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ゲームにおける歌のレベルを引き上げたヒュムノスという存在

あなたはアルトネリコシリーズ、そしてその系譜を継ぐサージュ・コンチェルトシリーズというゲームシリーズをご存知だろうか。今はコーエーテクモに吸収合併されてしまったガストのRPGだ。(シェルノサージュのみAVG)

詩魔法という力

このシリーズの最大の特徴は何と言ってもヒロインたちが謳う詩魔法である。ヒュムノスとも呼称される詩魔法はその名の通り、謳うことで魔法のような様々な現象を呼び起こすことができる。
(厳密にはアルトネリコ3やサージュ・コンチェルトシリーズにおける詩魔法はヒュムノスではないようだが、ここでは全てヒュムノスとして扱う。)
もちろん実際にゲーム内で歌が流れるのだが、この歌が凄いのだ。

ヒュムノスの音楽的特徴

・歌詞中に創作言語のパートがある
  (この創作言語自体もヒュムノスと呼ばれるため少しややこしい)
・多重コーラスがふんだんに用いられた民族音楽風の荘厳な音色

この2つがヒュムノスの特徴として挙げられる。ヒュムノス(言語)は適当な文字の羅列などではなく、専用のフォントや文法まで設定されているなど異様なほどに設定が練られており、(ディレクターの土屋暁氏によるヒュムノサーバーという専用の設定サイトまである。)これにより独特な雰囲気が生まれている。

そして多重コーラス…それは自分の声を複数回録音し重ね合わせ、重厚なコーラスを作り出す技法。これによりゲームの挿入歌でありながら、非常に荘厳な楽曲に仕上がっている。歌唱は様々なボーカリストが行なっているが、シリーズを通して担当しているのが志方あきこ、霜月はるか、みとせのりこの御三方だ。

3人の歌姫

志方あきこの歌は最も重厚でヒュムノスの顔と言える。
霜月はるかの歌は柔らかな声で志方氏と対になっている。
みとせのりこの歌は最も透明感に溢れるソプラノだ。
僕はみとせ氏の声が一番好きだ。
主に志方あきこ、霜月はるかの2人がヒロイン2人の歌唱を、みとせのりこが敵側の人物の歌唱を担当している。

アルノサージュOPテーマ
”謳無き丘へ~Harmonics Pre=Ciel~”歌:志方あきこ


特に3人が一堂に会して謳うアルトネリコ1のEDテーマ
”EXEC_PHANTASMAGORIA/.”は歌詞も含めて必聴必見である。


最新作のアルノサージュでは攻殻機動隊のOPなどで有名なロシア人アーティストORIGAや、flipsideのボーカルとしても活躍している声優アーティストの南條愛乃も参加している。特に南條愛乃は過去作なら霜月はるか氏が担当していたところであるヒロインの1人の歌唱を担当しており、まさに大躍進である。

興味が出てきたなら、まずは上記”EXEC_PHANTASMAGORIA/.”も収録されているアルトネリコ1の”月奏~ツキカナデ”と、対になっている”星詠~ホシヨミ”を勧める。このシリーズが僕の中でゲーム音楽のハードルを大きく引き上げてしまった。ゲーム自体に興味がなくても聴く価値のあるアルバムだし、もちろん実際にゲームをプレイしてから改めてアルバムで聴くのもありだ。

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