考え方です。
こうして抽象化できたらよいのですが、この作業に頭が回らず、レイヤ1の抽象化・本質でモノを言った場合、会話のレイヤが合わないと感じる難しさと考えています。
そして最後の難しさが、メッセージです。
抽象化もまずまず上手にできたとして、最後に、それを相手に伝わるように、相手の心を動かすような、メッセージを作ることができるか、です。
このメッセージづくりが最大の抽象化とも言えます。
言い換えると、コンセプトをどんなメッセージに乗せるかです。積み上げた具体の共通項と、余計なものを削いで浮かび上がった本質を、コンセプトにまとめます。
誰に、どんな喜びをもたらすものなのか、をその誰の今の不便・不快に即して捉える必要があります、それをわかりやすい、易しい言葉を、選択できるか、のセンスが求められます。
このように、会話のレイヤが合うとは相当に困難な作業です。
ですから、まずこうしたレイヤの違いがあり、それをどう埋めるか、上位者のほうが特に認識したうえで、近づけることにパワーを割くのだと考えます。
みなさんは、どのように、会話・対話のレイヤの違いを感じられますか。
それでは、また。
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