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オンラインイベントの満足度を高めるためにできること

外出自粛の関係でリアルイベントが実施できなくなった今、ZoomやYoutubeを使ってイベントを開催したり、インスタライブ、Twitterライブを活用する事例が増えてきました。

私自身も何回かイベントを主催したり、ゲストとして出演してみた結果、オンラインイベントは単にこれまでリアルでやってきたことをオンランで流せばいいわけではなく、別途設計が必要なものであると認識しています。

リアルイベント以上に誰でも気軽にイベントを開催できるようになった今だからこそ、現時点で私が「ここに注意すべき」と考えているポイントをまとめておきたいと思います。

オンラインイベントはリアルと何が違うのか

まず、オンラインイベントをこれまでのリアルイベントの延長線上として考えてはいけない理由として、オンラインは離脱が容易である点が挙げられます。

リアルイベントの場合は一度会場に入ったらよほどのことがない限り途中離脱することはないと思いますが、オンラインの場合は数秒で離脱される可能性もあります。

特にインスタライブやTwitterライブなどスマホで見る可能性の高いサービスを使う場合、離脱の可能性はさらに高まります。
なぜならば、視聴中はスマホが使えない状態となり、少しでも飽きたら他のSNSをチェックしたりWeb記事を読んだりしたい衝動に駆られてしまうからです。

リアルイベントが開催できなくなってから、イベント実況ツイートを見かける頻度が減少しませんでしたか?
オンラインイベントの場合、あらゆる楽しみが揃うスマホの誘惑に打ち勝つほど熱中してもらえるコンテンツを作らなければ、満足度を高めるどころかイベントに最後まで参加してもらうことすらできないのです。

Web記事でもYoutubeでも「読了率」「視聴完了率」といった指標が重視されますが、オンラインという土俵に存在するかぎりは、イベントもこの指標を意識せざるをえないということです。

「インタラクション」をどう設計するか

離脱を防ぐために一番効果的な手立ては、イベント内にインタラクション性をもたせることだと私は考えています。

具体的に言えば、参加者がイベント中に発したコメントを登壇者が拾い上げ、相互のやりとりによってイベントを作り上げていくこと。

逆にこれができるのは、オンラインイベントだからこそでもあります。

以前ベイスターズのオンラインイベントでモデレーターを務めた際に強く感じたのは、「オンライン上では参加者の心の声が可視化される」ということ。

普段リアルの場で開催しているイベントでは、登壇中に参加者の満足度を知るには表情を見るしかありませんが、その場の雰囲気だけでは掴みきれないことも多く、後からアンケートを読んで反省することもしばしば。

しかしオンラインの場合は、不満があったり飽きてきた場合にはすぐコメントに反映されるために軌道修正もしやすく、自分が提案した改善点が即座に反映されることで満足度も高まりやすくなります。

こうしたインタラクティブ性の高さは、同時に投稿したり前後の文脈と多少ズレていてもイベントの進行を妨げることなく、即座に流れていオンラインコメントならではの性質だと思います。

また、インタラクティブ性を高めることでイベントへの没入感を高め、離脱を防ぐ効果もあります。
オンラインイベントの場合はコメント欄が簡易的なタイムラインのようになるため、そこでのやりとりもまたひとつのコンテンツになりえるからです。

以上の点から、オンラインイベントの満足度を高めるにはインタラクティブ性をどう設計するかが肝になると私は考えています。

ポイント①コメント活性化の設計

インタラクティブ性を高めるには、参加者のコメント投稿数を増やしていく必要があります。
そのためには、イベント前に当日紹介するコメントを募集しておくことは必須だと私は考えています。

応募時の質問やコメント募集はリアルイベントでも実施してきたところが多いと思いますが、ポイントは「イベント中に紹介する前提」として募集する点です。

リアルイベントでは終盤の質問コーナーで手が上がらなかったときの保険として使われることが多いイメージですが、オンラインイベントの場合は事前コメントに対して主催者やゲスト同士が答えたり話を深めたりする方が参加意識が高まりやすくなります。

また事前コメントをしやすくするために、「何か質問はありますか?」といった漠然とした問いかけではなく「こんなときはどうしていますか?」「◯◯についてやっていることを教えてください」など具体的な質問や、すでにやっていることなどを織り交ぜるとよりコメントを集めやすくなります。

その上で、紹介する際の名前も記載しておいてもらえば、イベント中に名前もあわせて紹介し、場合によってはそのコメントをした参加者に直接話してもらうことも可能となります。

事前にこうしたコメントを集めておくことで当日の進行を組み立てやすくなりますし、いいコメントに関しては直接参加者にコンタクトをとってより詳細な情報をもらったり、飛び入り参加の打診をすることもできます。

当日のコメントを盛り上げるには、こうした事前準備が必要不可欠です。

その上で、当日のコメント欄も盛り上げていくためには、下記の2つの方法があると私は考えています。

1. コメントをトークの中で拾っていく
2. コメント欄の中で盛り上げる

まず想像しやすいのは1. の「コメントをトークの中で拾っていく」だと思います。
ただここで注意していただきたいのは、2人以上でトークする場合にはモデレーターと別にコメントをチェックし続けるモデレーターが別途必要になることです。

