見出し画像

映画自評:もしかして「コカイン・ベア」は素材を活かし切ったのかも

B級映画大好きなボクは定期的にB級映画を見たくなるのだ。薬中のように。だから上映期間中もやたら気になっていたのが、中々行けなくてつい最近Amazonプライム見ることができた。

「コカイン・ベア」

もう、タイトルからして、映画の説明からしてB級感丸出しって感じ。
以下ネタバレを含む。



人間が何らかの理由で飛行機から投げ落としたコカインを野生のクマが喰って狂暴化。いつも以上の力を発揮し人間の力では抑制できなくなって困ってしまった、

「だから麻薬は止めましょう」

と内容を勝手に想像していた。
ところがところが、映画が始まってすぐに「この映画は実話に基づくもの」といきなり想像とは違う世界に連れていかれた。
実話に近いとな?

映画が始まっていくにつれいくつかB級映画らしい突っ込みどころが出てくるが、それも凡そ想像したストーリー展開と異なる意外な展開故、映画に引き込まれる自分がいて不思議と集中できている。

登場人物それぞれの立場での家族愛でまとめられつつある。
そしてサブテーマとして友情、恋愛。
ただ、余計なものが多いため絞り切れていなかった面が残念。

思った以上に素材が良かっただけに、主人公家族の家族愛、友情、そして麻薬売人家族の家族愛、友情にフォーカスをしっかりして余計なモノを削げ落とし、おまけとして不良若者たちの友情を入れても良かった。
冒頭のカップル、
保安官の色恋、
警察官の裏切り、
が中途半端だったので、演出上カットするか何らかの処置が必要だったでしょう。B級映画的には笑いの要素は必要だったので、保安官の存在は欠かせないと思うが、それにしても存在のわりに「落ちのNASA」が酷いと思う。

おっと、肝心なクマさんは!

そう、この映画では確かに狂暴化し暴れまくり時に愛嬌もある姿も見せてはくれ、家族愛もチラリと見せてくれ、主役感を醸し出してはいるが、決して主役とは言えない。
彼は、主人公を取り巻く役の一人、被害者の一人なのだ。(一匹なのだ)
そもそもコカイン絡みの実話に基づいている話なので、「クマさんありき」で話が組み立てられたわけではない。

また実際いくら強靭なクマさんであってもあれだけのコカインの摂取して大丈夫なのか、とB級映画と実話との狭間で疑問が頭の中でクルクルと…。

制作者は麻薬摂取者への啓蒙映画として作ったのかもしれないが(?)果たしてその役割をこの映画が務めているのかと言えば、結果的にかなり疑問。
続編ができるようだから制作会社としては「よくやった」というところだろうが、趣旨がブレる所はB級らしいところ。

次編に対して願わくば、笑いがあるのはいいが「救い」もしっかりしてあげてほしい。
今作も説明を省いているところがあって、そこはいいところだが次作も省くところは省く、取り上げる所はきっちりと。
でお願いします!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?