フルシロ・ユウ

小説を書いてるただの人。コント台本や楽曲も作ってます。筒井康隆、フィリップ・K・ディッ…

フルシロ・ユウ

小説を書いてるただの人。コント台本や楽曲も作ってます。筒井康隆、フィリップ・K・ディック、藤子・F・不二雄、忌野清志郎、SION、Shady Dolls、バカリズム、ダウ90000等が好き。

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ショートショート「Human-Being?」

「死んでから勝手に伝説にされるのはROCK’N ROLLERではない。生きて歌い続けて、世の中を突き動かすのが本物のROCK’N ROLLERだ。」 誰もが知るロックスター、Steve McClaneの名言だ。 知的学習ドロイドの開発者である私が、ロックスターの名言を語ることに違和感を感じる者もいるだろう。 しかし、そこには大きな意味があるのだ。 彼は27歳の若さでこの世界から消え去った。もう30年も前の話だ。 Steveは頭脳明晰だった。 それまでの、酒に煙草に女にクス

    • 戯曲「リホとアズ」

      【登場人物】 ・里穂 ・梓 クリスマスイブの夕方。 若い女性2人がロープウェイの列に並んでいる。基本的にスマホを見ながら話している。 里穂 「私は生まれ変わっても女でありたいわ」 梓  「え、何急に。」 里穂 「ていうか、ロープウェイ乗り場ってあれやんな?」 梓  「あ、そう、あの駐車場の先の。」 里穂 「90分も並んでなくない?」 梓  「50分くらいやな。やっぱりあの係員のお兄さんわざと長く言ってたんやわ。」 里穂 「まあ、それにしても結構待つけどな。」 梓  「イブ

      • 明日への逃避行 第1話「Lovers sing⑩」

        「ホントにいいんでしょうか?お邪魔してしまって。」 「いいですよ!自分の家だと思ってのんびりして下さい!」 申し訳なさそうな美咲をよそに紗枝はきびきびと動いている。遠慮がちな美咲は彼女の勢いに圧倒されているようだ。 「でも・・・。」 「はい、これ着替え。私のなんですけど着れるかな?美咲さん、背高いですよね~。あ、でもこれ元々オーバーサイズだから大丈夫かも。」 「あ、はい。すみません、色々。」 「気にしない気にしない。で、これが布団ね!母が泊まりに来た時用に買ったんですけど、一

        • 短編小説「ヒーローソングが鳴り止んだ日」

          第一章 戦えスネイクマン 俺の名前は南隼人。交番勤務をしている警察官である。しかし、俺には誰にも知られていないもう一つの姿がある。 バイクで巡回すると、至る所に同じ貼り紙を見る。 『ドラガーを排除せよ!』 龍神ドラガーはこの街に頻繁に現れる巨大怪人だ。市民からはあの怪人を早急に排除して欲しいという声が多数上がっている。 奴はこの街を破壊し、死者行方不明者も多数出ている。今もなおいつ現れるか分からないのだから、市民の声はもっともだ。 ふと右側の電柱を見やると、男がまさに貼

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        ショートショート「Human-Being?」

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        • コント
          2本
        • 連載小説「明日への逃避行」
          10本
        • 短編小説
          5本
        • 5本

        記事

          曲「明日への逃避行」

          Lyrics/Music:古城佑 眩しそうに目を閉じながら 窓の向こう手をかざし 虹掴んだ、そうおどけては シワクチャな顔で笑う 雨に打たれ、雲突き抜けて お前はまだ飛んでゆく 別れ別れてゆく鳥でも 違うようで変わらないだろう Wow we're flying like the grouse 羽根を広げ、逃げ続けよう Wow we're flying like the grouse 明日へ続くから 気だるそうに襟を緩めて 窓の向こう眺めてる 変わるものさ、そう呟いて くたびれた顔で笑う 波にさらされた石を見て お前はただ投げている いびつに転がる石ころも 違うようで変わらないだろう Wow, we are rolling like a stone. 止まれないさ、逃げ続けよう Wow, we are rolling like a stone. 明日へ続くから

