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アカウンティング(企業会計)の基本⑨:「経営指標」の理解は、こんなに簡単だった

前回は、「指標分析」について、中身に入る前の前置きを書きました。
今回は、「指標分析」についていよいよその中身を書いていきたいと思います。

指標分析の5つの観点

前回もちらっと記載した内容となりますが、指標分析では、以下の5つの観点でみていきます。

  • 成長性

  • 収益性

  • 効率性

  • 安全性

  • 総合力

以下、1つずつみていきたいと思います。

成長性

「成長性」をみると、企業がある期間に、どれくらい事業規模を拡大したか?を測ることができます。

成長率の指標

「成長性」を表す具体的指標には、様々な種類がありますが、ほぼすべて、上の式で表すことができます。「成長性」の代表的な指標は、以下の通りです。

  • 売上高成長率

  • 総資産成長率

収益性

「収益性」をみると、売上高に対して、各活動で、どのような利益が生まれているのか?がわかります。売上高に対しての利益の割合で表すことで、企業が利益を上げやすいか、どこで利益を上げているかなどの「収益構造上の特徴」を把握することができます。

収益性の指標

「収益性」を表す具体的指標には、様々な種類がありますが、ほぼすべて、上の式で表すことができます。「収益性」の代表的な指標は、以下の通りです。

  • 売上高総利益率

  • 売上高営業利益率

  • 売上高経常利益率

  • 売上高当期純利益率

効率性

「効率性」をみると、どれだけ少ない資金で多くの売上高(販売量)を獲得できているか?がわかります。「効率性」に関しては、一般式で捉えると個人的にはわかりにくいため、あえて、代表的な具体指標を個別に紹介していきます。

総資産回転率
総資産回転率は、企業の資産をどの程度効率的に使って売上に結び付けているのか?を示す比率です。
総資産回転率が高いほど、資産を効率的に使って売上を上げていることを示しています。

総資産回転率

売上債権回転率
売上債権回転率は、会社の売上債権(売掛金や受取手形、決算書の注記欄の受取手形割引高)をどの程度効率的に管理しているのか?を示す比率です。
売上債権回転率が高いほど、回収が短期間でなされていることを意味しています。

売上債権回転率

たな卸資産回転率
たな卸資産回転率は、会社が必要最小限のたな卸資産(商品、製品、原材料、仕掛品、貯蔵品等)により、売上高を実現したか?を示す比率です。
たな卸資産回転率が高いほど、たな卸資産が効率的に売上に結びついたことを示します。

たな卸資産回転率

仕入債務回転率
仕入債務回転率は、会社の仕入債務(買掛金、支払手形、決算書注記欄の受取手形譲渡高)がどの程度効率に管理されているか?を示す比率です。
仕入債務回転率が高いほど、支払が短期間でなされていることを示します。

仕入債務回転率

また、上で紹介した「効率性の指標」は、「○○率(%)」ではなく「○○期間(日数)」で表すこともできます。ただ、それも併せて書くと「混乱させてしまう可能性がある&表現の問題である」ため、ここでは書きません。

安全性

「安全性」をみると、債権者に対する支払能力が十分かどうか?がわかります。
「安全性」についても代表的な具体指標を、個別に紹介していきます。

自己資本比率
自己資本比率は、返済義務のない資金の割合を示します。逆にいうと、借金(負債)の割合が高過ぎないか?を示します。
なお、自己資本とは、「純資産の部合計ー新株予約権ー非支配株主持分」で計算されます。

自己資本比率

インタレスト・カバレッジ・レシオ(ICR)
インタレスト・カバレッジ・レイオ(ICR)は、どのくらい負債を負担できるのか?を示します。この指標が1.0以下であると、負債の利息支払いができない事態(すなわち、不渡り)が発生する可能性ありのため、非常にまずいです。ICRは3.0以上が理想とのことです。

インタレスト・カバレッジ・レイオ(ICR)

流動比率
流動比率は、会社の短期的な支払能力がどの程度あるか?を示す比率です。
短期間(1 年以内)に支払われる予定の流動負債が、同じく短期間(1年以内)に現金化される予定の流動資産でどの程度カバーされているのかを示します。
日本の上場企業の平均流動比率は、業界により差がありますが、120~130%と言われます。

流動比率

総合力については、次回、書いていこうと思います。

ここまで、各論の話をつらつらと書いてしまったため「これだから、覚えることが多くて、嫌なんだよな・・・」と思われている方もいるかもしれません。

でも、ご安心ください。

次回の総合力のときに、「指標分析の全体を俯瞰した、纏めのような考え方」も紹介します。その考え方だけ押さえて、個別の指標については、必要なときにネット検索して、情報を拾ってくればOKです。

今回は、ここまでにします。
次回、「指標分析:総合力」について、書いていきたいと思います。


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