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マガジン原作大賞 反省会②

前回のつづき。

話を作るときの手法はまだ試行錯誤中なのだけど、今回はアジャイル的手法を採用した。というのも8月から温めていたネタをボツにすると決めてから、時間がなかったので考える時間を十分に確保できなかったからだ。
すなわち、書きながら考えようといったところ。1話目には時間かけるけど2話目以降はそこそこ話の筋を固めた上で早く書けると思う。

剣と魔法のファンタジーで、モンスターと戦う。かっこいい主人公と可愛いヒロインがいる……スタート地点はこれくらいざっくりしていた。
王道のボーイミーツガールにすることは既定路線だったから、あとは

・キャラクター
・キャラの動機
・敵
・脇役
・ストーリー
・ゴール(引き)

を組み込めばなんとかなるだろうと考えた。話がとっ散らからないように、全体像はSAVE THE CATの法則を参考に分かりやすいストーリーラインを組み上げる。三幕構成+ログラインを意識して脱線しないよう手綱をさばく。

「こんな話にしたいな」→
「じゃあ主人公とヒロインの関係はミスマッチだよね」→
「ヒロインの属性が尖りすぎたんじゃない?」→
「ダブルヒロインにして補完関係にしよう。百合好き需要も拾おう」→
「主人公の動機が見えないぞ」→
「ヒロインに引っ張られる形にしよう」→
「ヒロインの動機は主人公を動かすほど強いのか?」→
「生命、命、根源的欲求に根ざした動機にしよう」→
「話が重くなりすぎないか?」→
「大丈夫、そのへんの舵取りは執筆段階でなんとでもなる」

こうしてストーリーとキャラを回転させながら何度も第1話を執筆して、執筆しながらキャラクターの正確を把握しながら全体に調整を加えていく。ついでに不要なものをばんばん切り落として話の骨格を強固にする。文字数が少ないからある程度諦めも必要。

「クラーラが医者という設定だから病人を出したほうがいい」→
「クラーラとエリザを描写する(読者に好きになってもらう)パートにしよう」→
「そのときブラストはどんなことを考える?」→
「こんな感じかな? ちょっと修正する」→
「ちょっとどころじゃないな。ガッツリ修正する」→

そうこうしているうちに「エンタメ用の外面」と「自分のうちにある普遍的テーマ」が重なる瞬間がある。よっぽどエンタメに振り切らない限り、自分が大事にしている哲学は作品に反映させた方がいいと思う……血の1滴だけでいいから。

「あー私はこの小説で『優しさ』と『強さ』を伝えたかったのか」→
「OK、陳腐だけど悪くない。そこに寄せよう」→
「タイトルはどうする?」→
「◯◯と✗✗? ラノベ風の説明タイトル?」→
「人形から引っ張りたいよね……人形……人間になりたい……夢……」→
「人形って夢を見るのか?」→
「そもそも寝ないでしょ」→
「そ れ だ」→
「OK、第2話のあのシーンを修正しよう。タイトル回収しちゃえ」→

って感じで問答しながら話を整えた。
締め切りありの18,000文字だから通用したという気もする。普段は10万文字近い小説を書くけど、さすがにその文字数でこの手法は厳しいかな。1話目を書くには悪くない気もする。

この手法のデメリットは何度も問答を繰り返すうちに尖ったアイデアがすり減ってありきたりなネタに落ち込む恐れがあること、思いつきとつじつま合わせに対する自己否定の連続だからそんなに楽しい作業じゃないってこと。

作品の書き方は人それぞれだけど、模索中の身としては引き出しが一つ増えたラッキーくらいの気持ち。

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