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AIによる創作は創作なのか。

書け♡書け♡

小説全然書かないなこいつと思われている自覚はある。どうもこんばんは。彗月はづき 漣太郎れんたろうです。字書きなんてねぇ、追い詰められないと書けないよ。追い詰められないと書けない人間は字書きに向いてないなんて言うけど、20年書くのを辞めていないのでまぁ許してね。

何の話をしようかなの話。

疲れてTwitterを開いたら目に飛び込んできたのが『ChatGPTに読書感想文を書かせて提出した子供の話』だったので、今日はいわゆるAI○○に対する私の意見を述べたいと思う。結論だけ言うと私の立場としては、学習元が明示されており、その学習元の規約や法律に違反していなければアリ派である。

わかりやすい例としては以前問題になったAIイラスト生成で、学習元である画像を、本来の作者の許可なく第三者が違法アップロードの形で学習させ、それを元に画風を似せた別の作品を作るというものだった。これは明確にアウトだと思っている。当然だ。このサービスについてはその後、サービス提供側が問題を把握し早急に改修していたので安心したものの、大きな話題にならなければこのような問題は今後もしばらく続くだろうと思う。

脆弱性やらなんやら。

突然話が逸れる。よく『居酒屋などのタッチパネルを見るとテストをしてしまうプログラマー』などを見かけるが、顧客でしかない以上は、こういった行為をあえて行う人間は業務妨害ではないかとすら思う。意図的にエラーを起こそうとする行為だと自覚して欲しい。

当然そのエラーが起こらないよう想定出来るものはテストを済ませてからリリースするのが望ましいし、バグチェック常習犯の行うテストは恐らく初歩的なものなのだろうが、正常な社会人が思う100倍は『そのテストを行わないでリリースする企業』がある。玄孫やしゃご請け程度かそれ以下の末端で散々仕事をしてきた私の肌感である。(当然中の人間はそのエラーを指摘するが、全ては決定権を持つ人間の胸先三寸であるのでどうしようもないのだ)

そんな企業は淘汰されるべき、という事自体には同意するが、エラーを権力者に握りつぶされた実働部隊はもちろん、そのエラーをわざわざ突っつき回されて振り回される門外漢の人間(この場合はタッチパネルでエラーをわざと吐かせた厄介客に説明したり別の席に移動させなければならない店員)の身にもなって欲しい。

話の軌道がどんどん別方向にシフトするのはもはや私の芸風だと思って欲しい。なぜこんな話をしたかというと、昨日あたりに「AIチャットbotの設定を全て初期化する命令を与え改造した」といった旨のツイートを観測し、どのような命令を与えれば初期化されるのかという手順まで書いてあったのだ。当然真似する人も出て、恐らくはあらゆるbotに影響を及ぼしているものと思われる。AIチャットbotは有料のものも多いので尚更営業妨害じゃないかと眉をひそめたのである。

まともな企業には脆弱性のチェックをするためにテスターが存在しているし、顧客が“想定外の操作”をどれだけするかというのはある程度把握しておかなければならないので基礎のテストは必要だと思うが、それも限界がある話だ。上記はタッチパネルにせよチャットbotにせよ、基礎的な部分をチェックしたら穴があったというのが見て取れるので「サービス提供側は気を付けましょうね」という話ではあるものの、この“想定外の操作”というのはいくらでもある。全てを把握する事はできないだろう。だからアップデートがあるのだ。

また、これらのテスト業務は現状、最低賃金に近いようなアルバイトや障害者によって行われている場合が多い。限りなく安い賃金・最低限の人員によって行われるのみのそれらのチェックを、飲みにいく程度には金のある人間がいちいちねちねちチェックしている性格の悪さに対し個人的な苛立ちもある。それは否定しない。

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そして更にどうでもいい話だが、私は、幼少の頃に、ゲームに特定の4,5桁のパスワード(月次のテキストに付属している)を入力すると新しい問題が追加されるという育成ゲーム型教材なるものにえらくハマった事があり、かなり育てたキャラクターのデータでパスワードに適当な数値を入れていたら初期化された事がある。大泣きした。

