あなたはまだ、あなたになれる。ー現代におけるコミュニティの意義ー
僕の大好きな諺に、『水を得た魚のよう』というものがある。
【みずをえたうおのよう】
自分に合った活躍の場を得て生き生きとしているさまにいう。
出典:三省堂大辞林 第三版
人には、その人に合った場所が絶対にある。
それは物理的な場所かもしれないし、人との関係かもしれなければ、何かをしているときかもしれない。
これは非常に社会心理学的な考え方で、”自分”とは環境によって規定されているということにほかならない。
人間は、魚が水を得た時のようにその場によって自己が変化するという、極めて流動的な動物である。
例えば、多くの人は同窓会で小学校の時の友達と話している時の”自分”と、家で親と話している時の”自分”、会社で上司と話している時の”自分”はむちゃくちゃに違うはずだ。
(そういえば演劇でも、良い演技だと感じるのは、ここらへんの設計が丁寧なものである)
『本当の”自分”ってどれなんだろう、社会に出てからなんだか本来の”自分”がだせない』
そんな悩みを持ったことがある人は、僕を含めて少なくないと思う。
「マチネの終わりに」の平野啓一郎さんは、この環境によって自分が変わる現象のことを分人主義と呼んでいる。人との関係ごとに分人が現れ、その集合体が自分だと定義している。
先の問いの答えは、月並みになってしまうがそこにいる全てが自分なのである。すべてが自分の”分人”だ。
ただ、分人に特に優劣はないので、その中で居心地の良い自分になれる場所を選んでいけばいいのではないか。2分後に死ぬかもしれないのに、居心地の悪い自分でいることは時間のムダである。
そういう選択を分人、ひいては社会心理学はもたらしてくれる。
ーでは、居心地の良い自分はどうすれば見つかるのだろう?
持続的にそいつを引っ張り出しておくためには?
”水”は意図的に作り出すことが可能なのか?ー
後天的に”水”を得た自分は、その問いに向き合いたくて1年と少し前にコルクラボに所属し始めた。
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コルクラボとは一体何をしているのか
ざっくりいうと、
『コミュニティに関心のある人たちがあつまり、様々な分野からどうそれをプロデュースしていくか学び、実践するコミュニティ』
である。
オーナーである佐渡島さんと同じく、編集を通したファンコミュニティ醸成を目指す方もいれば、関係値深化の知見を営業先で活かすリクルートのトップビジネスマン、医療系コミュニティで研修医の心理的安全を確保する医師までいる。
紹介しはじめるとGW終わるのでどうか割愛させていただきたい。
(『編集とコミュニティ』をお菓子屋さんでの仕事に活かす方のnote
write by サクちゃん @sac_ring)
ラボでは、毎月2回の定例会がある。
ゲストを呼び、コミュニティについての知見を得るゲスト会。
コミュニティは周辺学問が多すぎるので、毎回のゲストが多種多様だ。
(小倉ヒラクさんから『コミュニティと発酵』について学んだときのnote write by とっちー @maliu63)
コミュニティ内で進行しているプロジェクトや部活の状況をシェアするクルー会。
プロジェクト(以下PJ)は様々で、ドラゴン桜2のファンコミュニティ醸成を目指すものもあれば、本の出版自体を作家さんと一緒に目指していくPJもある。
僕はラボ内での合宿などのイベント設計を通して、コミュニティの居場所度合いを上げていくPJのリーダーをしていた。
10名程のチームで、100名程のコミュニティに何度も働きかける経験はとても大変で、でもすごく楽しかった。
部活はもう少しライトで、一緒に痩せるために毎週体重を報告し合うダイエット部や、アイスブレイクをコミュニティ的な観点から再設計し遊び倒すものもある。
ラボの中でも外でも、個人がやりたいことを見つけて、やり倒して、コミュニティの作り方を学んでいく。それがコルクラボだと思っている。
”さらけだす”という文化
外部でラボをおっている方、または新しく入った方は、何故こんなに自分のことを話すのかと不思議に思ってる方もいるかもしれないが、ラボには”さらけだす”文化というのがある。
例えば、ラボ内のオンライン掲示板でも自分のやっていることだったり、考えていることを表明したりしている。
前述の通り、ラボ内にPJや部活が発足していて、専用のslackチャンネル等を通してその中でもさらけだしがよく起きている。
また、最近では感情に自覚的になるために毎週お題が出されて、それを考えながら自分について語ったり。
自分のしたいことは、自分を見つめないと出てこないし、きちんと見つめられていることがおどろくほど少ない事実に気付かされる。
(クルーがお題である 『自分を形作る言葉』を見つめた時のnote write by Dr. ゆうすけ @usksuzuki)
