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映画『フリクリオルタナ』を観てきた

上映が今日までだったので。以下レビュー未満の感想。



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まず僕にとってのフリクリは『コアなファンがいるらしい一昔前のガイナのOVA』で、プライム・ビデオなどで配信されたのを試しに観てみたら面白かった、というものだ。だからこれが一番好きなアニメだ、とか何年も前からずっと思い入れがある、とか(言い方は悪いが)そういう”面倒な古参ファン”ではないということだ。オルタナを観てきたのも、18年越しでスタッフも殆ど変わった上で作られるこのアニメの新作とはどんなものなのか気になる、という興味本位なところが大きい。

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映画を観るときは先入観をできるだけ持ちたくないため、他の人の感想などは自分が観終わってから読むようにしている。軽く検索してみると、オリジナルのフリクリファンからは否が多めの賛否両論であるようだ。しかしそれもわかる気がする。なにせオリジナルについては「説明不足で意味深なセリフが多いし、ものによっては少し気持ち悪いとすら言える演出があったり、ジブリアニメみたいな絶妙な棒演技の人が何人かいる。でも楽曲の使い方と映像でそういうのをみんなふっ飛ばしていて結果不条理でよくわからないが面白い」という感想だったのに対し、オルタナは「そこまで変な演出無いしキャラの演技もみんなまともだ。各キャラの立場も話もストレートでわかりやすい…」というものだったからだ。良くも悪くもフリクリらしさが薄いのだと思う。the pillowsの楽曲に、ハル子、フラタニティやメディカルメカニカの存在によりフリクリなんだなと認識しているような…そういう感じだ。

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しかしここで問題となるのがオリジナルから唯一共通している登場人物でもあるハル子だ。ギターでメディカルメカニカのメカと戦ったり、目をつけた人の頭からN.Oを引き出すためにとんでもないことをするのは同じなのだが、泉に落として女神様に交換してもらったかのように少し綺麗なハル子さんになっている。具体的には、オリジナルでは”目的はあくまでアトムスクでありそのためには地球がぶっ壊れても知らんもーん”だったのに対し、”明確な目的は無いがメディカルメカニカの思い通りになるのは気に食わないから、地球を真っ平らにしてしまうアイロンをぶっ壊す”という、見方によってはヒーローのような人物像になっている。監督のインタビューによると

「OVAのハル子よりも少し優しい印象を受けると思うのですが、意識的に描写しています。~中略~そうしたのは今『フリクリ』を作る上で、こういうハル子もあっていいと思ったからです。もちろん、ハル子というキャラクターを壊したくはないので、バランスを取る必要はあるのですが。」

ということなので、オルタナというタイトルの通りオルタナティブなハル子だと思うのが妥当なのかもしれない。世界線は同一のものらしいので、個人的にはオリジナルから年月が経ちアトムスクへの執着も無くなって落ち着いたハル子、という風に解釈したい。(あの鎖のついた腕輪もしていないし)青春している女子高生に説教するハル子というのもそれはそれでいい。

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オルタナは”仲良し女子高生4人の青春物語”×”フリクリの一部要素”というものであり、おそらくパンチが足りない、尖っていないのだ。その尖っている部分が良かったんだという人には物足りない作品なんだろう。上映期間も短く明らかにフリクリファンのみをターゲットにしているようなのに、そこまで入れ込んでいない人のほうが楽しめそうというのは少々皮肉である。この感想には他の人のそれから受けた影響が少なからずあり、鑑賞直後はもっと素直にいい映画だったなと思っていたので、方向性が異なるだけでいいものではある……はず!PVではプログレのほうが突飛な印象を受けたのだが、はてさてそちらは鑑賞後どうなっているやら。

というか今さっき知ったんだが当初はプログレがフリクリ2でオルタナがフリクリ3だったようだ。なぜ逆にした…?

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