見出し画像

VTuberの引退と「箱」の話

VTuberには「箱」という概念がある。いや、おそらくは「にも」というほうが適切で、出処には明るくないが、アイドルやその手の文化から来たのだと思う。「箱」とはVTuberの所属するグループを指し、特定のVを推すのではなく、或いはだけではなくそのグループ全体をひっくるめて応援することを「箱推し」と言ったりする。これには個人運営しているVがグループを組んだり企業の支援サービスに参加している場合も含まれるが、今回は企業が運営している大型の「箱」、例えば「ホロライブ」や「にじさんじ」といったものについて話をしたい。

今やホロライブは6期生、にじさんじに至っては総勢100名を超える大所帯となっている。そんな中、年を経る毎に少しではあるが引退(或いは卒業とアナウンスされることもある)するライバーも居る。これは仕方のないことだと思っているし、現実的なことを考えれば死ぬまで続けられるVはごく一部だろうし、他にやりたいこと、或いは人生でのイベントに遭遇した際に辞めることもあるだろう。年齢の進行しない形式のライバーなら尚更である。そうでなくとも、業界として衰退期に入ってしまって満足に企業が給金を支払えなくなる、という事態もあり得る。どちらにせよ、右肩上がりで所属ライバーを増やすことは不可能に近い。一方で、新人が入らないことはマンネリ化の原因にもなる。アイドルグループの議論ではこういった形態をを『グループのブランド化」と呼ぶそうだが、大型の「箱」が大型の強みを活かしている以上、何らかの形で「新陳代謝」が必要なわけだ。

これをコンテンツ消費者にどう捉えさせるかというのは難しい問題で、「形式」がきちんとできていないと(実態がどうであれ)毎度のようにイザコザが起きているように見え、或いは「箱」としての清潔感が損なわれる。これは「箱」の求心力の低下に繋がり、その寿命を縮める。勿論、業界の進退とともにある程度の変化は止む終えないが、せめて「健全な感」を出さなければ、安心して安定したカルチャーと呼べない心持ちがある。

先行事例としてアイドルの構造について説明したいところではあるが、アイドル素人の私が説明するよりもちゃんと事例確認してくださっているものを紹介したほうが良いに決まっているというのと、今回私が建設的な意見を出せるわけではないので、話のオチとして珍しく面倒がらずにその手のものを貼ることにする。
新たなブレイクスルーの実現と、それまでのカルチャーの先導者の持続を願うばかりである。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?