          曲「明日への逃避行」

          曲「明日への逃避行」

          明日への逃避行 1話「Lovers sing⑨」

           ゲーセン2階のたまり場にコーヒーの香りが漂っている。信哉の叔父から譲り受けたコーヒーメーカーはズボラな男3人には似つかわしく、普段は埃を被っている。今日は久々の稼働だ。 和樹も翔も、眼の前のソファに腰掛ける美女にかける言葉がなく、沈黙の中でコーヒーメーカーの低い稼働音と豆の香りだけが漂っている。 翔がカップにコーヒーを入れて差し出すと、詩織は小さく会釈し、何かを囁いた。あまりに小さくて聴こえなかったが、状況から考えておそらく「ごめんなさい」と言ったようだ。 「俺らに謝られて

          明日への逃避行 1話「Lovers sing⑨」

          曲「気ままなロックンローラー」

          Lyrics/Music:古城佑 時代を変え、世界を変え 本物のロックンローラー そんな俺は夢の欠片 いつものHard Worker Rush Hour Trainに揺られるEvery Day 昨日の夢、心が揺れ いつかのロックンローラー 聞き飽きてる時代のせい いつものexcuse  Crazy Trainに揺られてnight and day Babe , I want you kiss me all night long Babe , I need you 許しておくれよ 気ままなロックンローラー 今夜はBoogie night 気ままなロックンローラー 眩いMoody light シラケた面とはおさらばするのさ 取り憑かれて、蝕まれて  空虚なロックンローラー こんな俺に目を細める いつかのCrazy boy Long train running 終わっちゃいねぇぜ Babe , I want you kiss me all night long Babe , I need you 許しておくれよ 気ままなロックンローラー 今夜はBoogie night 気ままなロックンローラー 眩いMoody light シラケた面とはおさらばするのさ

          曲「気ままなロックンローラー」

          曲「気ままなロックンローラー」

          曲「Good Boy Boogie」

          Lyrics/Music:古城佑 いつも 引きつり笑顔で 笑う それがお前の心の 鎧 いい歳こいてロックンロール 騒ぐ それはお前の心の ドスかい? 何をそんなに怯えて震えて いつもお前はぎこちなく 笑う 優しさだけがお前の 魅力 ろくに怒りもしないで 逃げる 優しいお前は今日も 無気力 お前はいつも舐められてるだけ どいつもこいつもいっつも 勝手な事を吐かしやがる にっちもさっちも行かねぇ 吐き出す相手もいやしねぇ オイラはブギーをやるしかねぇのさ

          曲「Good Boy Boogie」

          曲「Good Boy Boogie」

          ショートショート「五十男はよく待たれる」

          自宅の電話を見ると、また留守電が入っている。 同じ番号、これで三度目だ。留守電を聞くと、若い男女複数人の声が入っていた。 「おーい!後藤ー!早く来いよ~!盛り上がってるぞー!」 「後藤く〜ん、早く来てね~!」 私は後藤ではない。 飲み会中のようだから、酔って掛け間違いでもしたのだろう。しかし、休日とはいえこんな深夜まで盛り上がれるとは。若さとは偉大だ。 時計の針は23時半を指している。あと30分で、私は五十を迎えるのだ。 妻も子も、友人さえもおらず、一人きりで誕生日を迎えよう

          ショートショート「五十男はよく待たれる」

          戯曲「昨日の夜の話」

          男の一人芝居。 夜の喫茶店にて、向かいの席に座った友人と会話をしている体で進む。 向かいの席には背もたれにコートが掛けられ、足元に鞄が置かれている。 ※以下、セリフは全て男。 すみませーん、ホットコーヒー1つお願いします。 ー店員が離れてから前に向き直る。 前から思うけど、コーヒー1杯250円って安くない?普通500円くらいじゃん。安いなってとこで300円じゃない? あっ分かる!200円じゃないんだよ、250円!あと50円頑張れなかったのかよ!!ってなるよな! ー後

