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パニック障害⑤診断

所々記憶が飛んでいて
自分がどんな処置をして
どんな検査をして
今ここの病室に、どう運ばれて来たのか思い出せなかった。

点滴に繋がれていたけれど酸素マスクは外れていた。
足の付け根に鈍痛があった。
心臓の鼓動が静かになってる。
楽とは言えないけど呼吸も出来てる。
脳と身体の脱力感がひどかった。
もう大丈夫なのかな?
何だったんだろうあれは。
救急車どうやって乗ったんだろう?
どこの病院なのかな?
いま何時だろう。
そんなこと考えてた。

看護師さんと医師が来て私に話しかける。
”いま気分どう?”
”まだ少し苦しいかな?”
”もう少し酸素濃度上がると楽になるからね”
”怖かったね”
”びっくりしたよね”
”もう大丈夫だからね”

その言葉にまた涙が出る。
怖かった思いと優しく話しかけてくれるその言葉に胸がいっぱいになった。

”何かストレスありますか?”
”最近、強いストレス受けたりしたことあった?”

唐突な質問に、一瞬、
ん?何だっけストレス??
小さなストレスは日常茶飯事だし
悩みだってあるし
何かは感じてるよね毎日。
違うのかな?
そういうことを聞かれている訳じゃないのかしら?

特に無いです。そう答えた。

”環境の変化があったり、心に負担があったり、気付かない所で身体が悲鳴を上げてる事ってあったりするんだけど心当たり無い?”

んーどうなのかな?
思い当たる事がいま浮かんでは来ないけれど、、、。

”パニック障害って病気があるんだけど聞いたことありますか?”
”突然、動悸や発汗、呼吸困難になったり、自分は死んでしまうのではという意識に強く襲われたりする症状が起こる病気なんだけどね”
”心電図に異常は見られませんでした”
”血液検査も貧血はあるけれど、内臓に深刻な問題は無さそうです”
”過呼吸になると酸素濃度が低下するので、手足が痺れたり、めまいが起こったり、頭痛や吐き気がします”
”突然起こってビックリしたと思うけれど、いま症状が落ち着いて来ているのを診るとパニック症状だと思います”

一度、心療内科に行って詳しく診てもらうといいと思います。

私はパニック障害という病気がある事を知らず、
世の認知度も今よりもずっと低い時代だったのもあって、
知識が乏しくとても理解し難い内容だった。
先生の話を聞きながら、
私、心に問題があったの?
心に問題があるとあんなに苦しい症状が起こるの?
あんなに苦しかったのに内臓異常無かったんだ。
あれは心筋梗塞では無かったんだ。
心臓とか肺とか呼吸器の問題じゃ無かったんだと、
にわかには信じがたい心境だった。
けれど、あの苦しみが今はもう落ち着いていることは事実だし、
私は生きている
あの死ぬかもしれないって感覚はいつ消えたのか。

救急車を呼ぶ程のことでは無かったという事でしょうか?
すみません、恐怖で耐えられなかったんです。

”それは気にしなくて大丈夫ですよ”
”みんな最初は驚いて救急車呼ばれますから”
”運ばれて落ち着いて無事帰られますよ”

そうなの?
ああ、良かった。
私だけじゃ無いんだ。
後ろめたい気持ちが安らいだ。

とは言え、
救急車を使って救急病院に来て、
色んな検査をして特に何も見当たらず、
ただお騒がせをしてしまっただけの様な気がして、
恥ずかしいし申し訳ないし情けなくて自己嫌悪に襲われ泣く事しか出来なかった。

多分しばらくは眠れないかもしれないからと睡眠薬を処方された。
処方されたのは有り難い事だけど、
睡眠薬を飲まないと眠れなくなるのかと不安な気持ちになった。

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