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留学先としてのエディンバラの魅力 #UK留学Challenge

エディンバラへ語学留学に行ったことを伝えると、大抵の場合『なぜエディンバラ?』『そもそもエディンバラってどこ?』という反応が返ってきます。
何を隠そう、私自身も留学先として勧められるまではエディンバラに行こうと思ったこともありませんでした。

エディンバラは、スコットランドの首都。
スコットランドはイギリスのエリアのひとつです。

イギリスと普段私たちが呼んでいる『グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国』はイングランド、スコットランド、アイルランド、ウェールズの4つのエリアから成り立っており、それぞれに文化はもちろん法律なども異なります。

スコットランドとイングランドは別の国。
滞在中にそう強く感じたからこそ、このnoteでは『イギリス留学』ではなくあくまで『スコットランド(エディンバラ)留学』というくくりでその魅力をご紹介したいと思います。

1. 学校外でも英語が使える

まず第一に感じたのは、英語圏だからこそ四六時中英語に囲まれているという環境の素晴らしさ。

今回英語圏を訪れたのは10年ぶりだったのですが、街中でおしゃべりしている人たちの話がなんとなく理解できること、そしてお店の人たちと軽い雑談ができることに大きな感動を覚え、これぞ英語圏に留学する醍醐味なのでは…!と思いました。

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語学学校の先生は文法や発音がめちゃくちゃでも聞き取ってくれるスキルと忍耐力を持ち合わせていますし、クラスメイトとの会話もお互いスローでわかりやすい表現を使いがちです。

そこはいわば、練習試合のための場所。

しかし一歩学校を出ればそこは実際の試合会場であり、ネイティブの発音とスピード、スラングにも食いついていかなければなりません。

もちろんネイティブでないことがわかった瞬間みんな優しいモードに切り替えてくれますが、自分の英語がどのくらい本当に伝わるのか、そしてネイティブが言っていることをどれだけ理解できるのかを日々の生活の中で測れるのはとても貴重な体験でした。

特に日本で独学していると、会話は基本的にオンライン英会話の先生とスカイプ越しに話す形式のみになりがちです。

しかし実際の会話は3、4人で入り混じりあいながら話すことも多いし、必ずしも聞き取りやすい空間ばかりでもありません。
また自分が話したいことを自由に語らせてくれる先生と違って、相手の話を聴きながら反応しなければならないネイティブとの会話は、本来の英語力が試されます。

実際に英語を使おうと思ったらそうしたカオスな環境で使うことの方が多いでしょうし、『聞いてもらう』ではなく台頭に『会話する』ためにはリスニング力もスピーキング力も底上げが必要。

自分の力を過大評価せず、『本当に現地で暮らせる(or留学できる or仕事ができる)レベルなのか』を測るには、どんなテストを受けるよりも英語圏で1週間でも2週間でも『暮らす』体験をするのが一番だなと思いました。

2. 日本人がほとんどいない環境

エディンバラの街を歩いていて一番驚いたのは、日本人はおろかアジア人すらほとんどいないこと!
学校も私たち以外は日本人がおらず、韓国人もゼロでした。

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▲最終日にクラスメイトたちと。

そこそこ有名な観光地なのに中華料理店やチャイナタウンがないことにもびっくりしたし、とにかくアジア人と出会うことが少ないことの驚きました。

語学留学でありがちなのが日本人同士やアジア人同士など『言葉が通じやすい同士』でグループを作ってしまうこと。

慣れない言葉を使うのはストレスなのでときには母国語や母国語に近い感覚で話せる人が恋しくなるのは仕方ないのですが、特に短期の場合は少しでも英語を話さないともったいない!

そういう意味でも、日本人が少なく、何を質問するにもあの手この手で英語を駆使するしかない環境はとてもよかったなと思います。

今回は2人で一緒にいって、2人とも同じクラスになってしまったものの(!)、もし別々に行っていたら学校に1人しか日本人がいないなんてこともあったんじゃないか、と思うとかなり貴重な留学先だと思います。

今回授業を受けていても思ったのですが、アジア系の言語とラテン語系の言語はそれぞれ根本がまったく違います。
なのでラテン語系の母国語を持つ子たちは感覚でわかってしまうような文法やニュアンスが、アジア系の私たちにはわからない、というシーンがたびたびありました。

