テレワークが普及して都市一極集中が緩和したら良い事だらけかもしれない

昨日に続き、テレワークについて書こうと思います。昨日は従業員と企業の立場で書きました。今日はテレワークが普及したら社会にどう影響を及ぼすかを考えてみます。

まずテレワークを行えるのはどのような人でしょうか。ざっくり言えば事務仕事をする人全般です。

平成27年の国勢調査の結果に、職業別の従事者の割合が都道府県別で出ていました。とりあえず大雑把に東京都を見てみます。

・19.4% 専門的・技術的職業従事者
・23.0% 事務事業者
・13.5% 販売事業者
・10.5% サービス業従事者
・0.4% 農林漁業従事者
・6.7% 生産工程従事者
・5.2% 運搬・清掃・梱包等従事者

細かい分類がわかりませんが、ざっくりと「専門的・技術的職業従事者」の半分くらいと、「事務事業者」がテレワークできそうです。簡単に33%くらいの人がテレワーク可能と仮定します。

以降は、テレワークが主流となり東京で働く3分の1の人が完全にテレワークをしているという近未来を妄想していきます。

満員電車の緩和

最初に思いつくのは首都特有の満員電車現象の緩和です。出勤しないのですから、電車に乗りません。その分だけ電車の混雑は緩和するはずです。

国土交通省によると、平成29年の統計で東京圏の平均混雑率は163%だったそうです。混雑している路線では、東西線の199%が最大で、何かと問題になる埼京線が185%です。

混雑率の目安は以下のとおりです。

・100% つり革につかまるか、ドア付近の柱につかまれる程度
・150% つり革につかまって楽に新聞を読める程度
・180% つり革につかまって新聞は折りたためば読める程度
・200% 体がふれあって相当圧迫感がある
・250% 身動きが取れない

3割の人がテレワークになれば、平均混雑率は108%程度まで削減されます。東西線の平均199%は131%まで削減されます。

最も混雑する「すし詰め状態」の250%の場合でも、165%まで削減されます。150%であれば「立つのだるいなー」程度の感覚です。それが最大値となるだけで十分です。

鉄道の混雑の緩和で、テレワークをしない人もテレワークの恩恵を受けられます。

しかしながら、利用者が減れば鉄道会社は本数を減らすなどするかもしれません。そのあたりでバランスが取られてしまう可能性も無きにしもあらずです。

サービス業の分散

街から3分の1の人がいなくなると、打撃を受けるのは都市部の飲食店などサービス業です。特にランチ帯で稼いでいる飲食店は痛手になるかもしれません。

一方で、住宅地で飲食店などのサービス業が成立しやすくなるかもしれません。すると、都市部の飲食店が郊外の住宅地に移転する可能性があります。サービス業自体が都市から分散します。

飲食店に限れば、自宅で食事を済ませるためにUberEatsなどの出前が活発になるかもしれません。人が集まるところに店を構えるにあたって、出店場所の観点が変わってきそうです。

事務仕事をする人が郊外へ分散するのに呼応してサービス業も分散します。33%が通勤しない想定で書いていますが、実際にはそれ以上に一極集中が緩和する結果になるかもしれません。

先の鉄道の話に戻ると、鉄道の混雑は先述の試算より緩和しそうです。

スポーツジムの活性化

昨日の記事に書いたように、テレワークが進むと首都圏の人は体力が露骨に落ちます。そのため、能動的に運動しようという人は確実に増えてくるはずです。

そこで脚光を浴びるのはスポーツジムです。昨今は24時間営業の小型のスポーツジムが増えてきています。この流れはより活性化するかもしれません。

運動に焦点があたれば、公園に対する見方も変わってくるかもしれません。蔑ろにされがちな公園の整備に、より多くの予算が注ぎ込まれる流れが生じる可能性があります。

宅配業務の緩和

テレワークが促進されて喜ぶのは宅配業務の方々だと思います。なぜなら届け先の人が家にいる確率が上がりますから。

国土交通省によると令和元年10月の再配達率は15.0%だったそうです。

乱暴ではありますが、単純計算で3分の1の家庭が在宅になっていると仮定すると、再配達は10%程度まで削減できます。国土交通省は再配達の削減目標を2020年に13%と定めています。一気に解決できそうです。

災害時の都市機能継続

最後に、最も重要そうなのが、テレワークの普及で日本の経済が災害に強くなることです。

一極集中の緩和で、帰宅難民とそれに伴う避難所の混雑も緩和できます。交通網が圧迫されないので、必要な物資や救助が滞りにくくも出来ます。

何より、場所を変えて経済活動を継続できるというのはとても心強いです。あらゆる想定を超えた直下型地震でも起きない限り、最悪の場合は疎開をして経済活動を継続できます。

他にも色々と考えられそう

色々と想像を膨らませてみました。今回はポジティブな視点で色々と妄想を膨らませてみたので、良い点を幾つか挙げられました。ネガティブな視点で妄想を膨らませると、別の課題が見つかるかもしれません。

しかし昼間の首都圏の人口が3分の1になると考えるだけで、随分と妄想が膨らみます。どこまで先の未来を妄想するか、どの切り口で妄想するか、5GやAIなどが絡むとどうなるか、リニアが開通したらどうなるか、色々と複合的に考えてみると面白いかもしれません。

多角的にみれば良し悪しは色々と出てくるかもしれません、テレワークの促進は日本が抱える首都一極集中の問題を解決する突破口にはできそうです。

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