rawa

話すのが好きだけど苦手なので、適当に文章を書いています。 詳しくはないけれど、合唱が好…

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話すのが好きだけど苦手なので、適当に文章を書いています。 詳しくはないけれど、合唱が好きです。

マガジン

  • 散文集「コード・コネクト」

    短編のうち、完結した話と世界が繋がっているものを集めています。 繋がっている必要があるものもないものもあるけど、名前や人間関係について唐突感があったらご容赦ください。

  • 小説《神様と11人の私》シリーズ

    繊細で個性的な女の子をはじめとする、変人達のズレた青春の話です。 語り部や時間軸をくるくるしながら、おおよそ一日一話投稿してます。

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あらすじ

連作小説シリーズのあらすじです。 いったん完結してますが、他の短編等も本シリーズと世界観を共有しています。 ①「神様と11人の私」(主役:悠里姫) https://note.com/ra_wa/n/n4bec367bbfd7  繊細で独特の思考回路を持つ中学生の悠里姫(ユウ)は、好きな人が自分の友達に想いを寄せていることを知ってショックを受け、自分の世界に籠るようになる。  ユウは逃避と想像で生み出した理想の男の子『キリ』とのやり取りに溺れながら、そうしている自分を冷や

    • 「神童の小さな冒険」(仮)

      ☆☆ 注意点。 登場人物が過去作品と繋がっているため、単独ではわかりにくい面があります。 そうでなくとも、この話は特にわかりにくい面がありますが、ご容赦ください。 …だってさ。 ☆☆ 《1》 「…んー?」 僕は知らない部屋にいる。 姫ちゃんや、アスちゃんもいなさそうだ。 「あ、ミクちゃん、おはよう」 知らない女の人が、話しかけてきた。 愛おしそうに、僕を見つめている。 「あなた、だあれ?」 「お母さんだよ」 「僕のお母さんは、姫ちゃんだよ」 「前はね。今はちが

      • 「かくれごと」おまけ

        ※※※ 私がいる場所は、本当に正しいのだろうか。 そんなことを考えるような時期は、とっくに過ぎてしまった。 そんな暇がある頃のほうが、正しいに決まっているけど。 大人は正しくなくたって、目の前のことをこなすしかないのだ。 お得意様の鳴海(なるみ)が、じっとりとした目で私をみる。 また下らない話を聞かされるのだろう。 あーあ。 「レイはズルいよ。ねえ、カヨちゃんもそう思うだろ」 「そうだねぇ。まあ、鳴くんは鳴くんで頑張ってるじゃん」 「そんなの、誰だって一緒だろ」 はい

        • 「かくれごと」(5)

          ※※※ 「アスちゃん、これ好きでしょ」 弟のミクに教えられ、私は翠空の新曲を聞く。 歌詞が完全に麻世さんのそれで、笑ってしまった。 ミク風に言えば、におい、だっけか。 彼女はしっかりしてるのに、変に臆病なところがある。 そんな自信のない麻世さんの言葉だから、自信のない私たちに染みてくるのかもしれない。 私も、周りがすごくて萎縮しちゃう気持ちはわかる。 天才なんて言葉は、弟みたいな外れ値か、翠空みたいな有無を言わさないエネルギーにこそふさわしいのだ。 私はお父さんの敦くん

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        あらすじ

        マガジン

        • 散文集「コード・コネクト」
          15本
        • 小説《神様と11人の私》シリーズ
          170本

        記事

          「かくれごと」(4)

          ※※※ 部屋の隅で 悲しい歌に癒されながら数年がたった かくれんぼで 見つけてもらえるときは過ぎたみたいだ いつだって期待して 天井とか窓を見つめてみるけど 何も起こらない 起こさないんだからどうしよもない 同窓会に これなくなる人数が増えるたびに 階段の 踏み外した場所をまた探している 大して悪くない むしろ幸せなこの人生を なんで穴ぼこに感じるのだろう 届かない空に手を伸ばして 肩が外れて転がり落ちた誰かに とても勝ったなんて思えないまま 人並みに愛されて生きてい

          「かくれごと」(4)

          「かくれごと」(3)

          ※※※ 「麻世ちゃん、撫でて」 未来晴くんは、私の膝の上に乗る。 いつものことだけど、この子、反抗期とかないのだろうか。 私がこの子くらいのときって、子供扱いされるのは嫌だった気がするんだけど。 「僕は、ひとりじゃ何も出来ないことを知ってるよ。だから、ひとりになるのはきらい」 …こんな風に、たまに見透かしたようなことを言う。 幼いのか大人びているのか、わからない。 「麻世ちゃん、うた、作って」 頭を撫でられながら、未来晴くんはつぶやく。 「えーと…子守唄?」 幼稚園児

          「かくれごと」(3)

          「かくれごと」(2)

          ※※※ 「麻世さん。新作の原稿、まだ?」 編集者みたいなことを言いながら、明日音(あすね)ちゃんはパソコンを叩いている。 私が趣味でネットに書いた小説を勝手に発掘し、ありがたいことにファンでいてくれる、あの人の娘だ。 顔から火が出るほど恥ずかしかったけど、明日音ちゃんはもっと見せてと言ってくれた。 最初にもらった感想で笑いものにされなかったのは、とても幸せなことだと思う。 それから、崖から飛び降りるつもりで、両親に作品を見せた。 二人ともほほえましいものを見る目で見て

          「かくれごと」(2)

          「かくれごと」(1)