芸能人のインスタライブのように1人で配信してコメントを拾い上げる形式の場合はトーク回しもコメントを拾うのも自分自身なので問題ないのですが、2人以上になると会話の進行とコメントチェックが同時に発生し、ほとんどの場合中途半端になります。

ビジネスイベントの場合は対談形式が多いかと思いますので、モデレーターとは別にコメントをチェックするアシスタントモデレーターを置き、話の途中で「こんなコメントもきてますよ!」と適宜挟んでもらう形式がベストだと思います。

以前英語コーチングのProgritさんとオンラインイベントを開催した際は私がメインで話を聞きつつ、適宜相方の伊佐さんにコメント欄から質問や感想を拾ってもらうという形式に自然と収まったのですが、このあといくつかイベントをしてみたあともこの形式が一番スムーズだなと感じました。

リアルイベントの際もたまにモデレーターをしながらSNSのハッシュタグを拾おうとがんばることがあるのですが、「読む」という行為が入るとどうしてもそこで話が途切れてしまうし、ゲストが話している内容にも集中できなくなってしまいます。

もしモデレーターを増やすのが難しい場合は、コメント欄の中からいいコメントをピックアップしてもらい、別のメッセージアプリなどを使ってキャプチャを送ってもらうという形式もおすすめです。
特にコメント欄が盛り上がれば盛り上がるほどコメントを追うことが難しくなるため、たくさんコメントが流れてきてもいいものをピックアップできる仕組みを整えておくことが需要です。

次に「コメント欄の中で盛り上げる」なのですが、これはトークの中でコメントを拾うというよりはコメント欄に「中の人」が降臨して別途質問に答えたり、話しの要点をまとめていくようなイメージです。

ビジネス系イベントの場合はゲスト同士の対談やモデレーターが引き出す話に価値があることも多いため、無理にコメントを拾おうとせず、コメント欄はコメント欄、とある程度割り切るのもありだと私は考えています。

その場合、前述のモデレーター2人体制と同じく、コメント欄をモデレートする人員が必要となります。

コメント欄をモデレートしながら、いい質問があったらトークモデレーターに共有したり、コメント欄の反応を見ながら「そろそろ次にいきましょう」と指示をだすなど、サポートもできるとベストだと思います。

ポイント②トークテーマを共有するための設計

次に、オンラインイベントの特徴として途中から参加する人も多い点が挙げられます。
リアルイベントよりも遅刻のハードルが低いのはもちろん、SNSを使った配信の場合はライブに途中で気づいて見始める人も大勢います。

その際に、数秒見て消されないためには「今何を話しているのか」がすぐにわかる仕組みが必要です。

たとえば、インスタライブの場合はコメントをトップに固定する機能があるため、「◯◯と▲▲について語る会」などライブ配信の趣旨を示しておくだけでも、後から参加した人がそのライブを理解しやすくなります。

さらにインスタライブの「質問」機能を使って質問に答えていけば、今何について話しているかもわかりやすくなります。

もしYoutubeライブを使う場合は、少し手を加えればテロップを入れられる場合もあるので、本格的にやりたい場合はやり方を調べてみるのもおすすめです。

Zoomの場合はPowerPointに今話していることをメモしていき、それをを画面共有するのもおすすめです。

こうして後から参加した人もすぐに話題が理解でき、話にスッと入っていけるようになることで、コメント欄もさらに盛り上がりやすくなります。

ポイント③終了後のSNS投稿を促す設計

イベントのインタラクティブ性は、終了後も含めて考える必要があります。
たとえば特定ハッシュタグで投稿してくれた人にはいいねをしたりお礼のコメントをするなど、「やりっぱなし」にしないという点はリアルイベントと共通しています。

ただオンラインイベントのデメリットは、投稿しやすい写真が撮りづらい点にあります。
リアルイベントの場合は会場を俯瞰して撮るだけでも絵になるし、登壇者の写真が何パターンもSNSに上がっています。

しかしオンラインの場合はキャプチャを撮るしかなく、絵になりづらいためほとんどの人が撮り忘れて終わってしまいます。

だからこそイベント終了間際に、SNS投稿用の写真を撮る時間を作ることが大事だと私は考えています。

その際、ゲスト同士がかしこまって映るのではなく、その日のトークテーマや感想を画用紙やフリップのようなものに書き、それと一緒に撮影できると絵になります。

インスタのみならず、Twitterの場合も「〜した」と完了系のツイートをする際は写真があった方が投稿しやすいので(と、自分の過去イベントを振り返ると思います)、オンラインイベントでは意識して「絵になる瞬間」を作ることが大事だと思います。

オンラインイベントは、リアルイベントにはできない可能性がある

私もまだ試行錯誤中ですが、いくつかイベントをやってみて思うのは、オンラインイベントをリアルイベントの代替として捉えるのはもったいないということ。

前述の通りオンラインだからこそできることは多々あり、リアルとは別物としてゼロから設計した方がより価値を発揮できると思うからです。

実際に私もいくつかイベントをやってみて、今後リアルイベントが自由にできるようになったとしても内容によってはオンラインの方が向いている場合もありそうだなと感じています。

イベントオーガナイザーとしても、モデレーターとしても、リアルイベントだけではなくオンラインイベントの満足度を高める方法を引き続き模索していきたいと思います。


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