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#12 キャリア戦略には人事制度を攻略する 23/12/8

みなさん、こんにちは。
経営人事の背骨、人事制度を取り上げてみます。

ここで言う人事制度は、等級・評価・報酬制度の範囲を指します。人事基幹制度と言って、人事規程・規則と使い分けることもあります。基幹の言葉どおり、実は人事制度には従業員にとってルール以上の、価値ある情報が山盛りです。

しかしながら、それを読み解いている従業員は少数、加えて人事部門が従業員に対して、価値ある情報に咀嚼し伝えられているケースはかなり少数、が実態です。もっと言うと、決まりごと・ルール以上の価値がある、と理解している人事担当者もまた少数と考えます(この問題は、また別に書きたいと思います)。

では、なぜ価値があるのでしょうか。
その次に、どの情報をどう読み解くのか示します。

まず、なぜ価値があるのでしょうか。

生々しくいうと、その会社が評価する仕事や仕事の仕方が露わになっているから、です。上品にいえば、その会社がなってほしい、理想の人材像が表現されているから、です。そして、それは自分がその企業で活躍するための、あるいはキャリア(金銭報酬含む)獲得の、戦略を考える上で使えるからです。


では、どの情報を、どのように読解するか、です。

ひとつめは、等級制度です。人事制度の背骨中の背骨、ともいえます。
教科書的には、社員の格付け・ランク表です。
攻略法的には、仕事の台本と配役、です。

等級の数とその要件には、その企業が、従業員の活躍イメージを発達段階に応じた期待に変換して示しています。

期待はいわば、その企業の仕事の仕方=規定演技です。抽象化して、もっとも包括的に一言に表現されたりします。これでは実用に耐えませんから、もう一方で分解もされます。規定演技の台本であり、配役です。

顧客やマーケット、自社、社会に対する、
・役割と責任の広さ
・専門分野の深さ
・成果や生産性貢献の大きさ
・価値観の方向感

多くの場合、いくつかの要素にわけて示されています。そして成長の発達段階を階層化し、数段階から数十段階にまで(企業によってかなり異なる)ランク設計されています。

ですから、これを仕事シーン、プロジェクトの中で、上手に演じ切ることが、その企業で活躍社員と認められ、キャリア獲得につながっていきます(※演じる、の表現はあくまでも比喩です)。

もちろん、等級要件はそれでもなお抽象度がそこそこに高い表現です。MBO(目標設定)や上長との面談を通じて、どんな役を、どのように演じると良いか、自由演技としてプランを決めていくことが次に必要です。


まとめます。
自分に求められる規定演技は何か(等級制度)、どんな配役(等級ランク)を演じるのか、台本に基づき、どんな台詞や立ち回りを実演するのか(等級要件)、これらを理解し、その役を演じ切ります。

ふたつ目に、評価制度です。
教科書的には、従業員を何で査定するか。
攻略法的には、その企業が何を価値としているか。

評価は、大別して2つ程度の内容に基づくことが多いです。
・業績や成果のアウトプット
・行動そのものや、バリュー行動、価値観の発揮
・スキルや知識の保有
などが挙げられます。

これらは、企業が何に価値を強く認めているか、を示しています。ですから、これを頭に入れて、体重の乗せ方を適切に合わせていくことです。とりわけ保有能力、行動発揮、アウトプットのいずれなのかを理解しないと、自分の得意不得意によって影響が大きいところです。

それから、評価項目が報酬のどこにつながっているのか、です。
これも、理解していないと、得たい報酬が得られず、ちぐはぐな結果になってしまいます。自分の所属企業が、何を価値の重きにおいているのか、確かめてみることをおすすめします。


最後に報酬制度です。

等級や評価の価値を、お金のものさしで表したものです。従業員個人としては、最も気になる制度でしょう。等級制度との接続では、ランクごとに基本給や年収が定められ、どのくらいの時間軸で、どのランクまでいきたいか、などキャリア獲得の目安に使えます。評価制度との接続では、どんな評価を、どれくらいの早さで獲得していくと、自分の報酬がどれくらいのになるのか、金銭面からのキャリアプランの強い味方になります。

さて、人事制度をどう使いこなすか、参考になれば幸いです。
それでは、また

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