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愛の為の暴力

「ごめんなさい。」


目立ちたくない
普通でいたい
 だから、それでいい。

『彼女、ミステリアスですよね。』
葬式後、集まった人間のひとりが言った。
確かに、俺は…いや、
ここにいる誰も聞くまで知らなかった。
彼女がナニモノカー。

誰かの悪口も言わず浮いた噂もない
仕事も丁寧で、外見だって、年の割には奇麗だった。


そんな彼女の最後は普通とはかけ離れていた
発見されたときには腐敗し
部屋は荒らされており、争った形跡があったことから会社にも警察が来た。
会社内でも犯人捜し、という名の
噂話でしばらく持ちきりだった。

彼女は何をそんなに隠したかったのだろう…


カラダがおもたい
もう、どちらか一方にしてしまおうか…
仕事終わりの飲み会を断ると、デリの出勤確認のlineをする。
これからは、もうひとりの私の時間だ

待機室で一件のline
王子様、私の運命の人
[今日、店に来れる?]
高まる胸のなか確認する
予約は、21時から60分コース
いける、今日も会えると思うと
一気に元気がでてくる、早く会いたい。

スタッフに22時上がりの旨を伝えると
横にいた女の子が「担当のところ?」と小声で聞いてくる。
つい最近、店被りだとわかり話すようになった。
「今日、お茶なんだって~。もお、しょうがないよね~。」
そういいながら、今の自分の化粧を確認する。

嬉しそうだね~。って笑いながら
私も担当に会いたいなぁ。掛けができなくなっても、立替で60万だよ?
家なくなったら、泊めて~?なんて言われたから、

「私もやばいよぉ。
来月BDだからホントはためなきゃなのに…」
化粧を直すと20時40分
ひとりで話してる女に手を振って夜に行く


夜が終わると、昼が来る。

昼は平均的にいるようにした
他人の目にとまってしまうと
自分の秘密が盛れ出してしまうから。


傷を持つものは、それを他人の目から 隠したがる
夜は いろんなものを隠してくれる


どうしてこうなったんだろう
掛けもなくなって、ここはクリーンな街じゃないの?
どうして…?
いつもなにかが 足りない
家族?友達?恋人?お金?心?


夜はいろんなものを見えなくする
現実。将来。見せかけの友情。
彼の心も…
甘い言葉のセックスも暴力も…

ないよりはいい

無関心よりはいい
だから、これでいいの…?




セックスと暴力は似ている
どちらも男が一方的に行使する



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