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ことばの「生・変・死」

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2014年10月の記事一覧

ことばの「生・変・死」①

「できるだけ」から「たしかに」へ。

上の文章を見てハッとした方はさすが、と言うべき。

これは「なるほど」という言葉の意味の変化です。

『成る(成立する)程(程度)=できるだけ』として

使われていた「なるほど」は「なるべく、なるたけ」として生き残りました。

「なるほど」は『これ以上は無い』という意味に変化し、

いつしか相手を(上から)評価する言葉になり、さらに時を経て

「たしかに」を意

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ことばの「生・変・死」②

絶滅危惧語「すっとこどっこい」を保護したい。

語源は諸説ありますが、

『すっとこ=裸で』『どっこい=どこへ』から生まれた、

相手を罵る言葉です。

いわゆる「ストリーキング」を罵る言葉という訳です。

昨今はこのような事態が稀なので使用頻度は減っていますが、

『馬鹿野郎』の意味を持って一部の年齢層で生き残っています。

瀕死寸前の絶滅危惧語です。

ですがこの「すっとこどっこい」という言葉

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ことばの「生・変・死」③

言葉だけが生きている。

武士と武士が対峙し、刃を交えなくとも

力量の差が明らかな際に、弱者が強者に立ち向かう様を現す

「刃向かう」

この言葉は、刃を交えることの無い現代でも生き続けています。

類語に「手向かう」「歯向かう」などがあり、

現代ではこちらの方が状況には合ってる気がしますが、

「手向かう」はなんだか、こどもの喧嘩の様だし、

「歯向かう」は獣が襲ってくる様な気がしませんか?

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ことばの「生・変・死」④

転じて海外からも評価される言葉へ

「もったいない」は、「体無し」を強調する言葉で、『ものの本質を失う』という意味を持った言葉でした。

そこから、『ものを活かしきれず惜しい』『不相応である』へと意味が転じていくのです。

単なる評価であった言葉から、人間が一歩下がってものを捉えた『自分には活かしきれない』という、万物への敬愛の精神が込められた言葉になりました。

そしてこの意味を持った「もったい

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