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Note 76: キーボード新しい波…NIZ Plum、いいぞ!

ディスプレイに続いて、キーボードも増強した。

これまでのぼくのキーボード遍歴について書く。
ひさびさにブログ書くからまた話が重複するけど許してね。

キーボードの分類

おおむねパソコンのキーボードの派閥は以下の3つに分かれると思う。
 1. 買ったときについてくるのをそのまま使う
 2. Cherry MX 赤軸、青軸、茶軸などのメカニカルスイッチのをFILCOなどで買う
 3. 静電容量無接点方式のを買う

で、3はさらに2つに分かれると思う。
 3-a. Happy Hacking Keyboardを使う
 3-b. REALFORCEを使う

ぼくは人生の長きに渡って3-bであった。

まず、1.の買ってきたときについてくるやつや、千円二千円で売っているやつ。
メンブレン方式というのが多い。
ぼくはカチャカチャ安っぽい音がするし、軸がブレていてフニャフニャした手触りなのにしっかり押した感じがしなかったりして苦手。
ただ、これが好きな人もいるというから人生いろいろだ。
ノートパソコンやMac純正はパンタグラフ方式だが、激薄で、あれが好きな人もいる。

次に、2.のCherry MX方式。
かつてドイツにあったチェリー社の製品の互換品で、バネ駆動のメカニカルスイッチというのを使う。
クリック感があって、コンピューターやってるぜという感じがすごくする。
バネの強さに応じて、赤軸、青軸、茶軸などの好みがある。
強さ以外に、クリック感のありなし、タクタイル?感とか、打ち味も色々ある。よく知らない。
これがおそらく今の主流派で、オタクはよく「おまえ何軸?」「俺は茶軸」などと言っている。

ぼくはREALFORCE原理主義者だったが、一時期Bluetoothに惹かれてFILCOの製品を買った。
最もキーが軽い赤軸。
どうもBluetoothの性能がイマイチで(ぼくの配置や部屋の電波状況が悪いだけかもしれないが)USBで運用していたが、ほどなく使用を断念した。
赤軸だからかもしれないが、打っていると「底打ち」という現象が起こり、キン、キンという金属的な音が気になるのだ。
うちのアパートが静かすぎるのか、ぼくが病的に神経質なのかもしれないが、雑音の中でも特に気に障るトーナルな(音程のある)音であって、どうにも我慢できない。
けっきょくリアフォに戻った。

3.の静電容量無接点方式は、中に接点が入っていず、バネの変形を感じてスイッチが入るので、底付き感がない。
なんとも名状しがたい押し心地であって、よく「スコスコ」と表現されるが、しっかりした押し心地はあるものの、その押し心地が限りなく軽い。
絶妙。

HHKことHappy Hacking Keuboard派とREALFORCE派があり、vim派とEmacs派のように分かれている。
HHKはキーレイアウトが極限まで圧縮されていて、カーソルキーが省かれていたり、ファンクションキーが省かれていて、いかにも「玄人好み」である。
ぼくはシロートなので、一度は買ったけど馴染めずやめてしまった。

本命はリアフォ? でも無線化したい? 変荷重は重い? うーんうーん

そこで最終的な選択肢がREALFORCEである。
東プレという会社が出している。
日本が世界に誇る一級品の1つだと思う。
ちなみに、静電容量無接点方式のキーのことを、海外ではTopre Switchとも言うそうだ。

キーボードのレイアウトがまったく個性がなく、最も標準的なもので、ぼくはこれをリアフォ配列と呼んでいる。
もう20年以上前、大枚3万円を投じて、US配列、テンキーレス、変荷重方式、アイボリーを入手した。

あまりにも見た目に個性がなく、押し心地もフワフワなので、高価な電子製品を買ったときのキーンと来る所有の喜びがなく、「大丈夫かコレ…」と思っていた。
しかし、使い始めてから1ヶ月、3ヶ月と打つうちに、その一見ひかえめな魅力に引きずり込まれた。
打ち味に透明感がある。
キーボードを使っていることを忘れてしまうのである。
考えるスピードでタイプできる。
疲れない。
ということで、ぼくのキーボード探しの旅はこれで終わったかと思っていた。
リアフォはたぶん、ぼくの存命中に廃版になることはないと思われる。

だが、話が前後するが、ワイヤレス化したくなってFILCOに浮気した。
もっとも軽い赤軸。
しかし、前述の通り、うちではBluetoothの性能が出ず、また底付き音が気になって、リアフォに戻した。

でも、いったん赤軸に慣れてしまうと、うちにあるリアフォ(変荷重方式)は少し重く感じる。
ということで、めっちゃ色んなキーボードの間でヘロヘロ迷っていた。
別にキーボードぐらい何だっていいじゃん。
自分でも書いててそう思う。
でも、1日8時間とか触っているものだから、やっぱこだわりたい。

