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映画感想「沈黙の自叙伝」は何を継承してしまったのか。

十三第七芸術劇場でインドネシア映画「沈黙の自叙伝」を観てきた。
観客はボクを含め2名だった。もったいない。
内容からすれば、実にコスパ的にもったいないとしか言いようがない。

ネシアの不条理な闇を暴く、それはそれで素晴らしい。
初長編映画監督/脚本作品がこの作品であること。この完成度であること。
その将来性を考えるとこの監督の才能は、とても素晴らしいんじゃないですか!

軍、政治、その歴史的な背景については不勉強なので深入りはしないでおこう。映画演出に関しても専門家じゃないのでテクニカルなことは言えないでしょう。
だから、素人が見て素晴らしいと感じた範囲での感想を述べていきたい。

負のスパイラス。知らずに継承してしまうもの。知っていてアカンと思いつつ継承してしまうもの。形は違えども継承してしまうと負のスパイラルを断ち切ることができない。
将軍の強さは臆病さから来た用心深さだろう。そのために先を読む力が深い。悪の遂行に行動を厭わずできる彼の性格の2面性はネシア社会で成功をもたらした。
主人公の彼に2面性が今後宿るのであろうか。
最期の演説をやり遂げれば、彼は継承で来たと言えよう。そしてネシア社会は暗黒のまま。
映画の原題は「自叙伝」。
最期のショットも主人公の視点。悲しい予感。

この映画が監督は長編初とは思えないのは、監督のこだわりか、光、音、風の使い方が効果的、または印象的であったこと。アジア映画っぽく虫の音が響く映画がこの映画程印象深い映画は近年にない。
光に対する美へのこだわりも相当あるようで、それがこの映画をただの悪を暴くという単純構造な印象を与えていない。
将軍の描き方にしてもただの2面性がある老人というだけでなく、成功した老人という「人間」にある「本当にいい人」の面と成功してきた人間の側面をキチンと描き切れていると思う。

同時期に観た有名監督のひねりに捻りまくった通の映画「アステロイド・シティ」よりボクはこちらの方がストンと胸に落ちるものがあった。

話は変わり、この映画は十三の第七芸術劇場で観た。七芸は、ドキュメンタリー映画が多めのミニシアターで大阪でも老舗の方だ。七芸がクラファンをすると聞きつけ、見返りに銀幕に名前を流してもらう、っていうことを依頼していたのを忘れていた。映画が始まる前に自分の名前が流れたとき軽くビックリ、嬉しく思ったゼ。
クラファンの見返り、ってこういうことでいいんじゃね。
つまり、支援する人が喜ぶことをする。たまに要らないお礼品を送ってよこすことがあるが、あれはいらない手間。不要。


十三の第七芸術劇場

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