芥川龍之介歌集
月並みな表現だが、芥川龍之介の言葉選びが好きだ。彼の書く熟語やカタカナ語の表現がかっこいいから。村上春樹も、ジェイ・ルービン選『芥川龍之介短編集』の序文で「芥川龍之介の文章はヴィジュアルもよい」というようなことを言っていた(たぶん)。
彼の生い立ちを知り、作品とは別にそちらにも惹かれた。下町に住む庶民の「共同幻想」と都市のインテリの「共同幻想」に板挟みになる芥川、という図を最近見かけた(100分de名著の教材らしい)けど、そういうやさしさがいいなと思った。やさしさだけではなく、どちらにも馴染めない、違和感を抱えていたのかもしれないけど、それも含めて。
青空文庫を眺めていたら歌集があったので読んだ。彼の扱う言葉のうち、熟語やカタカナ語だけではなく、ひらがなの表現も好きだと気づいた。やさしさだ、と思った。
最初に載っていた歌からもう、既にだった。
聴覚や嗅覚、色彩に依る歌と、「恋のかなしみ」の歌が目立った。
「砂上遅日」という最後の章には、好きだと感じる歌が多かった、それはたぶん、「光」についてだったからだ。
「光はちゞにふれり光は」
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