これはクソガキなら想定出来る操作であるが、とはいえクソガキ一人の試行回数なんてタカが知れているもので、4桁だったとして、1/10,000のうちの一つをクソガキが引き当てる事は想定されていなかったと思われる。(それを持っていた全国のクソガキが誰しも通った道だとは思うが、クソガキは恐らく「突然データが消えた」という事しか理解出来ていないと思うので、保護者が問い合わせしたとしても動作環境やら再現性を引き出すのには大変苦労されたかと思う。私も調査結果が載るまで原因が全くわからなかった)

泣く泣く育て直し、しばらく経ってから配布されたテキストに原因はきちんと掲載されていた。調査の結果、パスワードに特定の数値(3,4種類だったと思う)を入力するとデータが削除されたらしい。それを見てその行為に心当たりがあった私は納得をし、以降は不必要な操作はしないよう誓ったし、その不必要な操作が、どれほどの製作者を追い詰めるのかということをしばらく考えていた。20年ほど前の話で、当時それらを解明する技術がどれほど発展していたのかはわからないが、そもそもバグというのは完全に0にするのはほぼ不可能という大原則は頭に入れておくべきだろう。アップデートが出来ない端末だったのでなおさらである。

この章のタイトルは私の記憶に20年近く残っているそのゲームの回答である。ゲームの仕組みとしては、付属のテキストに載っている三択の問題を20問答えて、その正解数が経験値になるものだ。確か理科の答えだったと思う。私はクソガキなのでこれを1ヶ月分だけ丸暗記して永遠に同じ数字を入力し、キャラを育てていた。某家庭学習教材のセットに付いてくるものだ。検索したら『チャレンジギア』や『エンジェルガード』と呼ばれているものが一番見覚えがある形なのだが、カセット方式ではなかったはずなのでもう一つ二つ前の世代かもしれない。

余談だが、翌年にはカードゲーム方式で歴史を学べるものが配布された。長野オリンピックとポツダム宣言がかなり強かった記憶がある。(近代であるほど強いとかそんなゲームだった)確かオレンジを持っていた。こちらは『スピードプロ』というらしい。

AIの話に戻る。

というわけで、まあこの辺の話はRTAとかを観ている人ならわかると思うが、システムの脆弱性などはいくら私ごときが想定したところでどうしようもないのを理解していただけると思う。(ゲーム本体をホットプレートで温度調節したり カセットを電源入れたまま引っこ抜いて別のゲームを挿して遊ぶなんて想定しねえよ)なのでその辺りは一旦スルーして、AIを使った創作は成果物として認めるべきか否か、に対する個人的な感情の話をしようと思う。

冒頭で述べた通り、基本的には『アリ』の立場である。この議論をするとかなりの割合の人間が「自分で描いた/書いたわけでもないのに創作者を名乗らないで欲しい」という理由で、AI生成による成果物を創作と認めていない。私にはこれがあまり理解出来ない。

パクりのジャッジ』の記事にて私は「自分の作品は何かに影響を受けたものだ」「他人の作品も同様に何かに影響を受けたものにすぎない」と書いたが、まさにこれが理由だ。AIの仕組みは詳しくないが、そもそも人間の学習の仕組みも基本的には自身が見聞きしたものの再構成である。

その見聞きしたもの、は必ずしも直接目の前にし、触れたものだけではない。(そういえば最近『作家は経験したことしか描けない』というタグもあったな)私は軍艦島にも九龍城にも行ったことはないが、実物を見たことがなくてもそれらをえがく人間であるし、そういう人間は少なくないだろう。

また、AIが膨大なデータの海からユーザーの指定する要素を拾い上げ、再構成したものには人間の意思が介在しない、という意見もある。これについても私は首を捻っている。

ユーザーはAIに出力させたいものを指定するために試行錯誤をする。それは人間の意思そのものであるし、それを意思と認めないならば、例えば絵師や字書きがGoogleで「肩についているやつ 名前」とエポーレットの画像検索をしたり、「スライム 類語」と検索してショゴスに行き当たる過程は創作活動ではないとされてしまう。

肩についているアレが付いている服を身に付けたり、せめて展示物を観に基地の見学に行かなければいけない、ショゴスと対面しなければならないとなると私たちは創作する事が出来なくなってしまう。SAN値チェック何回すりゃいいんだよ。

