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キャッシュレス賽銭、手水の中止・・新生活様式下の初詣はどうなる

「何だかツキが悪い。」昨日は良いこともあった一方で、不運に感じる出来事の印象が強くて不穏な気持ちで日中を過ごしました。流れを払拭すべく帰り道に近所の神社に参拝をしたのですが、そこで驚くべき看板を目にしてしまいました。

年末年始の新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、手水の利用を当面の間中止させていただきます。
何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。

手水舎の水盤には水が一切入っておらず、ひっそりとしていました。ついにここまできたかという漠然とした寂しさを感じる出来事でした。

感染症の拡大を懸念する現状において、年始の初詣はこの冬で最も警戒すべき催事です。クリスマスのパーティや忘年会などはやむを得ず、人によっては喜々として中止できることでしょう。しかし年始の初詣は神事です。無宗教者の多いと言われる日本人であっても、神様への挨拶をしなければ何か厄がつくのではという漠然とした不安を抱いたり、何だか締まらない気持ちになる人は多いのではないでしょうか。そう思う人は特に感染症リスクのある年配の方々に多いのではという気もします。神社としても無策で参拝者を迎え入れる訳にはいかないでしょう。

ゼネラルリサーチが『「来年(2021年)の初詣・参拝とオンライン化」に関する無料調査レポート』という報告を上げています。興味深い点はいくつかありますが、50代以下の世代では新しい様式の取り入れに肯定的な人が多い一方で60代は否定的な人が多いです。多いと言ってもそれぞれ40%台と50%台の差ではあり、均すと半々といったところでしょう。新しい様式での参拝は多くの戸惑いが発生しそうです。

新しい生活様式における参拝でよく話題に挙がるのは賽銭のあり方です。現金がウイルスの媒介となる可能性については春先から話題となっており、キャッシュレス決済の普及を後押ししました。キャッシュレス賽銭は昨年から物議を醸していましたが、いよいよ本格的に考える必要がありそうです。同調査においてキャッシュレス決済について問うた設問については57・3%の人が肯定的でした。どのような形式で行うのかは分かりませんが、おそらくQRコード決済などを利用するのでしょう。神社がキャッシュレス賽銭をどう捉えるのかにもよりますが、情勢としては取り入れやすくなっていそうです。

冒頭で挙げた手水については「来年の初詣でできないと思うこと」で58・1%の人が挙げており、中止に対する理解は得られそうです。そもそも手水は参拝の前に身を清める場として存在しています。かつては河川で身を清めていたものが変化して手水舎という簡易的なものに変化しました。味気なくはありますが、アルコール消毒で手を殺菌するだけで「お清め」としてしまっても用は済んでしまいそうです。世界的な感染症の危機に貧したこの機会に参拝の様式が変化しようとしています。時代の節目に立っている感覚です。

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