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今週読んだ海外記事と雑感(2020.2.22)

今週もNewsPicksでピックしたニュースとコメントを転記してまとめておきます。
文末の有料パートは海外記事の解説です。

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ストリートウェアブランドに学ぶコミュニティドリブンブランディング

アメリカを中心としたスニーカーブームの背景には、投資としての側面と所属先としての側面がある、という話は面白い。また「drop」という話題作りのためにあえて情報を少しだけ漏らす施策もスニーカー以外の商品ジャンルに応用できそう。
買う前に転売価格をチェックする、というのは日本でもメルカリを中心に起きている現象なので、リセール市場が盛り上がれば自然と発生する動きなのかも。
またスニーカーがコミュニティドリブンなのは、ヒップホップやスケーターの文脈とランナーやアスリートの文脈など異なるコミュニティを内包する商材であるためにターゲットをある程度絞り込まざるをえなかった背景に起因するのではないかと思ったりもするのですが実際どうなのだろう。
商品イメージよりもそのユーザーがどんなコミュニティかによって選ぶ、という消費行動の変化はとても面白いなと思います。

D2Cブランドがインハウスデザイナーを登用する理由

D2Cブランドがインハウスデザイナーを登用するなどデザインによる差別化をすすめていることへの考察記事。別記事で「Nikeはもはや広告代理店に近い」というフレーズも目にしましたが、市場が成熟して思想やイメージが機能や品質と同じくらい意味を持つようになると、その発露としての広告デザインやブランドメッセージの一貫性といったコントロールが重要になるのかなと思います。

資生堂に買収されたDrunk Elephantはその後どう成長しているのか?

昨年資生堂による大型買収が話題になったスキンケアD2CのDrunk Elephant。長年のファンからは「大企業の傘下に入って変わってしまった」と言われているようですが、ロゴやサイトのリニューアルと一緒で、ファンにとってはどんな変化であれ違和感があるものだし、抵抗したくなるものだと思うので新規ユーザーがどれだれ増えたかと比較しながら見ていくのが重要なのかなと思います。
そしてこの記事を読んで知ったのですがNARSも資生堂傘下だったのですね…!よく考えたら、コスメはD2Cという言葉ができるはるか昔から独立系ブランドをコングロマリットが買収する事例がたくさんあるので、今後D2Cの買収案件が増えていくであろうと予測される中で彼らの戦略を研究してみるのもよいかもしれません。

Stitch Fixが新サービス「Shop Your Looks」を正式ローンチ

Stitch Fixが新サービス「Shop Your Looks」をローンチ。これまでスタイリストが選んだものが送られてきていたStitch Fixですが、とうとう顧客が好きな商品を選べるようになりました。つまり「スタイルの提案」に加えて「自宅試着」の意味合いも強くなったということ。他のファッションサービスが次々にリアル店舗に注力する中、かたくなにオンラインでの施策にこだわりつづけるStitch Fixは未来の店舗のかたちになりえるか。そのためにはAIとスタイリストの力でぴったりのスタイリングを提案しつつ、ゆくゆくバーチャル試着も取り入れて選びやすくしつつ、というテクノロジーとアナログの絶妙なバランスが重要なのだろうなと思います。

現代はインフルエンサーブランドの黄金時代なのか?

PB、D2Cに並び注目を浴びるインフルエンサーブランドのブームを取り巻く環境について考察した記事。RevolveのようなECプラットフォームがインフルエンサーブランドのブームを牽引してきたことは間違い無いと思います。一方で、ブームだからといって安易にブランドを立ち上げようとしてはいけないという話にも共感。昔から芸能人がブランドを立ち上げる事例は多々ありましたが、男性ファンが多いのに女性向けのブランドを立ち上げるなど「現状」と「理想」の乖離があったためにうまくいかなかったケースも多く、インフルエンサーブランドの戦略はこうした芸能人ブランドの成功と失敗に学ぶべきなのではないかと思います。

