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鷹の居ぬ間の鴃舌

 インターネットの海を揺蕩いながら、ことばを漏らしている間は気が紛れる。ゆらりゆらりと戯言。時たま嘘八百。二枚舌の百舌鳥。返事を求めず、鷹揚に。


 明朗快活の対極にいる私は、幼少の頃より本に逃げ、思索に逃げ、ものの見事に口語に難のあるレトリック弁慶に成り果てた。おっと脛は狙わないで。泣いちゃうから。

 幼心にも、伝わらないことへの恐れを覚えてしまったのが原因だろう。どこのクラスにも少し強い子がいて、その子たちの言葉が集団の標準語となる。そこから外れた語彙は自然と排斥されていく。

 小さな鳥かごに跋扈する猛禽類の皆さまのお眼鏡にかなうことばを捻り出すのはむつかしい。帰路を急ぎながら、こう考えた。

 鳴かずとも時折打たれ
 啄めば風にさらされる
 巣に籠っては窮屈だ
 兎角に鳥の世は住みにくい

 漱石先生、大変失礼いたしました。


 鳥はともかく、人なんてものはお互いわからないくらいがちょうどいい。わかり合うことに執着してライフポイントをすり減らし続けた私は、愚かだ。

 高校に進んでからTwitterを始め、インターネットの四方八方に産声を上げた。数少ない友人と匿名の誰かさんたちに見守られた雛はすくすくと成長し、嬉々としてさえずるようになった。今の私もまた、愚かだ。

 緡蛮たる小さな青い鳥、こるり。鷹の居ない空で今日も元気にチュンチュンしています。



 そしてご報告。

 この度、私の筆名に姓がつきました。今後お堅めの文章を著すときには「小鳥遊(たかなし)こるり」と名乗ります。予てより推していたYouTuberのGenさんに相談したところ、配信にて視聴者の皆さまと一緒に筆名を考えていただく機会に恵まれました。正直めちゃくちゃ気に入っております。本当にありがとうございました。

 時が満ちれば、小鳥遊姓を携えて小説や批評を著します。これからもどうぞご贔屓に!

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