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「この人のおすすめなら読みたい」と思える相手を作ること #BOOKTALK

ビジネスの世界では、人に勧められた本をすぐに買って読むことがよく奨励されています。
特に尊敬する人がSNSで勧めている本や、イベントで話題になった本はその場ですぐ買うようにしている人も多いのではないでしょうか。

かくいう私も20代前半はひたすら人におすすめされた本ばかり読んでいました。

しかし先日の記事にも書いた通り、この3、4年はむしろ人からのおすすめで本を読む割合を意図的に低くするようにしています。

その理由は、社会人として中堅のポジションになってくると基礎教養と別に専門性を身に付ける必要があると感じているから。
ここでいう専門性とはスキルや業界知識ではなく、自分だけが持つユニークな視点から世界を見ることを指します。

私の読書への考え方は三谷さんの戦略読書をベースにしているのですが、この本に出てくるマトリックスでいえば私はちょうど基礎を卒業して非ビジネス系の本を増やすべき時期にあります。

※読書ポートフォリオの考え方はこちらの記事がわかりやすいです

これはつまりビジネス書だけではなく歴史や哲学、フィクションなどを読むことで、目先のHow toではなく思想を育てるための情報を取りにいく時期なのだと私は解釈しています。

その時期に読む本を人からのおすすめに頼りすぎてしまうと、結局そのおすすめしてくれた人の視点の焼き直しになってしまう可能性があります。

だからこそ自分で本屋さんや図書館に足を運んで普段はみないような棚も隅々までみてみること、そして気になるテーマが見つかったら複数冊読んで深めてみる読書が大事になってくるのだと私は思っています。

こうした考えから最近は人のおすすめをみてもすぐには買わなくなったのですが、それでも『この人のおすすめなら買う』と決めている相手が何人かいます。

来月開催するBOOKTALKイベントのゲストは、まさに『おすすめしていただいた本は読む』と決めている方々。

深津さんからは以前『国家はなぜ衰退するのか』を勧めていただき、とても感銘を受けたのでコミュニティの課題図書にも設定し、みんなで国家システムについての議論もしました。

深津さんは歴史や社会システムなど『集団は何によって動くのか』を考察するヒントになりそうな本をよく勧めてくださるのですが、会話の途中に『それならこの本を読むといいですよ』と文脈込みでおすすめしていただくことが多いので、いつも信頼して購入しています。

私は翻訳本が苦手なのでどんなにベストセラーになった本でも手を伸ばすことが少なく、我が家の翻訳本はほとんど深津さんに勧めていただいたものばかり…!
読むのに時間はかかりますが、買って後悔したことはないのでさすがの精度だなといつも思っています。

櫻田さんとはしょっちゅう本の話をするわけではないのですが、私の好みや興味を私以上に熟知してくださっているので(!)、会話の中で出てきた本はチェックすることが多いです。

この『キュレーションの方法』は、私の役割として『キュレーター』があるんじゃないか、と言われたときにおすすめしていただいたもの。

アートのキュレーターの話なので、合間に挟まれる現代アートの話などちんぷんかんぷんな箇所もありましたが、編集者でありコネクターでもあるキュレーターの仕事哲学はとても本質的で参考になる部分が多く、面白い本でした。

普段話しているときも、あるテーマについてお互いに同意しているのにその裏付けとして出す事例や知識がまったく異なるのでとても新鮮で、新しい本や視点に出会うという意味で櫻田さんのおすすめはとても参考にしています。

渡邉さんとは実はそこまで本の話をしたことはないのですが、以前いただいた朝吹真理子さんのエッセイがとても面白かったのが印象的でした。

またイベントやインタビューなどを拝見していても古典や名作小説からの引用を頻繁にされていることもあり、本の話をしたいなと思っていた方のひとり。

今回イベントで販売も行う著書の中にも私がよく読んでいる日本の思想家たちの引用が多々でてくるようで、文学的な視点も含めながら哲学や歴史について語れたらいいなと思っています。

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この3人の共通点はなんだろうと考えたとき、会話の中で自然と本の話がでてくることかもしれない、とふと思いました。

私はnoteでもよく本から引用したフレーズを使うのですが、普段の会話でも同じように引用しています。

でもそこでまた別の本を提案してくれる人は意外と少ないし、それが流行りの本の感想ではなく自分の価値観を反映する本当しての引用となるともっと少なくなります。

つまりそれだけ読んだ本を自分の言葉で語れるほどに血肉にできる人が少ないということなのだと思います。

さらに、会話の中で出てきた本を読むメリットは自然と相手が『私に合う本』を勧めてくれているということ。

たとえば『最近おすすめの本はありますか』と一般論として聞くと相手も一般論としてしか返せなくなります。
しかし会話の中で『そのテーマに関しては最近こんな本を読んだんだけど』と紹介された本は、会話に出ている時点で自分も興味のあるテーマだし、イベントでの質問形式ではなく会話形式なら何往復かすることで自分の興味にあった本を紹介してもらえる可能性もあります。

だからこそ私はかしこまっておすすめ本を『聞く』よりも、自然な会話の中でおすすめ本を『発見する』方が、自分の身になる本を見つけやすいのではないかと思うのです。

そんな思いもあって、今回は私とそれぞれのゲストの1対1の会話形式でイベントの構成を組みました。

当日どんな本の名前がでるのかを楽しみにしながら、参加していただけると嬉しいです!

私も年末に我が家の本を整理しつつ、イベント当日に備えたいと思います。

【イベント概要】
▶︎日時:1/12(日)11時半〜16時(三部制)
 ※それぞれ単独での参加も可能です
▶︎場所:青山ブックセンター本店イベントスペース
▶︎人数:各回50名
▶︎スケジュール:
11:00〜 開場
11:30〜 第一部(ゲスト:深津さん)
12:30〜 休憩
13:00〜 第二部(ゲスト:櫻田さん)
14:00〜 休憩
14:30〜 第三部(ゲスト:渡邉さん)
15:30  終了(完全撤収16時)

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