またスペイン語やポルトガル語話者の子たちはスピーキングレベルが高い子が多いので、普段の雑談についていくのにも四苦八苦。

ある程度英語が話せるようになって、英語脳を鍛えようという人にはぴったりの環境だと思います。

3. フレンドリーな街の人たち

冒頭にも書いた通り英語ネイティブの国でしばらく過ごすのはいい訓練になる…とはいえ、非ネイティブに厳しい国やエリアがあるのも事実。

特に都心は急いでいる人も多いからか、もたもたしていると視線が辛いことも多いですし、店員さんもビジネスライクなことが多いなと実体験としては思います。これは英語圏でなくとも日本でも同じことがいえる気もします。

その点、エディンバラはスコットランドの首都でありながらも都会すぎず、街全体にどことなくゆとりがあるのが魅力だと思います。

カフェやショップの店員さんたちは他にお客さんが並んでいなければ雑談に付き合ってくれますし、パブやカフェでくつろいでいるお客さんたちも人懐っこい人が多く、向こうから話しかけてきてくれることも。
しかも『人がいい』という感じの人懐っこさなので、観光地にありがちな押し売りや高い金額をふっかけられるようなことも特になく、街全体の余裕を感じました。

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また私たちがエディンバラを訪れたのはクリスマス前の時期だったのでクリスマスジャンパーが街に溢れていたのですが、遠くから『なんて素敵なクリスマスジャンパー…!』とキラキラした目で見つめていたら話しかけてくれたり、街中で『写真を撮らせてくれ』と急にお願いしてもフレンドリーに快諾してくれたり、ちょうど話しかけるネタのある時期に行ったのもよかったのかもしれません。

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そして意外と日本に行ったことがあったり興味を持っている人も多く、スコットランドまでやってくる日本人が少ないからか、日本人だとわかると知っている限りの日本知識を総動員してあれこれ話しかけてくれます。

スコティッシュは寒い国の人たちらしく、陽気に誰でも彼でも話しかけるようなタイプではありませんが、こちらから話しかければフレンドリーに話してくれる人たちばかり。

彼らの生活を邪魔しないように配慮しつつ、実践の場として街の人たちと話す機会を作ることもまたスコットランド留学の楽しみのひとつだと思います。

4. 落ち着いた街の雰囲気

個人的に今回の留学で一番魅力的だったのは、エディンバラという街の雰囲気。

どこもかしこも100年以上前に作られた由緒ある建物ばかりで、スコットランド出身の哲学者や文豪の銅像がそこかしこに建てられ、カフェで過ごす若者たちは静かに読書を楽しんでいる──。

知的な雰囲気を愛する人にとって、桃源郷のような世界がそこには広がっていました。

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訪れたのが冬だったことも関係しているかもしれませんが、街全体がとても静か。子供たちもそこかしこで遊んでいるし、夜はそれなりに酔っぱらった若者がはしゃいでいたりもするのだけど、東京の目まぐるしい日々と比べるとまるで時間が止まっているかのようにゆったりと流れる時間。

こんな街に住んだら、どんなにか読書や研究が捗るだろう。

そう思わずにはいられませんでした。

しかし意外なことに、エディンバラは他から移ってきた人も多い街。
好きでここに住もうと決めた人が多いからこそ、街のよさが残りつつ多様性も感じられる街なのだなあ、と思いました。

あと今回の留学で面白かったのは、クラスメイトたちがとても『エディンバラっぽい』子たちばかりだったこと!

クリスマス前の時期は南半球の人たちにとっては夏休みにあたるためブラジルやチリ、メキシコなどの大学生が増えるのですが、ラテンっぽいノリを想像していた私は彼らの物静かな姿勢にびっくり。

むしろ日本人の私が一番授業中も活発でよくしゃべり、ブラジル人の子から『元気だなあ』という視線を送られるほどでした。

休み時間もみんな静かに宿題をしたりスマホをいじったりとシーンとしているし、ランチの誘い合いもそこまで活発ではなかったのが個人的にとても印象的でした。

語学留学というとどうしても海外のノリにあわせなければというプレッシャーがありますが、内向的な人でも場所を選べば無理せず過ごせるんじゃないかなあ、と。

『パーティーしようぜ!』なノリが苦手な人には、エディンバラとてもおすすめです。

5. 物価の安さ(ロンドン比)

イギリスというと物価の高さがネックになると思うのですが、エディンバラは思ったほど物価は高くありませんでした。

もちろんフィリピン留学などと比べると生活費は高いですが、感覚としては日本と変わらなくらいかなと。むしろ量を考えるとエディンバラの方が安かったくらいかも?

