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神経発達症(発達障害)息子の母になる〜幼稚園との対立④


電話に出ると
副園長が、焦りとご機嫌取りが混ざり合ったような声色で

「今、ちょっと大丈夫ですか?」
と、聞いてきた。

もうこの時点で嫌な予感しかしない。
というか、副園長からの電話に楽しい思い出は1つもない。


「今センターに向かっているんですが、何でしょうか?」


副園長
「今日、参観日の時に小さい子押したって言う話があったと思うんですけど

私、その時いなかったし、現場を見てなかったからわからないんだけど

なんかね、他の子も押してたらしいの。
○さんと、○さんと、○さんのお子さん。
別に怪我したわけじゃないんだけど、
息子さん
人がたくさん来て、パニックになっちゃって
ちょっと尻もちつかせてしまったみたいなんだよね。

だから

すいませんけど、
今から押された子のお母さん方の電話番号言いますので

お母さん方に電話かけて謝ってもらえますか?」


「はぁ?!

なんでそれを今、言うんですか?
私がいた現場で
息子がどついたのであれば、
止めない私の責任ですから
もちろん謝りますけど
私はその場にいませんでしたし
監督していたのって、園長ですよね?


入園する前にも息子の特性を伝えていたし、
特性上、参観日には参加しないと何回も言っていたし

私自身に健康上の問題(切迫流産)があるので欠席するつもりだったのに、あなた(副園長)が参観日に参加してくださいと手紙を書かれたので、
いやだなぁと思いながら、不安いっぱいで今日来たんです。

それでこれですか?
加配の意味ありますか?
ふざけてるんですか?」


副園長
「いや、あの、大丈夫よ。
ただ、ドンと押しただけだし
他の押された子たちのお母さん方は全然怒ってなくて、

こういう子(息子のような自閉児)がいるんだよって言う話をしたら、理解してくれていたし

今から、お母さん方へ謝罪の電話をさせていいか?と連絡したんだけど、全然大丈夫ですよって言われたし。」



この人は何を言っているのか。
園長もそうだが、副園長も全く言葉が通じない。

怒ってないから大丈夫。怒ってるなら大丈夫じゃないという話ではない。

それに
今からお母さん方に
謝罪の電話をさせていいかって何?
「させていいか」って、
その言葉遣い、合ってます?
私はあんたの会社の人間じゃないのよ。


何かが切れた。

「怒ってるから大丈夫じゃないとか、怒ってないから大丈夫とか、そんな話はしていません!

加配者である園長が、
息子はトランポリンで遊んでるから大丈夫かなぁと思って目を離したって言ってるんですよ。

そして、こんなことがあったら、
また謝ってもらいます、と園長は言ってたんですよ?

言ってることがおかしいと思いませんか?
また謝ってもらいます。じゃないですよね。
もうこんなことがないように、気をつけますでは無いですか?

それに加えて、また謝罪しろって話がおかしいにも程がありますよ。なぜ今なんですか?!


言ってること、やってることおかしいですよ!
自閉児の親だから何をさせてもいいと思ってませんか?

こんな信用ならない園の下に
息子を預けておくのも不安だし、
自身の判断ミスを親に丸投げで謝罪させようとしている園長にもあなたにも不信感しか無いですわ。

もう今後行事には一切参加しません!登園も考えさせてもらいます!」


副園長
「いや、でも……
私…その場にいなかったし
わからないんだよね。
だからそんなこと言わないで。穏便に。」


…?は?


宇宙人と話しているんだろうか。
今、副園長は私は絶句させる魔法を使ったんだと思う。


「…穏便にできると思います?
話聞いてましたか?」

副園長
「いや〜
まぁ、とりあえず今からメモしてもらえますか?電話させると言っちゃったし、押された子たちのお母さん待ってると思うの。
じゃ、連絡先を言いますので!」


私の怒りなんて全然大したこと無いと思っているのか、全く響いた様子がない副園長はへらへらしながら
息子がどついたという子たちの親の携帯電話番号を矢継ぎ早に読み上げ始めた。

全く有無を言わせないようにだ。
(今考えれば面倒だったのだろうけれど。)


私が間違えないように確実に電話してほしかったのか

副園長は電話番号を2回3回、
復唱し伝え終えると
「それじゃあ、
すいませんけど、よろしくお願いします」

そう言って即座に電話をガチャ切りした。



これから向かう先がセンターだったのが幸いだった。


妊娠中の不安なのか、
息子に対する不安なのか
園に対する怒りなのか

よくわからない混沌とした思いが胸を覆って
頭の中をぐちゃぐちゃにした。
私自身が混乱の渦に飲まれていたと思う。

少し前を行く自転車の息子を見つめながら
ポタポタ、ポタポタと涙がこぼれた。


とてつもなく悔しい気持ちと、
悲しい気持ちと
話が通じない、
園への苛立ちも加わり
いっぱいっぱいになった。


センターは近所だ。
今行く先がセンターで良かった。
良かったけれど、
泣き顔は見られたくなかったので

リュックの中に入っている
お腹の張り止めを飲んで、


息子の自転車の練習に付き合うふりをして
センターの周りをゆっくりゆっくり2周ほどした。


とても暑い日だった。




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