ファイナンス(企業財務)の基本⑬:「デットとエクイティ」について、まとめてみた

前回は、「資本コスト」を少し詳しくご紹介しました。
今回は、「資本コスト」に関連して「デットとエクイティ」について、まとめてみたいと思います。

まずは、前回のおさらいです。

資本コストの中身(前回のおさらい)

企業の資金調達は「有利子負債(デット)」と「株主資本(エクイティ)」に分けられます。

そして、ぞれぞれの調達資金に対する、投資家側の期待リターンが「資本コスト」となります。

  • デットの場合の資本コストは、銀行などが要求する金利の支払い

  • エクイティの場合の資本コストは、株主が期待するインカム・ゲイン(配当)と値上がり益(キャピタル・ゲイン)

デットの調達コストを利回りでrD[%]、エクイティの調達コストをrE[%]と表し、 rDとrEをデットとエクイティの量に応じて平均(加重平均)すれば、企業が全体として投資家から負っている「資本コスト」を求めることができます。

このコストのことを「加重平均資本コスト(WACC:Weighted Average Cost of Capital)」と呼びます(ワックと呼ぶことが多いです)

今回は、「デットとエクイティ」について、その特徴を書いていきたいと思います。

デットとエクイティの特徴

デットは、元本の返済や利払いが約束されており、それは倒産しない限り、業績にかかわらず一定です。

すなわち、デットで期待されるのは「ローリスク・ローリターン」です。

一方、エクイティは、業績が良ければそれだけ大きなキャピタルゲイン(配当)が期待できますが、業績が悪くなると配当も無くなるばかりでなく、株価の値下がりによる損失の可能性があります(ただし、いくら株価が下がっても、逆にお金が取られることはありません)。

すなわち、エクイティで期待されるのは「ハイリスク・ハイリターン」です。

最悪、企業が倒産した場合、元本が保護される順番は、デットの方がエクイティよりも先です。 よって、実務的にはたいていの場合、デットの方がエクイティよりも低リスク(その代わりリタ ーンの幅も小さい)であり、デットの調達コストはエクイティの調達コストよりも低いです。

デットとエクイティの違いでもう1つ大きいものは、企業のキャッシュフローへの影響度です。

エクイティはいったん株式を発行して投資家からの出資という形で調達してしまえば、キャッシュ・アウトは毎期の配当に限られます。投資家同士が株式の売買をすることはありますが、これは株式発行企業のキャッシュフローには影響しません。業績が悪化した場合は、配当を止めることも可能です。

一方、デットは多くの場合、返済期限が定まっており、調達したキャッシュはどこかのタイミング で返済する必要があります

業績が順調なときは、返済のタイミングに合わせて新規に借入れを行い、結果としてキャッシュ・アウトを抑えることができますが、前述のように投資家からはデットの方が低リスクと見なされていますから、業績が悪化すると新規借入れが難しくなり、一方で、返済は契約通り迫られるという状況に陥ります。

額が小さければ営業活動からのキャッシュ・インなどでカバーすることもできますが、額が大きくなるほど、それも困難になっていきます。

すなわち、デットを一定金額以上に増やすと、業績が悪化したときに破綻に至る可能性が増すということです。この辺りを定量的に示す経営指標が、インタレスト・カバレッジレシオです(下リンク参照)。

最後に、経営者から見たデットによる調達と、エクイティによる調達のメリット・デメリットを下表にまとめます。

デットとエクイティのメリット・デメリット

今回は、ここまでにします。
次回、事業(企業)価値評価について、一旦、まとめたいと思います。

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