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【R60-SETAGAYA- マッチング事例紹介②】園の駐車場の看板制作~杉の子保育会~

1979年、世田谷区千歳烏山で小さな保育園を開園し、現在は世田谷区内で11施設の保育園を運営している杉の子保育会。「共に育ち共に育つ保育~遊びの自立が目標です~」を理念に、子どもたちが自分の居場所として安心して生活し、遊べるよう、乳幼児期の育ちを支えてきました。また、育てたとうもろこしでポップコーンを作ったり、自分たちでもいだ梅でジュースを作ったりといった本物の体験を大切にしながら、子どもたちの挑戦や冒険を応援し支える保育を行っています。

その保育会の運営する園のひとつ、烏山杉の子保育園は、ふんだんに木を使い、まるで昭和の時代にタイムスリップしたような、レトロで落ち着いた園舎が特徴の園。来園者用の駐車場に看板を設置していましたが、経年劣化でボロボロになっていました。作り直しを考えていたこともあり、R60-SETAGAYA-を通して地域の方に募集を行いました。

今回は、この仕事に取り組んでいただいたYさんと、烏山杉の子保育園 副園長の廣瀬義紀さんにお話をお聞きしました。


地域を知っているからこその仕事

看板はともすると殺風景なものになりがちですが、R60-SETAGAYA-を通して募集をした背景にはどのような想いがあったのでしょうか。

廣瀬さん:実は、以前の看板も在園児の保護者が仕上げてくださった、手作り感あふれるものでした。当園は園庭に実のなる木が生い茂り、多くの生き物が生息する池もあります。子どもたちは庭では泥んこになって、自然の中で多くの時間を過ごします。 園を知らないプロの方にお願いするよりも、園のあたたかな雰囲気を理解してもらい、それが伝わるものを作ってほしいという思いがありました。それには、地域の方にお願いするのがいいのでは、と思ったのです。

この案件に応募したのはYさん、59歳。60歳を目前に「60歳と働こう」 という考えがあるプロジェクトに好感を持ち、R60-SETAGAYA-に飛び込んだといいます。

Yさん:今の自分の状況を考えると、毎日、朝早くから出勤して、遅刻しないように日々暮らすのは難しいと思っていました。そんなとき、R60-SETAGAYA-の中に単発で自分の得意分野の仕事があることを知り、応募しました。

お互いのニーズを理解すること

毎日決まった時間に出社するフルタイムの仕事は難しいと考えていたYさんにとって、単発で自分のスケジュールに合わせてできる仕事は、スムーズに取り組めたといいます。

Yさん:担当した仕事は、日程調整や準備など、計画的に行うことができました。コロナ禍ということもあり、保育園でのお仕事は気を遣いながらになりましたが、打ち合わせで園の説明をしてくださったので、看板のイメージもすぐに浮かびました。また、今回ご縁をいただいた保育園が、小規模ながらもとても魅力的な場所だったこともあり、仕事も楽しくできました。

コロナ禍で制限もある中での仕事でしたが、Yさんにとって烏山保育園との出会いそのものが仕事のモチベーションにつながったようです。一方、募集してすぐにぴったりの方とマッチングが成立するとは思っていなかったという廣瀬さん。Yさんとやり取りを進めていく中で、お互いに信頼感が築かれていった過程について話してくださいました。

廣瀬さん:看板やポスター制作の経験が豊富な方が応募してくださるとは思っていなかったので、今回のご縁には正直びっくりしました。仕事を進める中で、実際にこれまで手掛けられた仕事の例などを見せてくださったり、園側の要望に対しても色々と相談に乗ってくださったので、信頼がおけました。コロナ禍だったので、園内をゆっくりご案内できなかったのが残念でしたが、後日送ってくださった看板の原案には、ブドウや絵本小屋、池、メダカなど、園の要素がたくさん散りばめられており、園の様子を理解してくださっているのだと嬉しく思いました。完成品も、いただいていた原案のイメージ通りのものを納品してくださり、職員一同で「うちの保育園らしい、素敵な看板だね」と喜びました。

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▲園の雰囲気が伝わる、温かみのある看板

つながりの入り口をつくる単発業務

今回の出会いは、利用者、事業者ともにお互いの思いが引き寄せあった事例といえるかもしれません。Yさんは、いつか保育園で子どもたちへの読み聞かせや、お絵描きパフォーマンスなどをしてみたいと意欲を語ってくれました。廣瀬さんも、この仕事で生まれたご縁をこれからに生かしていきたいといいます。

廣瀬さん:Yさんには、今後も作っていただいた看板のメンテナンスをしていただけるというありがたいお言葉をいただきました。また、R60-SETAGAYA-で現在も募集している当園のほかの案件についても、知り合いに思い当たる人がいれば当たってみる、と気にかけてくださったことは大変心強いです。今後も地域のつながりで良い出会いがあれば、と思っています。

ひとつの仕事から新たに広がる可能性があることを示唆してくれた、今回のマッチング。単発のお仕事は、気軽にチャレンジできるという利点もありながら、事業者との継続した関係性を築く入り口だととらえることもできるでしょう。また、「つながりがつながりを生む」地域での働き方には、今後も注目していきたいところです。

「やりがい」と「報酬」と

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出来上がった看板を手に、嬉しそうな笑顔を見せる廣瀬さん。今は駐車場に掲げられ、保育園を訪れる人たちをあたたかな気持ちで迎えてくれているのだろうな、と思うと嬉しくなります。
今回のマッチングでは、利用者、事業者ともに、お互いが求めているものを齟齬なく理解しあった結果、素晴らしい成果物を生み出すことができました。Yさんにとっては、自身の得意分野でのマッチングでしたが、「材料費も見込んでちょうど良い報酬をいただけた」ことも満足につながっているといいます。「どんな小さな仕事でも、『報酬』は働く人にとってとても大切なことだと思う」とYさんは訴えます。
仕事をするうえで、「やりがい」か「報酬」か、という選択ではなく、その両方が満たされる仕事のつくり方が大切だということに、あらためて気づかされました。

 
R60-SETAGAYA-では、仕事を探すだけではなく、さまざまな働き方を事業者とともに模索することができます。ぜひ次はあなたも、R60-SETAGAYA-で新しい景色を見てみませんか。

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