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先生

ずらして焦らして恋をした
わたあめ浮かんだ白い空
緑を風が運んでゆく
うめいてわめいて次へ行く
落ちていた木の枝でアリの巣ふさいだの
錆びたおもちゃ箱ひさびさ手に取って

焦って転んでけがをした
誰も教えてくれなかった
大事なものがなくなった日
くらく高く見える空を
手に入れたものだけを数えて暮らしたい
いつかした約束は私だけ覚えてる

2021.6.8

中学生の時、学校の先生が亡くなりました。
その先生が特別好きなわけではなかったのに、その話を全校集会で聞いた瞬間に何かがひっくり返りました。
その時に見た空がとても高く見えたこと、雲がとても白かったこと、木がわさわさと音を立てていたことを書きたくて。

あれからいろいろなことがあって、あの時の心の動きを「美化」と呼ぶのだと知りました。
大人になるって、昔感じたダイナミックな心の動きの名前を知っていくことなんですか?
その名前だけを知って、心の動きを知ったかぶることを「大人になる」というのなら、子供のままでいい。

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