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今週読んだ海外記事と雑感(2019.11.30)

今週もNewsPicksでピックしたニュースとコメントを転記してまとめておきます。

有料部分では、その週に読んだ記事を総合して考えたことや個人的な雑感などを書いていきます。

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パタゴニアのリセールアイテム限定店舗「Worn Wear」

パタゴニアがリセールアイテムだけを扱う「Worn Wear」のポップアップストアを2020年2月までの期間限定でオープン。「Worn Wear」は2017年からオンライン限定で運営されてきたリセールストアで、すでに12万点以上が販売されてきたというからさすがはパタゴニア&パタゴニアファン!
年間10万着以上修理を行うパタゴニアでは修理専用の工場も作り、もはや「新品を売る」以外のあり方を実際に体現しているブランドでもあります。
また同じくアウトドアブランドのNorth Faceもリセールに着手し、REIはレンタルも開始。アウトドアブランドは自然に接する顧客が多いからこそ、サスティナブルへの意識が高い顧客が多く、ブランドを動かしているのかもしれません。

D2Cブームの終焉

アメリカではD2C人気にそろそろ陰りが。EXITプランが見えずに資金調達が難航し、バリエーションを落とすブランドも出てきているもよう。「リアルな商品の世界にシリコンバレーのプレイブックを持ち込んではいけなかった」という発言、多少なりとも小売の知見があれば誰でもわかりそうなものですがシリコンバレーの名だたるVCでもやってみないと気づけないものなのか…!と驚きました。
とはいえ今後テックが小売をだけでなく不動産やコミュニティ構築などリアルな面にも食い込んでいかなければならないことに変わりはなく、大きな変化を起こすにはVCの資金が必要となることもまた事実。小売分野ではAIをベースにしたレコメンデーションが現在もっとも注目されているようですが、物流改革や決済まわりなど中規模に可能性のあるテーマは多々あり、逆に今求められているのはVCと銀行の中間程度の資金調達方法なのでは…と思ったりもします。
前にも何かのコメントで書きましたが、大規模なリセッションはこの「D2C恐慌」を発端に貸し倒れの連鎖がおきるところからはじまったりして…と最近のアメリカメディアにおけるD2Cの報道をみていると悪い想像をせずにはいられません。

ブラックフライデーがブランドビジネスに与える悪影響

昨年時点でブラックフライデーの売上は6.2億ドル、サイバーマンデーの売上は7.9億ドルとオンライン売上の方が大きくなっていることにも驚きましたが、REIの「ブラックフライデー期間中は休業」の戦略も面白い。
日本でもセールの功罪については昔から語られてきましたが、特にこの数年はD2Cブランドの台頭によって顧客ロイヤルティが重視されるようになった分、ブランドへの共感よりも「安さ」で買い物する顧客を獲得しても長期的なメリットが少ないという考え方は納得。
本来セールはシーズン中に売れ残った在庫を処分する意味合いと、館や商店街で同時にセールをすることでお祭り的な盛り上げをする意味合いがありましたが、インターネットによって受注生産が可能になったりそもそもシーズンを意識しないブランドも増え、自分たちでイベント開催したりと代替手法もでてきたので、今後D2Cブランドが台頭すれば台頭するほどセールの位置付けは今と変わってくるような気もします。

『常設店舗化』していくポップアップストア

ブランドにとってポップアップストアと常設店舗の壁が溶け出してきているという話。日本もそうですが、基本的に不動産側はたとえ現時点で空きがあったとしても短期で貸し出したらがない(=なるべく長期で貸し出したい)のですが、この変化が大きい時代において大企業でも10年の賃貸契約を結ぶことはかなりリスキー。少しずつ契約年数を短くするなどの譲歩が必要になっていくだろうなと思います。
一方ではじめは数ヶ月からはじまったポップアップが人気になったため半年、1年と契約を延長し、結果的に常設店舗化した事例も記事で取り上げられていますが、こうした「おためし出店」からの長期契約、という流れも今後増えていくのでは。
今や旧来的なブランドは軒並み実店舗をクローズしており、新店舗出店の勢いがあるのはD2Cブランドが中心なので、不動産側もより柔軟になっていく必要性を感じます。

サブスクリプションサービスも『共創型』へ

キュレーション系サブスクサービスが第二フェーズを迎え、ユーザーと「共につくる」型が増えてきているとのこと。プラスサイズブランドのDia&Coではまずユーザーに数点アイテムを選んでもらい、それにあわせてスタイリストがアイテムを選ぶ仕組みに変更。用途や好みにあわせて「これが着たい」という希望はありつつ、あわせ方がわからなかったり、よりスリムに着こなすためのアドバイスがほしい人向けにスタイリストがアドバイスしつつ追加アイテムを選ぶかたちのもよう。
これはサブスクサービスの価値が「似合う服」から「似合わせかた」という情報に移行しつつあるということなのかなと思います。Stich fixをはじめサブスクで買い取ってもらう系のサービスは一周すると不要になってしまい解約率が高止まりしてしまうのが課題でしたが、こうしてアドバイスがメインの価値になることで解約率も変化していきそうです。

