"隠蔽"の恐ろしさを知る一冊
企業や組織が起こした不祥事のニュースを見るたびに思い出す本があります。
それは「半沢直樹」シリーズでも有名な池井戸潤が書いた「七つの会議」。
中堅メーカー・東京建電を舞台に、不可解な人事や取引先とのやりとりから徐々に紐解かれていく、ある秘密。
会社の雰囲気の描写や登場人物たちの会話が妙にリアルで、どこかの会社で起きたことをそのままルポルタージュにしたのではないかと感じるほどです。
読んだのは半年ほど前なのですが、未だに時々この本のことを思い出すほど強く印象に残っているのは、"隠蔽"の恐ろしさを身につまされるほど感じたから。
組織ぐるみで嘘に嘘を重ねていくことで身動きがとれなくなっていく様、全員が人に責任を押し付けようとする浅ましさ、数字に追い立てられた時の人間の弱さ。
そうした人間のリアルがぎゅっと詰まった一冊だと思います。
個人的には、いつか自分が部下をもったり指導する立場になったとき、必ず読むように勧めたいと思っています。
人が自分のことしか考えなくなったとき。
組織全体が顧客ではなく内側を向きはじめてしまったとき。
そんな状況下で起こりうる最悪のシナリオを先に知っておくというのは、自分を律するための最大の防波堤になると思うからです。
そしてもし数字に追い詰められすぎて悪魔の心がでそうになったら、実行に移す前に「この数字は無理だ」と言ってほしい。
数字は人としても組織としても絶対に意識すべきものだけれど、それを達成することだけが目的になってしまうのは本末転倒です。
目標を達成するのが難しいと感じたら、早めに相談してもらえる環境をつくること。
そして自分も一緒になって考えること。
自分がマネジメントする立場になったら、この2つをまず意識していきたいと考えています。
目標さえ達成できればいい、そんな組織の危うさを、身を持って体感させてくれるおすすめの一冊です。
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