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怒っていること⑤

弟は色弱です。彼の高校入試のできごとです。


 怒っていることシリーズ①~④まで書きましたが、
 もう少し怒っていることについて書きます。
 これは絶対怒っていいことです。
 もう50年も前の話なので、時効でしょう。
 書いちゃいます。
 
 50年近く前、弟は高校入試を控えていました。
 公立の工業高校を受けることにしていたのです。
 弟は色弱(色覚異常)です。
 緑と赤がよくわかりません。

 さて入試の日、面接で弟は、「これは何色? これは何色?」とそればかり聞かれたそうです。
 それがまず異常じゃないですか。
 そして結果は不合格でした。
 
 公立高校ですよ。
 色覚異常が不合格になるなら、募集要項にそう書いておいてくれてもよかったのに。
 私は弟より2歳年上の高校2年生でしたが、弟の不合格を聞いて、そしてその面接のことを聞いて猛烈に怒りがわいてきました。
 高校に電話して抗議してやろうかと思ったくらいです。
 弟は心に傷を負ったのです。
 
 不合格の理由は色弱ではなかったかもしれません。
 それで電話は思いとどまったのですが、あの時の怒りは今でもよく覚えています。
 
 結局試験の合否に色弱が関係したのかは分からずじまいでした。
 弟は私立の付属校からエスカレーター式に大学に進み、授業についていけずに退学するという波乱万丈なその後の人生を歩むのでした。


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