ちなみに家賃はairbnbで借りると1日4,000円くらい、食費はスーパーで済ませられれば1日1,000円ちょっとくらいで済みそうな感覚。
スコットランド、というかイギリス全体があまり料理をしないお国柄なのか、ミールキットみたいなものやお惣菜がとても充実しているので、がっつり自炊しづらい人でもおうちごはんしやすい環境なのがありがたい…!

たとえばこれは私たちのある日の朝ごはんの様子。

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海外はフルーツが安いのが嬉しい!このパックで200円弱くらい。パン類やヨーグルトも100円ちょっとと日本と変わらないくらいの感覚。
ちなみに左下に映ってるのはスープなのですが、スコットランドの1人分はだいたい日本女性にとっては2人分くらいあるので1人でいくなら2日に分けて食べる感覚でぴったりだと思います。

そしてこちらはある日のディナー。そこそこちゃんと自炊しているように見えますが、お肉は焼いただけ、野菜はお惣菜をよそっただけ、スープも温めただけ。スーパーでは生鮮コーナーよりもミールキットやお惣菜のコーナーが広いくらい『温めるだけ』な食事が充実しているので、調理器具が揃っていない場所に長期滞在する場合でも安心です。

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外食もパブを中心に3,000円〜5,000円くらいで楽しめるお店が多く、日本と同じ感覚で外食も楽しみやすいと思います。

ただひとつひとつのポーションが大きいので、日本人の場合はシェアする相手がいないときついかも…!
あとヨーロッパ圏は基本的に『テーブルシェア』の習慣がないので、そこそこ高級なお店にいく場合は1人1皿を前提にオーダーした方がよいと思います。
ちなみにカジュアルなお店の場合は向こうから『シェア用のお皿は必要?』と聞いてくれたりもします。

というように、外食にしろスーパーにしろとにかく量が多いので、日本人の私たちからすると実際の生活費としてはそんなに高くないのではないかと思います。

イギリスはとにかく物価が高いイメージがあったので、日本とそう変わらないかむしろちょっと安いくらいなスコットランドの物価にはわりと驚きました。

ちなみにロンドン在住の人がよく言うのは、とにかく交通費が高いということ!

その点エディンバラは徒歩だけで完結できる街なので、交通費が安い分あまり物価が高く感じなかったのかも。
結局一度もトラムやバスに乗ることなく徒歩だけで10日間過ごしました。
学校がある市街地近辺に滞在するのであれば、公共交通機関を使うことはほぼないと思います。

とはいえ、週末にグラスゴーまで足を伸ばした際に乗った地下鉄は初乗りで300円近くしたのでイギリスは全体的に交通費が高い国なのかも。
ロンドンは東京と変わらない規模の大都市なので電車やバスに乗っていろんなエリアをめぐりたくなりそうですが、エディンバラの場合はこじんまりした中で十分楽しめるので結果的に生活費はそこまで高く感じませんでした。

ネイティブの国であり、かつ都市と呼ばれるエリアの中だと滞在費は安い方に入るのではないかと思います。

【おまけ】スコットランドに行くなら気をつけてほしいこと

ここまでエディンバラのいいところばかりをあげてきましたが、快適に過ごす上でいくつか気をつけておいた方がいいこともあります。

1. 基本は放任主義。ある程度話せる度胸がないと辛いかも。

これはスコットランド人自身も言っていたのですが、スコットランドは『必要があれば聞いてね』という文化。
ヨーロッパ圏はわりと放任主義のところが多いのですが、その中でもスコットランドは群を抜いて放任スタイルでした。

レストランやカフェはもちろんですが、学校や寮も初日の基本的な説明など特になく、『わからなければ聞いて』という姿勢。

でもそれは決してサービス精神がないわけではなく、むしろ不要なことに時間や手間をとらせることは失礼だという価値観が前提にあるのかな、と個人的には感じました。

なのでこちらが聞けばなんでもフレンドリーに答えてくれるし、お店でもメニューに書いていないサービスや変更対応なども嫌な顔せず受けてくれます。

日本の場合だと店員さんが気を利かせてやってくれるようなこともきちんと意思を伝える必要があるので、英語力はもちろんですが『英語を話す度胸』もないと辛いかもしれません。