呪文の詠唱。

AIを使ってみた人ならわかると思うが、AIに『えっちなスライム』と指定するだけでえっちなスライムが出ると思ったら大間違いだ。たとえば手頃に他人のAIによる創作の過程を見たいのなら、『とりんさまAI』というTwitterアカウントを眺めてみるのをオススメする。これは最も手軽に出来るAIによるイラスト生成で、出力させたいもののキーワードをリプライで送るだけだった。確かフォローの必要すらなかったと思われる。(現在はTwitterAPIの仕様変更があったため、サービスを終了している)

とりんさまのTLには、ありとあらゆるユーザーが出力した結果がある。これらを観察していると、定期的に誰かが何かの画像を求め、似た語群を何度も何度も何度もリプライしているのがわかる。また、とりんさまもそれによって学習していくのか段々と精度が上がっていくのが見受けられる。

面白かった実例としては、ある日誰かが投げた『ねんどろいど』というキーワードだ。このキーワードはその後とりんさまの周りでは少しブームになっていた。何故か、というのは明確にはわからないが、私の予想では「確かにねんどろいどといえばこの背景と造形だよね」というイラストが生成された時の解像度の高さにあると思っている。グッドスマイルカンパニー広報による商材写真でよく使われているグレーの背景が見事に再現されているのだ。

ただし、初めのうちはかなりの割合で、頭が二つあるねんどろいどばかりが生成された。これも私の予想でしかないが、グッスマにおけるねんどろいどの広報で使われるサムネイルは顔パーツの差分や後ろからのイメージなどおおよそ3枚で構成されており、その3枚の画像を一つにまとめた1枚の画像として『あみあみ』という最大手のホビー通販サイトがあることが原因だと踏んでいる。(実際にこちらでは上記と同商品が1:2の比率で画像を並べられている)これらを参照した事により頭部が2つある画像の出力となったのではないだろうか。

そしてその頭が二つあるねんどろいどのAI画像生成に対して、ユーザーはその後『頭が一つ』というキーワードを追加していった。これが功を奏し、しばらくしてからある程度まともな形になった、実在しないねんどろいどを見たユーザーは次々と「好きなキャラ名 ねんどろいど 頭が一つ」と入力していった。またその過程で、理由はわからないが英語の方が精度が高くなると考えたユーザーによってキーワードが英語化されるなど様々な試行錯誤によってAIねんどろいどは変化していった。

これらのキーワードは、しばしば『呪文』と言われるようになった。また、欲しいものを出すための『呪文』をまとめた同人誌を作る猛者まで現れ、それが継承されていく様子はファンタジーのようだった。的確な呪文を唱える者が召喚するAI画像は精度が高いのだ。このような試行錯誤はどう考えても人間の意思であると思うのだが、この記事の読者の方はどう思うだろうか。

星新一賞はAI小説の投稿が出来る。

わかりやすくAI画像の例を出したが、とりんさまにはAI小説の生成機能もある。(AIのべりすと)これについては自身でもそれなりに試したのだが、もう、なんていうか、AI画像よりさらに難易度が高いと感じた。最初はAIに出力させた小説の修正を行うという事でそれに触れたわけだが、似たような行動が繰り返されていたり、一人称が突然変わるなどといったものを見たのち「自分で一から書いた方が楽!」とちゃぶ台をひっくり返した。

その後、自分でAIのべりすとの生成を試してみる事にしたのだが、とにかく修正が多すぎる。例えばデフォルトでは『吾輩は猫である』の冒頭が入力されているのだが、それですら何も考えずそのまま生成させるとしょっぱなから『ミケ』と呼ばれるようになってしまった。

名前付いちゃったよォ!?

上記の経験を経て、私が出した結論は「AIに思った通りのものを生成させるのは技術」だった。もう一度魔法で例えるが、絵描きや字書きが、己の魔力を火や水に変換し発現する魔法使いだとしたら、AI絵描きやAI字書きは、呪文を使い自然の力や魔界に呼びかけ、その力を発現する召喚士のようなものだ。そもそも職業ジョブが違う。ただそれだけなのである。(魔法使いや召喚士の魔術のシステムは適当に決めたのでツッコミしないよう願いたい)

私が私の魔力で火を起こすことが出来るとしたら、AI小説家は呪文でイフリート火の魔神を使役して火を吹かせているのだ。それは「イフリートの力を借りた魔法もどき」ではなく召喚士としてのスキルだろう。

次回予告。

そろそろ小説を書き始める。つもりです……。
_(:3 」∠)_

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