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自分の人生を背負う力

チェーホフの名作「かもめ」に、こんなセリフがある。

今ならわかる、わかったのよ、コースチャ、舞台で演技をしようと、小説を書こうと、わたしたちの仕事で肝心なのは、名声とか、栄光とか、わたしが夢見ていたものじゃないの。
肝心なのは耐える能力なの。自分の十字架を背負う力がなければいけない、そして信じなければいけない。
わたしは信じているから、そんなに辛くはないわ。そして自分の天職を考えると、生きていくこともこわくない。

アントン・チェーホフ「かもめ」より

この一節を読んだ瞬間、現代を生きる私たちにこそこの物語が必要なのではないか、と強烈に感じた。

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