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#107 人事は組織カルチャーのアンラーンを支援する【1/2】24/3/12

みなさん、こんにちは。
今日は、現場の組織カルチャーをアップデートすることを、考えてみます。

先日、ある事業責任者から相談を受けました。

「来年以降を見据えて、部長・課長を集めて、自組織に対する課題感の認識を議論して共通理解を持ちたいと考えてるんです。それで、人事にも入って欲しいと思っています。というのは、ここ1年弱の間、退職対策に始まり、いろんな会話を人事のみんなと続けさせてもらって、気づきがたくさんあったから。部長以下の管理職メンバーにもとも共有し波及したいなと思って」。

このような内容でした。
もちろん前向きに、ぜひ、と回答をしました。人事冥利に尽きるなと考えています。
この事業責任者の「人事に入ってもらいたい」を咀嚼すると、組織文化を更新・転換する必要がある、そのときに第三者から見えている景色と問いを部長や課長に投げかけてほしい、と考えたことだと推し量ります。
なぜなら、事業責任者は彼ら彼女らの上長であり、人事権を持っているからです。つまり、インビジブルな権力構造があるから、どんなに心理的安全性があっても、意見をためらいます。ですから、第三者、組織内第三者が必要と考えてのお声がけと考えています。
では、それまでに積み重ねてきた具体の会話の中身や文脈を敷衍してみます。

まず、この事業の特徴がいくつかあります。
1つは、恒常的に人材流動性が高い事業ドメインです。さらに言うと、当社従業員の流動性=退職は、市場のそれよりやや高い状態です。

2つめに、1つ目の理由から、数年にわたり従業員の報酬を市場価値重視で評価付けしてきました。それ自体は、その時の判断として今でも正しかったと思います。
一方、逆を言えば、メンバー個々の発達課題やパフォーマンスに基づく評価をする必要がなかったといえます。あるいは、本来の意味でメンバーの成長に向き合ってこなかったと言えます。よって、根本的にメンバーの成長支援や組織をよくする活動を劣後させてきたと考えます。「市場価値」を体のいいエクスキューズにしてきたと認知することができるかもしれません。

3つめに、2つめとの因果でもありますが、部長や課長、組織のキーマンたちの役職任用を甘く判断してきたことです。それは、この事業ドメインにおける専門性の高さを基準に登用判断を下してきたことです。
自社が部長や課長のミドルマネージャーに求めるリーダーシップや品格などの人材要件よりも、自社の価値観よりも、事業部門の都合に偏りすぎたことです。この点は、わたし自身も適切にけん制することができなかった自責の念を大いに感じています。

こうして3つの大きな理由を俯瞰してみると、「この事業ドメインはそういうものだ」とライン組織の面々も、そしてわたしたち人事も、「空気を読んだ」「わかった気になった」と振り返ることができます。
もっと言えば、わたしたち人事は、この事業ドメインを難しいものだと、本質的な課題を理解することを敬遠してきたのだ、と捉えました。組織内の第三者、組織内コンサルタントとして、バリューを出さずに、数年もやり過ごしてしまった大過だと強烈に反省しました。

本題に行く前に、前口上が長くなりました。
要するに、この事業部門は、緩いマネジメントをしてきたと考えます。ノーマネージとまでは言いませんが、偏った事業運営だったと省察します。
それは事業責任者層の幹部も人事部門も、です。過去数年をスコープに、広い視野と時間軸を眺めに捉えてリフレーミングしたときに、です。

この緩い事業マネジメントに事業責任者自身が気づき、「組織カルチャーを転換する必要がある」と考えたのでしょう。それは上に挙げたような事業の特徴を暗に捉えていることかもしれませんし、わたしたち人事部門とのセッションを通じてかもしれません。

いずれにしても、現在の組織カルチャーを変えていく、アップデートしていく問題意識を両者が認識できたことは好材料です。

少し長くなりましたので、次回に本題に踏み込んでいきます。
みなさんは、組織課題をどんな仕組みを持って捉えるようにされていらっしゃいますか。
それでは、また。

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