見出し画像

複業(副業)かつ共同創業におけるリスク回避とは?

こんにちは、QUESTの代表を務めるてんちょーです。

前回の記事では創業時の想いを書きましたが、今回は実際に創業するに至った時の準備段階=リスク回避について書いていきたいと思います。


メンバーの意識統合

ぼうけんのなかま

まず共同創業において最も問題なのが、チームの空中分解やハレーションです。

僕たちはもともと、「何をやるかではなく誰とやるか」を重視して起業を模索していました。

チーム立ち上げ当初において、元々起業検討における核となるメンバーであった僕・のっくんと、少し時間がたってから合流したトム・スティーブンの間では、起業に対するリスク感度や、情報量にかなりの差がありました。

よって、トム・スティーブンに対し、共通の趣味であるゴルフのラウンドの中で、僕たちが起業を進めている情報を小出しにしていきました。びっくり箱のような突然の情報開示にならないようにするためです。

最終的にのっくんからプレゼンを行って2人をしっかりと誘い、そのあとも起業ありきで事業内容を先に決めて役割を固定化するのではなく、それぞれがどういった将来像を持っているのか、jobgramを使った自己・他己理解、お互いの仕事・価値観理解などを通したチームビルディングを優先的に行ってきました。

その中で、自分たちで事業としてやれることは何か、どんなことなら挑戦できそうか、実際に活動できる時間や方法は何かなど、インプット・アウトプットのバランスを取りながら検討を続けました。

自分たちで挑戦できそうなことを洗い出しながら意識統合を図り、最終的に事業決定→起業につなげるというステップを踏むことで、適切な範囲のリスク許容度を見ながら起業への挑戦に歩みを進めました。


二重就業制限と本業バレ

念には念を

副業(複業)においてもっとも問題になるのが、本業バレです。

本業バレとは、自分が主として従事している会社において、副業を行っていることがバレてしまうことを指します。本業バレすることで、本業先で懲戒処分になったり、不利益を被るおそれがあります。そのような状況になってしまっては副業どころではありませんよね。

そのような状況に陥らないため、まずはそれぞれ本業の就業規則を確認し、二重就業制限がないことをチェックしました。パラレルワークが一般的になったとはいえ、二重就業を認めていない会社がまだまだ多いためです。本業で多大なお世話になっていることもあり、後ろ足で砂をかけるようなことにならないよう、留意しました。

僕の本業では法人設立も含めた二重就業許可を頂いていますが、そもそも開設初月から売上が経つことも多くはないでしょうし、役員への事前確定届出給与設定も資金繰り上でリスクが生じます。

当初は本業の制度が複雑でわかりにくく、副業がOKでも起業はどうなのか判別がつきませんでした。そのため、初年度は多少法人税を多く払うことになろうとも、報酬を「0」にすることで、社会保険への加入(新規事業届、二以上事業所勤務届)や住民税への影響をなくし、本業バレに対する安全マージンを多くとるようにして進めました。

なお、新規事業届や二以上事業勤務届の申請判断に当たっては、トムより年金事務所に確認してもらい、「報酬が発生するまでは年金事務所関連の届け出は必要ない」との回答を得ています。
※所管する年金事務所によって対応が変わる可能性もありますので、必ずご自身で所管の年金事務所へ直接ご確認ください。

ちなみに、本業バレすることのリスクと回避策は、以下のページが参考になりますので、気になる方は読んでみてください。


意思決定のルールと選択すべき法人格

ゲームも仕事もルールがないと始まらない

僕たちは法人設立に際して合同会社の形態を取りましたが、それにも理由があります。

もともと合同会社は株式会社に比して低コストで役員改選等の手間もかからないことがメリットでありますが、定款上で意思決定のルールを指定できることも僕たちには大変重要でした。

QUESTでは、定款上においても意思決定者(=議決権)を僕に集約しています。

理由としては、基本的には週次の会議で物事を決める合議制であるものの、最終的な意思決定判断を僕に集約することで、会社として一貫性を持たせることが目的です。

合同会社を選択したことで、投資や事業判断の意思決定のスピードを圧倒的に早くすることができ、時間が少ないというデメリットを少しでも小さくして事業に充てる活動時間を増やすことができています。

なお、合同会社においては、与信上で不利があるといった話を良く聞きますが、今のところ大きな問題にはなっておらず、ありがたいことに上場企業ともお取引をさせて頂いております。

地域密着・特有のビジネスをしていない限り、法人格の選択のみでビジネスに支障をきたす・あるいはビジネスで優遇があることはほとんどないと思いますし、資本政策上エクイティファイナンスの重要度が高いスタートアップでないならば、コスト面でも運用面でもメリットの大きい合同会社の活用をおすすめします。


合同会社における創業者間契約

親しき仲にも契約あり

最初にチームの空中分解に関して書かせていただきましたが、いかに意識統合を図っていても、それぞれに置かれたライフステージの状況などにより、将来においても継続して副業に携わっていくかどうかは判りません。

残念ながら、世のスタートアップでは創業者メンバー同士の関係悪化によるチーム内のもめごと・空中分解がよくあります。日本における転職理由の最も多い理由が人間関係であることも、こういった問題が多々起こりうることの証左とも言えます。

僕たちは、仮にそのような事態になってしまったとしても、一人ひとりのメンバーが円滑に次のステージに行くことができるよう、何らかの事情で離脱することになった際のリスク回避策として、合同会社でありながら創業者間契約を締結し、持分譲渡時のルールを明確に定めることにしました。

創業者間契約とは、会社の創業時に複数人が株式を保有する場合、やがて発生するかもしれないリスクに備え、創業メンバーである株主間で結ぶ契約です。
もし創業メンバーの一人が会社を去ることになった場合に、残されたメンバーの一人、もしくは複数人が、辞める人が保有していた株式(持分)を買い取ること等をあらかじめ定めておくことが、創業者間契約なのです。

出所:みずほ銀行『親しき仲にも。「創業者間契約」の必要性』
https://www.mizuhobank.co.jp/corporate/mizuhosmartportal/startup/topic_32.html

創業者間契約を締結することで、残念ながらネガティブな要因で離脱することになってしまった場合の持分譲渡に関わる問題を小さくし、残ったメンバーの活動に支障をきたさないようにすることで、今の活動に集中してもらうことができます。

EXITストーリーの明確化

先ほどは仲違いによりうまく行かなくなってしまった場合を書きましたが、うまく行った/行かないどちらであったとしても、いつまで事業を続ける/続けられるのか、という問題があります。

サラリーマンであればほとんど気にしないかもしれませんが、小規模企業の経営においては資金繰り(現金管理)が最も大きな課題です。僕は経営者として、ダラダラとお金とメンバーの時間を失わせる訳にはいきません。

よって、最初からEXITストーリー(終了条件)をある一定程度示し、活動を続けるかどうかの判断基準を明確にすることとしました。

QUESTの終了条件

終了条件のうち、上から3つの点は現時点でなかなか想像しづらい、というか相当なハードルですが、うまくいっても失敗しても目的や目標のない活動をさせ続けることはできません。

他にも企業理念としてのMVVや事業計画もありますが、副業の「終わりのタイミング」を明確にすることで、活動を引き締まったものにし、メリハリのある活動になるよう心がけています。

おわりに

共同創業での課題は様々にありますが、今回はメンバー間における問題および問題解決策の一例を書かせてもらいました。

僕らもまだまだ始めたばかりのひよっこではありますが、もし同じようなステージで情報交換したいなどあれば、是非下記のフォームなどからお問い合わせいただければ嬉しいです。


それではまた次の機会に。


■初めての方はこちらからもどうぞ!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?