ラグジュアリーブランドが「チープ」をミックスさせるわけ

ラグジュアリーブランドがあえてチープな素材をミックスしたアイテムを発売したり、ストリートブランドとコラボしはじめた背景について調査したHBRの記事。1000軒のレストランを対象にした調査では、富裕層ほど高い素材と安い素材のミックスを好む傾向が強かったとのこと。またモスキーノのスプレー型香水やグッチのIKEAインスパイアのビニールバッグのように、チープな見た目のものとラグジュアリーなアイテムを組み合わせるのがセレブの間で流行りはじめているとのこと。日本でいうちょっと前の角打ちブームや下町立ち飲みブームも、実は西側のわりと余裕がある層の中で「あえての」といった感覚があったようにも思います。
こうした背景には、格差が広がって日常的に接する文化が異なってきたために、自分たちから遠いコミュニティや階層のものほど新鮮に可愛く見えるという動きがあるのかなとも思ったりします。

トイザラスとb8taが共同でキッズ向けの新店舗をオープン

RaaS(Retail-as-a-service)の筆頭格であるb8taがトイザラスとジョイントベンチャーを作り、体験型のキッズ向けショップをオープン予定のニュース。b8taといえば店舗データを取得して分析するサービスのイメージが強いですが、Forumに自前の店舗をオープンしたり自社保有スペースの展開も積極的に増やしています。
まだトイザラスとのコラボ店舗の全容は明らかになっていませんが、デジタルネイティブな子供たち向けにどんな店舗づくりがなされるのか気になるところ。

ファッションの新たな潮流:Made-to-Order

海外の小売系メディアを見ていると、トレンドが「D2C」から「Made-to-Order」に移り変わりつつあることを感じます。D2Cがモノの売り方を変えたとすれば、Made to Orderはモノの作り方と流通の仕方を変えることになりそう。事例として出されているスポーツウェアのUltracorは注文から届くまで21日かかりますが、工場をすべて自社で保有しているという投資の潔さがすごい。
対してオーダースーツのAton Laneはなんと最短8日で納品可能とのこと。これまで1ヶ月弱かかるのが当たり前だったオーダー業界において、ほぼ最速といえそうです。また彼らがすごいのは、原材料となる生地もほぼ在庫を積んでいない点。ということは織の工程も含めて8日…???
オーダー製造はどうしても原材料の確保がボトルネックになりやすく、特にトレンド商品は生地欠品のために増産できないケースもあり、実現のハードルは高いとされてきました。しかしこうして徐々に短縮されていっているのをみるとテクノロジーの進化によって製造マネジメントも高度化していることを感じます。

Glossierのサブブランド戦略は失敗だったのか?

Glossierのサブブランドである「Play」のInstagram更新が途絶え、先日非公開に。ここまで順調に成長してきたGlossierですが、今回のサブブランド戦略はこれまでのGlossierのイメージから離れたグリッターなどのメイクアップ商品だったこともあり、成功とはいえない状況になりつつあるもよう。まだブランド本体の知名度も十分といえない状態のため、本体に注力していくことが必要という専門家の指摘は今後のD2Cの戦略においても示唆的な部分がありそうです。
ちなみに売上としてはPlay購入者の2/3が本体のブランドもあわせて買っているとのことでしたが、これはGlossierファンが買い支えていた面もあるようで、期待していたような「新ブランドが本体ブランドの集客装置となる」という流れにはならなかったようです。

Z世代はインスタショッピングをどう使っているのか?

Z世代のInstagram利用にまつわる調査結果が面白い。Z世代の60%が新しいブランドや商品を探すのにInstagramを活用しており、これは他のSNSと比較してもぶっちぎりのトップ。さらに75%がオンラインでの買い物を好む一方で、80%は新しいものを探すのにリアル店舗にいくと回答。つまり新しいものに出会う上で、今のところはインスタよりもリアル店舗の方が好まれているという結果に。
今後この比率が変化していく可能性もあると思いますが、やはり新しいものと出会う偶然性と一度にたくさんのものを見られる網羅性がリアル店舗の強みなのかなという気もします。

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今回ピックしたニュースの中で、ひとつだけ自分の中での結論が見つけられずコメントしづらかったものがありました。

それがこちらのニュース(というか考察記事か)。

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