【Zion】④秘境の地へ
エンジェルス・ランディング・トレイル
を終えた私たちは、
次なるトレイルに向けて話し合いをしていた。
前回のお話が気になる方はこちらから↓
この国立公園には、
The Narrows(ザ・ナローズ)という有名な
リバーウォークのトレイルがある。
川沿いを歩くというよりは
川の中を歩くというスタイルのトレイルだ。
真冬ということもあり、
特別なギアが必要になってくるため、
ザ・ナローズは避けて
別のトレイルを選ぼうということになった。
狸がThe Subway(ザ・サブウェイ)に
行きたいと言い出した。
ザ・サブウェイは秘境の地で、
絶景スポットの1つといわれている。
私たちはその秘境の地を求めて、
許可書を取りにビジターセンターへ行った。
このトレイルは有料のため
2人あわせて$20を支払った。
そして翌日。
秘境の地へ向けて車を走らせた。
どんな秘境なのだろう。
登山口の駐車場には2台しか車が駐車されていない。
人気のトレイルだと聞いていたが、
やはり冬山ではハイカーが少ないのだろう。
歩き出して数十分後。
崖に差し掛かった。
ここから見る風景は絶景だったが、
この崖をダウンハイクしなければならない。
私たちは注意しながら崖を下っていった。
崖を下ると川がそこにあった。
このトレイルは特にトレイルのサイン等は無い。
この川に沿って歩いていくのだ。
所々、川を渡らなければならない場面があって
若干ヒヤヒヤした。
夏ならいいのだが、
真冬の川に落ちて靴とパンツが濡れるのは
絶対に避けたい。
私は上手にハイキングポールを使い、
バランスを取りながら岩から岩へと移った。
誰もいないこのトレイルは静かだった。
私たちの足音、
雪が木から落ちる音、
そして川の流れる音しか聞こえない。
この孤独感が何とも心地が良かった。
目的地近くで1組の若いカップルと
1人で来ていた中国人の男性とすれ違った。
私たちがこのトレイルで会ったのは、
この3人だけだった。
小休止でスナックを食べて回復した私たちは、
軽アイゼンを取り付けて川の中を登っていった。
川の中と言っても5cm~10cmほどである。
なるべく浅い部分を歩いて濡れないように、
そして滑って転げ落ちないように注意して進んだ。
川にはコケがある場所、
段々になっている場所、
小さなプールのように
深くなっている箇所があった。
それらを眺めながら歩いていく。
奥に進んでいくと大きな壁が現れた。
徐々に視界に入る空が狭まっていくのを感じた。
きっとゴールが近い。
そう感じた。
そう思っていると、
大きなトンネルのようなものが見えてきた。
そう、ここが目的地である。
このトンネルのように見えるのが秘境の地なのだ。
確かに地下鉄が通るトンネルのように見える。
もっと先に進めそうだったので、
狸だけ少し先に進んでみた。
だが川の流れが速いのと
水深が更に深くなったため、
これ以上進むのは難しいと断念した。
標高の高い山から見渡す景色に比べたら、
この風景は若干地味に感じたが、
それでもここは秘境の地。
しばらくパシャパシャと
写真や動画撮影をして楽しんだ。
4時には暗くなってきてしまうので、
帰りは急ぎ足で来た道を戻った。
雪の滑り台のようなところを滑って降りていると、
ビリッっと大きな音がした。
何が起こったのかと確認してみると、
どうやら木の枝に引っかかったらしく、
レインパンツのお尻の部分が破けていた。
レインパンツだけで済んだので良かったが、
もしこれでパンツを通り越して
ベースレイヤーまで破れていたら、
情けないお尻を晒しながら
あと2時間歩かなければならない。
不幸中の幸いである。
こうして7時間に渡る
秘境の地への旅を終えた。
もし読者さんで冬にこの場所に
行きたい方がいらっしゃったのなら、
以下の装備をオススメする。
レインジャケット
レインパンツ
ダウンジャケット
ベースレイヤー
冬用のハイキングシューズ
ゲーター
軽アイゼン
ゴアテックスの手袋
ハイキングポール
夏なら濡れてもいいので、
これらは不要だろう。
旅も終盤。
また私と狸は離れ離れになってしまう。
そんなことを考えながら、
私たちはキャンプ場へ戻っていった。
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