そういう意味でも、英語学習初心者にはエディンバラ留学はあまりおすすめできません。

2. イングランドdisにはじめは面食らうかも

スコットランドとイングランドは私たちが思っている以上に、本人たちにとっては別の国。
なのでスコティッシュに『あなたたちイギリス人は』という意味で『English』という単語を使うと『いいえ、私たちはスコットランド人です』とぴしゃりと訂正されます。

イングリッシュはイングリッシュ、スコティッシュはスコティッシュ。
特にエディンバラは街へのアイデンティティが強い人が多いからか、このあたりの区分けに厳しい人が多い印象でした。

また年配の人たちの中には冗談まじりにイングランドの悪口をいう人たちも。

このテーマについて若いスコットランド人と話す機会がなかったので若者がどう思っているかはわかりませんが、パブやカフェで現地の人たちと話すときは事前に頭に入れておいた方がいい知識だと思います。

3. 冬は日照時間が圧倒的に短いので健康管理には気をつけて!

スコットランドはほぼ北欧に近い緯度なので、寒いだけではなく冬はとにかく日照時間が短い!

私たちが滞在していた12月中旬の日の出は8時半頃。そして15時頃には暗くなり始め、17時には完全に夜になります。
しかも雨が多いことで有名なイギリスらしく天気はわりとどんよりしていて、晴天の日中も太陽は心なしか弱々しい…。

日本に帰ってきて『ひなたぼっこ』という概念を思い出したくらい、日光を浴びるという感覚が希薄になる国です。

この日照時間の短さは、何より人の気分に大きく影響します。
幸福物質と呼ばれるセロトニンは太陽がないと体内で生成されないため、鬱々とした気分に陥りやすくなるからです。

私は10日ほどの滞在だったので異国にきたことによる興奮で乗り切れたのだと思いますが、数ヶ月単位で滞在するなら途中で南欧あたりに足を伸ばしたりすることも考慮した方がよいかもしれません。

逆に夏のスコットランドは夜10時頃まで明るいそうなので、それはそれで体験してみたいなと思いました。

4. 9時間の時差は『働きながら』のスタイルにはやや不便

今回個人的に一番きつかったのは、9時間の時差。
といっても時差ぼけをまったくしないタイプ(!)なので、困ったのは身体面というより仕事面でした。

フリーランスとしてわりとどこにいても働けるスタイルを確立しているとはいえ、人と連絡をとる業務をなくすことはできません。

特に意思決定に関わることは電話やチャットなどまとまった時間をとって話をする必要があるのですが、お互いにちょうどいい時間を探すのが難しい!

スコットランドは日本より9時間遅いので、たとえば日本の朝9時がスコットランドの夜中12時。
逆にスコットランドがお昼の12時を迎えるころ、日本ではすでに夜の9時。

ほぼ昼夜逆転に近い時差なので、予定をあわせるのにとても苦労しました。

またメッセージひとつ送るにしても、通知がいってしまう連絡は送る時間に神経を使うので、寝る前に返信の文章を作っておいて朝起きて一斉に送りまくる、なんてこともやっていました。

単なる旅行であれば午前中いっぱい仕事にあててしまうという選択肢もあるのですが、語学学校に通っている以上午前中は授業のためにほとんど動けない状況。さらに少しでも英語を話すべく休み時間やランチタイムはクラスメイトと過ごしたいと考えると、自分が動ける時間は夕方〜夜にかけてになってしまいます。

私は比較的連絡の頻度が低い働き方をしている方ですが、それでもやりとりには苦労したので、自分が連絡しないと仕事が進まないことが多いタイプの人にとっては厳しい環境かもしれません。

ただ、学校によっては午前コースと別に午後だけコースもあったりするので、学校を午後にして午前中は仕事をする、と住み分けしてしまうのもありだと思います。

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留学先を考えていたとき、今回の旅をサポートしてくださったスクールウィズさんのおすすめで出会ったエディンバラという街。
現地で過ごしてみて、こんなにお気に入りの場所になるとは思ってもみませんでした。

と同時に、10年前にただ『行ってみたい』というだけで英語学習の目的やレベルなども考えずNYを選んだのはちょっともったいなかったかもしれないな、とも思いました。
自分の今のレベルや目指す方向、性格などを含めて相談していたら、もっと違った景色があったのかもしれないな、と。

このnoteに書いたことはあくまで私の個人的な体験ですが、いつか語学留学先や旅行先を考える際にエディンバラの存在を思い出してくれる人が1人でも増えるといいなと思っています。

(Photo by Tomomi

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