          ※※※ 自分に音楽の才能がないと知ったのは、親戚の発表会だった。 シンおじさんの娘の翠空(みそら)ちゃんがバイオリンを演奏する姿は、普段考えられないくらいとても大きくて。 心が、震えた。 私の一番最初の記憶は、あの人のチェロだ。 特別な皆に愛されて生まれた私は、きっと特別な存在だと思っていた。 だけど、あのとき初めてわかった。 私は、主人公じゃなかったんだ。 ※※※ 「麻世は、将来何になりたい?」 ついに、そんなことを実感をもって聞かれる歳になってしまった。 私

          「かくれごと」(1)

          「スロートラベル」

          ※※※ 小さいころ仲良くしていた《まーちゃん》は、優しくてよく気が付く子だった。引っ込み思案で、仲間に入れないでいた私の手を引いてくれた。 だけどそういう時、周りは私と遊んでるんじゃなく、まーちゃんが連れてきた友達として私を見ていたように思えた。 人気者はいつもまーちゃんだ。 それが、いやだった。 私が転校することになったとき、好きな男の子に後悔のないように告白した。 だけど、彼はまーちゃんが好きだった。知ってたから、いうだけ言って答えも聞かず逃げ出した。 お別れ

          「スロートラベル」

          日記「きょうの長さが変わるとき」

          サザエさん症候群、なんて言葉は、今でも使われているのだろうか。 日曜日の夕方に憂鬱になる、あれだ。 楽しい休日が過ぎて、現実に引き戻されて辛いからそうなるらしいけど、どうも自分にとっては少し違う気がしている。 だらだらと過ごしたあとに夕方の鐘を聞いて、もっと一日をよいものに出来たんじゃないかなんていう、じんわりとした後悔のようなものなの。 あれのせいで、僕は日曜日が嫌いだった。 幸いにも、今のところ仕事はカレンダー通りに休めている。 平日はそこそこ残業もあるし、繁忙期は

          日記「きょうの長さが変わるとき」

          日記「三日後は月曜日」

          節目の挨拶で、お菓子や贈り物をしあう文化が嫌いだ。 元々、職場やらでお菓子を配られること自体が好きではない。乱されたペースの回復と愛想笑いのエネルギーが、そのお菓子からとれるカロリーを上回るように思えてならない。 とはいえ、自分も旅行帰りにお菓子を配る。心苦しさをなくせるのなら安いものだ。 ただ、空箱を片付けるのが面倒だけど。 年度末だ。色々変わる。 挨拶の風景をよくみる。 だけど本当に大切なら、そんな節目など関係なく普段から仲良くしていれば十分だ。 中身のない思い

          日記「三日後は月曜日」

          「ジャンプ」(仮)

          ※※※ 温もりがまた、私を覆いたがっている気がした。 ※※※ あかり姉さんにとって私は、何だったのだろう。 不思議な人だった。 家族でもないし、どこで初めて会ったかも良く覚えてない。 ただ、学校とか家とか、そういうものから外れたところにいる姉さんといると、特別に冒険をしてるような気分になれた。 ランくんという彼氏の話を聞くときくらいしか、表情らしきものは見せなかった。 いつもなんとなく優しそうな顔をしているから、たぶん優しい人なんだろうと思っていた。 私は、姉さん

          「ジャンプ」(仮)

          盗人とスケッチ(仮)

          噂話。 それはどこか、懐かしい響きだ。 ※※※ 俺はとても、運が良いのだと思う。 やりたいこととやるべきことを、世の中が認めてくれるから。 優しい人に囲まれて、生きてきたから。 なにかにちゃんと、出会えたから。 大変なことも多いけど、自分の選んだことだから頑張れる。 面倒なルールは多いけど、何だってそういうものだ。 走ることは好きだけど、球技は苦手だ。 立夏みたいにスポーツ万能なやつは尊敬する。 楽器は好きだけど、歌は苦手だ。 ナオコさんみたく、きれいな声で歌える人

          盗人とスケッチ(仮)

          「石橋と鶴」(単話)

          若いときの苦労は、買ってでもしろと言う。 やらない後悔よりやる後悔、とも。 そんな言葉を聞くたびに、臆病な僕は否定されているように感じる。 黄色信号で立ち止まることは、そんなにいけないことだろうか。 僕の親戚のレイは、インターネットで女の人を引っ掛けてオモチャにしている。信号機が赤になりかけても、躊躇わずアクセルを踏む人だ。 早くバチが当たれば良いと思うけど、僕より人生が楽しそうだ。 あんな奴のほうが、僕より友達が多いことが許せないし。 僕みたいに手のかからない子のほう

          「石橋と鶴」(単話)

          『壇上に立つ』(単話)

          ※※※ 学生時代で一番の思い出は、卒業式だ。 そう聞くと、暗いだなんて笑うだろうか。 まあ、そんな奴がいたって良いじゃないか。 ※※※ 人は、平等であるべきだという。 学校では、いつもそう教わってきた。 だけど将来、俺は人の上に立つだろう。 うちの母親は、いつもそう言っていた。 うちの親は、つまらない会社の社長だ。 跡を継ぐことを願われている。 正直、逃げ出してまでやりたいことはないし。 人にあげるのもなんか嫌だ。 クーデターを内部から潰した功績で、うちの親は成

          『壇上に立つ』(単話)

          「東行西走」

          (関連) (1)森中直子① 私は面倒ごとが嫌いだ。 普通に仲良く過ごしていたいし、特段多くは求めない。 優等生と言われることもあったけど、目の前のことを普通にこなしているだけだ。 妹の葉子の方が、ずっと成績が良いし、モテる。 私が彼女に勝てるのは、バイオリンとお菓子作りの腕前くらい。 ごく普通の、つまらない女の子。 それが、17歳の私、森中直子だ。 だからこそ。 この人たちが、わからない。 「ナオコちゃん、おはよう」 人をどうしようもなく落ち着かなくさせる、うちの部

          「東行西走」