ことばの「生・変・死」③

言葉だけが生きている。


武士と武士が対峙し、刃を交えなくとも

力量の差が明らかな際に、弱者が強者に立ち向かう様を現す

「刃向かう」

この言葉は、刃を交えることの無い現代でも生き続けています。

類語に「手向かう」「歯向かう」などがあり、

現代ではこちらの方が状況には合ってる気がしますが、

「手向かう」はなんだか、こどもの喧嘩の様だし、

「歯向かう」は獣が襲ってくる様な気がしませんか?


まぁ、「逆らう」「立ち向かう」も同じ意味で使用頻度も高いのですが、

刀を腰につけ、武士が荒野を歩く様や相手と対峙した時の緊迫感。

そして適わない相手と知りながら向かっていく勇気。

そんな情景が想像できる「刃向かう」が私は好きです。


「刃向かうな」と命令形にしてしまうと、

現代の解釈ではとても嫌悪感を覚えますが、

この言葉にも弱い相手への武士の情けがあったと信じたいですね。




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