即時取得について

〇即時取得について 物権には、即時取得の制度がある。 不動産においては、外観上それが誰の者かわかりにくいため、「登記」という制度が存在するが、動産に関しては、日常生活の上、いちいち登記を利用するのは現実的にではない。 そこで、動産に関しては、「その物を現に所有しているものを、所有者と考える」という考え方が生まれた。これが即時取得の根本である。これは、前の占有者の占有が正当な理由に基づき、そこから動産を取得したものの権利を守ろうとする趣旨である。

現実問題として、自分の持っている傘を「自分の傘」であると証明することは困難である。買ったときのレシートや領収書を常に持ち歩いているわけではないし、仮にレシートや領収書を持っていたとしても、そこに書いてある傘は別の傘かもしれない。そこで、即時取得の主張には、自己が無過失であることを立証する必要はないとした。

〇占有改定による即時取得は認められない。
占有改定とは、例えばAさんとBさんが取引をして、売買契約を締結したものの、売主のAさんはそのままBさんに「借りている」体をとりそのまま使ってるような場合である。

この場合、真の権利者は買主Bさんであるものの、実際に物はAさんの手元にあるので、いざ所有権を主張するといっても、手元に何もないためすることができない。これでは、真の権利者を蔑ろにすることになるため、即時取得は外観上従来の占有に変更を生ずるような占有を取得することが必要であり、占有改定による即時取得は認められないとした。

〇即時取得の例外

即時取得された盗品・遺失物に関しては、被害者・遺失主は、2年間に限り回復請求することができる。
しかし、横領はこの回復請求はできない。
→盗品の占有者は、返還請求があるときまではその物を使用収益することができる。

〇要件

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