EC革命は大企業にも恩恵をもたらした

デジタルは大企業をディスラプトするイメージがありますが、コスメ業界においてはシェアを取られるどころか市場全体が成長し、ロレアルもその恩恵を受けて毎年売上が伸びているとのこと。特にモノを作って売るビジネスは規模がネックになってくることも多いため、「小さいブランドが大企業になるのは簡単なことではない」という話は納得。
一方でネットの影響を受けている部分として、VSCO GIRLを中心とする「ナチュラル派」の台頭があげられていたのもユニーク。環境への配慮や派手なメイクではないアイテムづくりが求められるなど、小規模ブランドが作り上げた価値観に大企業が影響されるという図はこれからますます増えていきそうです。

プラスチックハンガーはファッション界の"ストロー"だ

「プラスチックハンガーはファッション界の"ストロー"だ」というタイトルが言い得て妙。ここでいうハンガーは店頭で使われているものとは別に、倉庫から店舗に運ばれる際に使われる安価なものを指しています(店頭に並べる際は高級感のあるハンガーに掛け替える)。サスティナブルが叫ばれる時代とはいえ、顧客に見えるところ以外はコストを優先させる企業の方がまだまだ多いもの。とはいえ年間数十億の規模で生産され、そのまま捨てられるハンガーに課題意識をもつブランドも増えつつあるようです。ちなみにプラスチックハンガーの課題は紙に変えると60%近くもコストが上がる上にリサイクルするよりも捨てる方がトータルコストが安いというコスト面のジレンマが大きいこと。紙製にすることでハンガーを薄くして輸送コストをあげたり、鋳型の開発が不要などの経済価値が実験されていますが、経済面が見合うようになったときが全体に広まるタイミングなのだろうなという気はします。

『所有する』という美徳

「レンタルは本当にエコと言えるのか?」という冒頭の問いは納得感あり。洋服の廃棄は減るものの、たしかにドライクリーニングや商品の配送・返品と何度も運送を繰り返すことを考えると、レンタルという体験全体でみたときに本当にエコなのかは疑問が残るところ。今はまだ市場が小さいものの、これから利用者が増えていけば従来の購買行動よりも環境負荷が大きくなる可能性は十分にあると思います。
一方で、レンタルが広まっているのはエシカルトレンドだけではなく写真に残ることを意識したオケージョン消費が前提にあり、また「安く手に入れてすぐ手放すのは洋服本来の楽しみ方である『モノに思い出が宿る』という論調でいけば、リセール市場の盛り上がりも否定しなければ整合性がとれないのでは?という気も。
タイトルの「所有する美徳」というフレーズが意味するとおり、所有はこれから一部のコレクター向けの美徳になっていき、大多数の人はレンタルやリセールで済ませるという流れは不可逆なのではないかと個人的には考えています。

H&Mがレンタルサービスをテスト開始

バナリパ、Urban Outfittersに続きH&Mもレンタルサービスに参入。今年のH&Mは薄利多売モデルからの脱却を目指してあれこれ実験している印象です。とはいえ、レンタルの範囲は限定的でロイヤルカスタマー向けに50型をレンタル向けに用意し、しかも受け取りは金曜日限定で本店に行かないといけない上に一週間で約37ドルという不便さ&価格帯で果たしてどれくらいレンタルされるのか気になるところ…!
一方でこうした「一部レンタル方式」はこれからも広がっていきそうな気はしていて、特にワンピースやセットアップ、柄物やビビッドカラーのものは一度着たら印象が強いので買うよりレンタルしたい層はそこそこいそう。しかしレンタルはどうしても1回あたりの着用で考えると割高になってしまうので、レンタルしてでも着たいと思ってもらえるものづくりとブランディングが根底にあってこその施策だなという気も。

Poshmarkがローカルの勉強会を支援する理由

リセールプラットフォームのPoshmark、Sellerのためのローカル勉強会に年間10万ドル以上の予算をかけているとはおどろき…!「The Posh ‘N Sip」というイベントシリーズとして募集しつつ、運営はPoshmarkが認証したトップセラーに担ってもらっているというバランスも絶妙。トップセラーユーザーからすれば場所代やその他経費はPoshmark持ちで自分主催のイベントが開催できるということなので、お互いにWin-Winな取り組みだと思います。
また興味深いのはROIにも言及している点。イベントに参加したSellerはその後30〜80%売上を伸ばしており、その分の手数料がPoshmarkに入ることに加え、イベント参加者はその感想をSNSでシェアすることも多いため宣伝にもなっているという見立てのもよう。
Etsyも昔からユーザー主催イベントの支援を行っていますが、今後は企業主導のイベントよりもこうした小さいけれどエンゲージメントの高いコミュニティを支援・育成していくのが企業のイベント戦略として正しいのかもしれません。

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最近のニュースを見ていると、ブランドがいよいよ既存のビジネスモデルだけでは立ち行かなくなりつつあることを感じます。

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Retail Futurist / curator。「知性ある消費を作る」をミッションに掲げています。 将来は世界一の店舗メディアを作る予定。noteの有料マガジン「余談的小売文化論」とコミュニティマガジン「消費文化総研」もよろしくどうぞ!