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#253 表層的なスキルは陳腐化する 24/10/9

こんにちは。
今日は、スキルの習得(マスタリング)と規範の学習(ラーニング)を考えます。

考えるきっかけは、前回同様に中期経営計画を検討議論していた中でのディスカッションを通じて、引っ掛かりを覚えたことです。

これからの3~5年の時間軸で事業として何に取り組むか、それによって組織としてどんなケイパビリティを実装していくか、それを分解していくと従業員1人ひとりがどのように成長・学習していくか、と分解されていきます。

そのときに、経営チームでディスカッションされていたことが、「○○の分野に参入する」「△△のテクノロジーを活用する」です。それによって、「従業員に○○の知識や△△のスキルの育成・トレーニングを行なう」でした。レイヤー1の一義的には、間違っていないですから、その通りです。

しかし、そのある一定期間(瞬間)に旬なスキルは、持っても3年程度です。つまり、2~3年単位で、流行の技術や、盛り上がる市場は変化します。その都度、それに合わせた知見をキャッチアップしていくことは必然です。むしろ、それはしないとおいていかれます。ですが、そこにだけ、あるいはそこを中核に人材育成をしていくと、いつまでも競争優位となる違い・差分を作ることはできません。なぜなら、競合企業も同じ考えで実行するからです。この点が、シンプルですが、見落としがちな重要論点と考えます。

少し話は逸れますが、この論点を別の例でたとえてみます。
採用活動が上手く進捗しないときに、もっと応募者を増やす、母集団形成が課題です、とすることが多く見られます。そのときに、ターゲットをAから、B・C・Dまで広げます、と要件緩和・拡大することが打ち手になります。そうすると、一見、母集団形成のターゲットを緩和したから、応募者が拡大するように見えます。ですが、この方法論はあまり上手く状況を間然することがありません。

なぜなら、ターゲットを広げれば、その市場で競合する相手が増えるからです。Aの市場だけだったら、主たるプレイヤーは10社だったのが、ABCD市場に広げれば、30社プレイヤーがいる、となるからです。このターゲット緩和が陥る罠は、自社しか考えていないことです。これが盲点です。言われてみれば単純なことですが、盲目的になってしまうケースが本当に多くあります。

さて、話を戻します。
スキルの習得、マスタリングの世界で事業運営、従業員教育をし続けると、この罠にはまります。

もう1つの罠は、新しい業界やテクノロジーの知識や取扱方法のHOWを習得しても、実は今までの仕事での実用・利活用方法がまったく異なることがあります。たとえばガラケーからスマホになったら、世界観が変わるようなことです。ですから、表層的に知識やマニュアル的な使い方だけをキャッチアップしたとして、立ちいかなくなります。

そこで、これまでの世界観、すなわち規範やマインドセット、実用としての使い方・利活用の仕方をアップデートしたり、入れ替えたりすることが必要です。セットアップのし直しです。学習的にいうと、アンラーニングです。

そのこれまでの利活用方法や規範をアンラーニングし、新たなそれらを取り入れることをラーニングする、これが根本的な人材育成、成長・学習と考えます。

ですから、中期経営計画のミドルレンジで考える際も、足元で予測外のトラブルに見舞われた時にも、これまで使ってきた無自覚的な規範を一度静観し、セットアップし直すことが成長の根幹であり、競争優位の違いを作るものと考えます。

表層的なスキルの習得ではなく、それを動かしている規範やマインドセットのアンラーニングと新しい規範の取り換えを想起し、従業員育成を考える志向に立ちたいと考えます。

さて、みなさんがこれまでの規範的なことを取り換えた経験はいつですか。
それでは、また。

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