【商業登記】海外在住の日本人が、日本で登記をする際に必要となる「署名証明」。その内容と、取得方法について。
こんにちは。白百合行政書士事務所 行政書士 りこです。
海外在住の日本人が日本国内で登記などをする場合に添付書類として必要となる「署名証明(サイン証明)」。
今回は、その署名証明についてのお仕事のご依頼があったので。
自身の備忘録として、その内容と具体的な例から見るおおまかな取得方法についてまとめました。
・「署名証明(サイン証明)が必要」と言われたけど、何のことだかわからない。
・会社の役員にしたい人が海外にいるんだけど、どうすればいいの?
・海外にいる知り合いから車や不動産を譲ってもらったけど、署名証明の取り方がわからない。
・行政書士や司法書士、会社法の勉強をしているけど「本国官憲の…」と言われてもイメージがつかない。
・行政書士として、もっと仕事の幅を広げたい。
そういった方々のお役に立てれば幸いです。
なおこの記事は、わたしが実際に手掛けた実例から署名証明を解説しています。
署名証明の必要性の有無や具体的にどういった証明を取ればよいのかなど、個別具体的な案件には必ずしも当てはまらない場合がありますので、あくまでも「知識になる読み物」として楽しんでいただければ幸いです。
◆まず、署名証明とは?
署名証明とは、ざっくり言うと「印鑑証明書」の代わりとなります。
不動産登記、商業登記をする際は、必ずと言っていいほど「印鑑証明書」の提出が必要となります。
なぜなら、印鑑証明書が登記申請をする際の本人確認や意思表示の強力な手段だからです。
しかし印鑑という文化は日本ならではであり、外国において印鑑証明書と言うものはありません。
では、印鑑の登録のない外国人や、外国在住の日本人の本人確認や意思表示はどうすればよいのか。
そこで、印鑑証明書の代わりとなるのが「署名証明書(サイン証明書)」となるのです。
◆署名証明、その2種類の証明方法。
では、具体的にどういった証明方法があるのでしょうか。
1.貼付型
証明したい書類を直接現地の在外公館(住所地を管轄する日本国大使館)へ持参し、その書類を証明してもらう方法です。
一番強力な証明方法であり、遺産分割協議書などはこの方法でないと受理してもらえないことが多いです。
ただし、書類のやり取り等が非常に面倒というデメリットがあります。
2.単独型
在外公館や現地の公証人に「このサインは本人の筆跡である」といったことを証明してもらい、その証明書を発行等してもらう方法です。
「自署」を「証明」してもらうといった、まさに印鑑証明書の代わりとなるものです。
ただあくまで「サイン」の為、筆跡という真似されても見分けのつかないものであることから貼付型よりも効力は劣ります。
◆商業登記における署名証明の取り扱い。
商業登記における添付書類としての署名証明は、単独型となります。
確かに、遺産分割協議書などは重要な財産の移転などが関わるため確実な本人確認が必要となりますが、設立登記関係書類や総会議事録などにいちいち貼付型を要求していたらきりがありません。
また、登記の内容によっては原本還付を請求して使い回す場合がありますので単独型の方が勝手が良いともいえます。
そして、署名証明の取得先は「在外公館」「公証役場」の2つとなりますが、商業登記の場合はどちらでも効力に変わりはありません。
原則は
1.在外公館の署名証明
2.日本の公証役場での証明
でしたが、先例で「現地公証人の証明」でも受理されることとなりました。
では、商業登記における単独型署名証明の具体的な取得方法についてお話します。
◆単独型署名証明の取得方法。
2種類の取得方法を具体的にまとめました。
1.在外公館に申請し証明してもらう。
署名証明を発行したい本人の住所地を管轄する日本大使館へ行き、証明書を発行してもらう方法です。
◆必要書類
・申請書
在アメリカ日本国大使館における申請書はこちらになります。各国によって書式は違いますが、何となくイメージがつきやすいかと思います。
申請書類には「形式1」と形式2」がありますが、商業登記においては「形式2」を選択してください。
・有効な日本のパスポートの原本
・当地の滞在資格を証明する書類の原本(VISAまたはグリーンカード)
・署名(および拇印)すべき書類がある場合はその書類
必要書類、申請書の書式などは管轄の在外公館により異なる場合があるので、必ず事前にお問合せください。
◆申請先
署名証明を受けたい本人の住所地を管轄する日本国大使館となります。
※受付時間、事前予約の有無など必ずご確認ください。
◆申請手数料
$15.00(現金のみ)
◆取得にかかる時間
管轄の大使館、混み具合により異なりますがおおよそ30分程度で取得できるようです。
2.公証人に証明してもらう。
現地公証役場にて公証人に証明してもらう方法です。
◆必要書類
・任意の書式の署名証明書(ページの最後に雛形を添付してあります。)
・身分を証明できるもの(顔写真付き身分証明書など)
その他、現地の公証役場にて必要となる書類が異なる場合があります。詳しくは証明を受ける現地公証役場にお問合せください。
◆申請先
現地公証役場となります。
◆申請手数料
現地公証役場により異なる場合があります。詳しくは証明を受ける現地公証役場にお問合せください。
◆取得にかかる時間
現地公証役場により異なる場合があります。詳しくは証明を受ける現地公証役場にお問合せください。
※署名証明における注意事項
・遺産分割協議書に必要となる印鑑証明書の代わりとなる「署名証明」は、このような「単独型」のサイン証明ではなく「遺産分割協議書などの書類に直接在外公館の認証を受ける」「貼付型」の証明が必要となります。
・貼付型でなければいけないという明確な回答や先例があるわけではないようですが、実務ではほぼ単独型では受理されないことの方が多いようです。
・在外公館での署名証明書には住所の記載がないことが多いため、署名証明書のほかに「在留証明書」が必要になる場合があります。
・ハーグ条約に加盟していない国家間では、このような認証方法ができないことがあります。
◆公証人認証用の書式、置いてあります。
海外在住の日本人が、日本で登記などをする際に必要となる「署名証明」の取得方法、いかがだったでしょうか?
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また、実際に役員に海外在住の人間を迎えたい、この場合の登記に関する添付書類はどうすればいいの?など、ご相談もたまわっています。
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◆現地公証人の証明における書式について。
在外公館ではなく、現地公証人における署名証明には任意の書式を提出する必要があります。
わたしが作成した書式のサンプルがありますので、ご自由にお使いください。
Wordファイルにて作成してありますので、ご自由に編集することができます。
サンフランシスコにて個人の証明に使用したものです。
認証日と自署欄は空白にして現地公証人へお持ちください。
法人等は書式が異なる場合がありますので、詳しくは現地公証人や提出先にご確認ください。
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