”さらけだす”とは、自分という情報を外部に周知することなので、それが誰かに届いて、反響が生まれて、何倍も良いものになって帰ってくる行為だと思っている。
(コミュニティ自体もこれによって循環して、醸成されてるのだと思う。正解はとくにないので、やってみてから振り返るとそうだったなという感じ)
それが自分にとってクリティカルな情報であればあるほど、他者に届いて、受け入れられて、利益率が高い状態で自分に帰ってくる。受け入れられる工程自体も自分にとってものすごくインパクトの大きいものになりうる。だからみんなちゃんと自分に向き合っているんだと思う。
コミュニティから受ける恩恵の出処
僕が最近”さらけだし”から得た恩恵を伝えたい。
(≒凄まじく嬉しかったので自慢させてください)
「これからのキャリアどうしたらいいんだ・・・」って言ってたら突如としてキャリアサポート飲み会が開かれ、
よく寝る怠惰な自分が、少しPJを頑張っただけでサプライズで動画を作られ歌を歌われ、
「生き辛ぇ・・・」て悩んでたら、僕の人生を周囲がひたすら受け入れて背中を押してくれるという会が出来た。
(サムネイルは倍近く生きてるアニキたちやラボでできた親友に囲まれ、受容される僕である)
ここまで分かりやすく愛されているのは、23年間を振り返ってもそうそうない。
僕がした仕事はさらけ出したことと、ただ日々よく寝てただけである。
人生は摩訶不思議アドベンチャー。
恥を忍んでさらけ出してみるもんである。
(サプライズに関しては美大生が企画して巻き込み、動画編集は電◯のCMプランナーがしてくださったらしい。そのクリエイティビティはどうか社会のために使ってくれと正直思った)
通常、自分のことを話すというのはリスクの塊だ。
何故なら弱みがバレて生存確率が下がるからである。
好きな子を話せば次の日学校で晒し者にされるリスクが急上昇するし、悩みを打ち明ければそこを突かれて壺をかわされるリスクがいつでもつきまとう。
(マッチングアプリだって一番多いのはネットワークビジネス目的らしい。出会いがないという弱みにここぞとばかりにつけこまれる)
特に日本人は国民性から、話しすぎないことを美徳としている。
本音と建前のような極めて訳わからん概念が当然のように社会をはびこっており、幼いころから感情も出しづらい。
ラボが”さらけだし”を可能にしているのは、安全・安心という共通概念のもとで、このリスクが極限まで0に設計されているからである。
(資料はcreated by みーこ)
人は食うことが脅かされていたり、他者から批判を食らいうる状態で自分の好きなことなど見つめづらい(安全の欠如)
おそらく現存する多くのコミュニティでは、”人からどう思われるかわからないから目立つことはしない”といった意志決定が行われている。
また、これから何が起きるかわからないといった不安の中でも同様である(安心の欠如)
”水”を意図的に作りたかった僕が、試行錯誤する中で一番学んだのは、その水を醸成する手前の、安心感という”水を入れるための器の整え方”だった。
水は人それぞれなので設計が非常に難しいが、その前提までならそれほど相違はない。
かつ、器さえしっかり整えられれば自走することも多い。
自分に合った水が溜まっていくようになると、また”自分”が変わってきた。ラボに入ってから今までどれだけ不安に縛られて生きてきたかを思い知ったし、人から受け入れられる自信のない僕には、まだ僕になれる余白が残されていた。
(最近やっと受け入れられた、僕の弱みのさらけ出し)
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コルクラボの行方
現状100名程度のコミュニティを丁寧に暖めているコルクラボは、これから1,000人規模へと拡大フェーズに入る。
器を大きくしながら、水の設計をしていき、オンラインのリアルシムシティを作ろうとしていくのがこれから僕らがしていくことである。
今までしていたオフラインのコミュニケーションはぐっと減るだろうし、ラボの在り方だって革命的に変わっていくから、月額1万円のサービスとして捉えてしまうと、正直クソである。
また、PJを達成することが目的ではなく、コミュニティを醸成していくことが目的なので、他のサロンと全然違い、達成欲求が満たされることだってあまりない。
しかし、今の時代においてこんなに面白いことをしている場所は他にないと思っている。僕らはこの街にいるための税金として、実験代として月額1万円をべットしている。
拡大し終わったあとに見る景色と、その最中で見ていく景色はまるで違う。
僕らはオンライン上で街を作っていく。
今のあなたは、居心地の良い自分を作って行けているだろうか。
(4期生募集は知り合い経由のみとなりますので、連絡いただければ紹介致します!ぜひとも・・・!)
たくや