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Gotoキャンペーンは賛成だけれども・・

Gotoキャンペーンの是非が話題になっています。発言しにくい話題なのでツイッターでも特に言及せずにいました。人の移動を促す「旅行」と人の移動を制限する「感染症対策」の二律背反による対立軸だからです。単純なゼロイチ論は絶対に成立しません。

政府が国内観光を促すのは観光産業への経済的な打撃に対する対策でしょう。昨年までは観光産業は日本を支える大きな強みの1つでした。特に今年は東京五輪に向けた準備を続けてきた事業者もいたかと思います。それにも関わらず、稼ぎ時であったはずの5月の大型連休が緊急事態宣言下で潰れました。夏休みも短縮されます。ライブやスポーツなどの大型イベントも規模が縮小されています。観光産業への打撃の大きさは容易に想像がつきます。

観光産業に関わる事業者への特別な補助金を出せば済むという意見を目にしました。この補助金の出し方はほぼ無意味だと思います。旅行の恩恵を受ける事業者は多岐にわたるからです。旅行で恩恵を受けるのは交通機関や宿泊施設や観光施設だけではありません。例えば旅館で料理を提供したらその素材を提供する一次産業へも影響します。税金で旅館を補助をすれば、旅館は一時的に助かるでしょう。しかし、旅館と取引している事業者には影響しません。末端の末端まで調べ上げて全て補助金を出すのでしょうか。

対立軸にある感染症対策で懸念されているのが東京都における感染者の増加です。東京都は7月15日に警戒レベルを最高に引き上げると発表しました。隔離対象者を受け入れる施設が飽和しかけているようです。感染者が増えた背景には、感染クラスタ化の危険性が高い集団に対して検査を増やしている事情もあるようです。感染者の数字が増えた説明はできます。しかしそれは「経済活動を止める必要はない」という主張までしかできず、「積極的に旅行して構わない」という主張には繋がりません。

「複数の独立した政策目標を達成するためには同じ数の政策手段を必要とする」とするティンバーゲンの定理という法則があります。GoToキャンペーンは観光産業の回復に対しては有効な策だと思うので賛成です。しかし感染症対策にはなりません。感染拡大を防ぐのであれば、追加で別の手段を立てるしかありません。

おそらく東京都市圏を軸に生活している方々の旅行を引き止める何かをするしかないでしょう。やはり自粛要請でしょうか。いい考えは思い浮かびません。

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