          戯曲「昨日の夜の話」

          曲「群青」

          Lyrics/Music: 古城佑 空を見上げ聴こえてくる 声に耳を貸して あの頃の幼き歌 辿って口ずさんだ 声枯らし叫んでいた お前の声を聴いたさ 干した傘が窓叩いて 静かに息を吐いて 自分だけと思い過ごして耳の中音を上げた 雨染み消えない窓に 映る空を見てる 振り向いたなら 思い出しなよ 前向いたなら 歩き出しなよ 生きてる限り 時は進むさ 今は晴れた 空を待つのさ 悲しいのなら 肩落としなよ 疲れたのなら 足を止めなよ 刹那が全て お前になるさ 今は晴れた 空を待つのさ この空はいつだって変わらない色で お前がその目を開けてさえいれば

          ショートショート 「一生分のラブソングを」

          その瞬間は、思っていたものとは違っていた。 自分の生命なんて普段の生活の中では意識しない。きっとほとんどの人がそうだろう。私だってそうだった。 だから、余命3ヶ月と告げられた瞬間も、私は「へぇ~。」と思った。 余命宣告というと、膝から崩れ落ちるようなショックを想像していたのだが、いざ自分が受けてみると大した感想も出ないものだ。 きっと実感が湧かないからだろう。当たり前にある物がいきなり3ヶ月後に無くなると聞かされても想像がつかない。 しかし、私の横に座ってる彼は私よりは想像力

          ショートショート 「一生分のラブソングを」

          曲「地味で変な奴に捧げるリリックス」

          Lyrics/Music: 古城佑 ドイツコイツも皆 オイラを笑ってケラケラ 顔も名前も知らねぇ どっかの誰かもケラケラ オイラはただ生きてるだけ なのに足引っ張りやがる ふざけんな、舐めんなって 胸ぐらつかんでやりてぇ ただただヘラヘラ笑う事しか俺にはできねぇ 誰かにすがりたくはねぇ、かと言って1人じゃ勝てねぇ 誰かが放った生命さえきっと夕陽の空に溶け込んでいくなら Shalala このメロディ、歌うぜ あの日、放り出し損ねた タマが今もここにある この弾、コルトに込めて 空に向けて弾いてやるさ ROCKはオイラの為に ROLLはお前にやるさ

          曲「地味で変な奴に捧げるリリックス」

          曲「地味で変な奴に捧げるリリックス」

          短編小説「4年のような10日間の恋」

          「もう、同じ日常を繰り返したくなかったの。あなたと付き合えば、何か変わるんじゃないかって、そんな気がしたの。」 彼女は駅のホームのベンチに座り、そう語りかけてきた。 彼女と出会ったのは13日前だ。でも、私には4年くらいの長さに感じられた。 職場の同僚が主催の花見で初めて会った彼女は、少しおどけた時がとても表情豊かで、はにかむ様に笑う笑顔がとても美しかった。人見知りしやすい私も比較的すぐに打ち解けられるほど、彼女は気さくで優しかった。 「じゃあ今年から転職で?」 「はい、今は

          短編小説「4年のような10日間の恋」

          明日への逃避行 1話「Lovers sing⑧」

           高校の頃、私はイジメられていた。何だか自分が惨めに思えるから、当時はイジメられていると認めたくなかったが、今から考えるとはっきりイジメられていた。 理由は分からない。最初は廊下を歩いている時に後ろからクスクスと笑い声が聞こえるだけだった。それも一度も話した事のない違うクラスの女子グループだったから、まさか自分の事を指して笑ってるなんて思ってなかったが、頻繁にその場面に出くわすと流石に気づいてしまう。 「何なん?さっきから。」  流石に変だと思った私は少し剣のある声で訊ねた。

          明日への逃避行 1話「Lovers sing⑧」

          明日への逃避行 1話「Lovers sing⑦」

          神戸三宮・東門街、三宮の山側に位置する歓楽街を信哉は歩いている。信哉のバイト先がある北野坂は異人館街等の観光地の入口である為まだ綺麗さを保っているのに対して、東門街は雑多な飲み屋街で夜は黒服のキャッチが脇で列をなしている。地元で有名な「その筋の人」が絡む店などもあるらしいので普段なら好んで行く事はない。 そんな東門街の北側入口近く、生田神社のすぐ脇に建つ雑居ビルの中にライブハウス『ART STAGE』はあった。 「あー、行きたくねー。」 信哉は1人ボヤきながら雑居ビルに入った

          明日への逃避行 1話「Lovers sing⑦」