リアフォはめっちゃラインナップがあって、最も軽い30g等荷重のものを選べば、原理的に満足すると思われる。
しかし、まったく同じ見た目のものを、3万出して買い換えるのもちょっと。
うーんうーん。
と、思っていたら、彗星のように新たな選択肢が現れた。

新星、NiZ Plum

AKEEYO(アキーヨ?)というのはたぶん販売代理店で、NiZ(ニズ?)というメーカーのPlum(プラム)という製品だ。

ちなみに、ぼくが買った上の製品は現在在庫切れで再入荷予定なし、という悲しい状態になっている。
エーン。

ということで、入手できない製品のレビューをしていこう。
一見、「え!?」と言うほどリアフォに似ている。
ていうか、いわゆる一つの中華パクリ製品であろう。
まあ、日本も高度成長時代にやっていたことだ。

「AKEEYO PC用 NIZ 静電容量 無接点 キーボード
 ワイヤレス 有線 両対応 ゲーミング キーボード
 静音 Nキーロールオーバー 英語配列87キー
 アクチュエーションポイント切り替え キー荷重45g
 レーザー印刷 正面刻印 高耐久
 キー引抜工具とOリング10個付属
 アップデート可能 (TC87-正面刻印-35g荷重-Bluetooth)」

というのがアマゾンに表示される商品名になる。
こういう感じが中華製品の特徴である。
買ったときの価格は約2万円で、それほど安くない。

静電容量無接点方式であって、リアフォと同じだ。
特筆すべきは、Bluetooth無線に対応している。

キー荷重35g、40gと書いていて、どっちやねんと思う。
買ってみて驚いたのだが、キーボードと一緒にバネが10個ついてきて、重くしたいキーは付属の工具で引き抜いてバネを挟んで重くできるのだ。

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これが本当の変荷重方式だ!
ぼくは軽いままでいいけどな!

荷重も変えられるが、キーアサインも変えられる。
よくCaps LockとCtrlを入れ替えられるとか言うけど、そんな甘いものではなく、どのキーをどのキーとも入れ替えられるのだ。
DVORAK方式にしたり、完全なオレオレ配列にしたりできる。
すげえな!
俺はもとのまま使うけど!

ということで、完全なオタク仕様である。
燃える!
たぎる!
なんでこういう製品が日本から出ないんだ!
くやしい!

ということで、勇んで買ってみた。

ファースト・インプレッション

買ったらまず充電する。
流行りの布を巻いた質感の高いケーブルが付属している。
USB-Cコネクタだ。
コネクタのところにQRコードがあって、携帯でアクセスすると「ビデオチャットで友達になりませんか」みたいなサイトに繋がった。
怖い。
中華の洗礼だ。

リアフォはじめ、日本のキーボードにもよくある方式で、高さ調整ができるようになっているが、この足の素材がなんかすべりが悪く、折れそうで怖い。
こんな微妙なところで違うんだな……。

それいぜんに悩んだのがキー印字だ。
ぼくはなんちゃって技術者なので結構手元を見てタイプすることが多い。
さすがに英数字はまあまあ見ないでタイプしているが、記号やカッコなどはついつい見てしまうこともある。

特にPlumで違和感があったのが、Pの右横にある{ }(ブレース)と[ ](ブラケット)である。

フツーの日本製だと、Pの右横にあるのが

{
[

で、そのさらに右横にあるのが

}
]

となっている。

そのまま押下すると入力されるのがブラケットで、Shiftキーと同時押しで入力されるのがブレースだから、何となく合理的な表示に思われる。

これが、NiZ Plumでは

[ {

] }

になっている。

下の写真は、NiZ Plumの白いキーと、後述するセンチュリー別売の青いものの比較である。
青い方は、リアフォはじめ日本で普通に売っているキートップの印字であろう。

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[ ]{ }以外にも、-_とか、:;とか、"'とか、めっちゃ分かりづらい!

これ、欧米のキーボードでもよく見かける印字だ。
Shiftキーを押すと押さないで上下に分かれるのが自然だと思うのだが、なぜか左右に分かれるのだ。
なんで!?
とっさに迷う。
たとえキーボードを見なかったとしても、なんか気持ち悪くないですか。

購入当初のドタバタ

それはさておき、充電が終わって、使ってみた。
この文章、しばらく悪口が続くけど、最終的には非常に気に入って使っているので、そこは了解してください。

まったく文字が入らない。

あと、マニュアルが字が小さくて見えない!
それはぼくが老眼だからなんだけど。
Bluetoothの有効化とか無効化とか……。
カスタマイザブルキーの発動とか初期化とか……。
いろいろやってみたけど、多機能すぎて、何がどうなのかわからない。
とりあえず出荷時は初期状態にして欲しい。

しょうがないのでサポセンに電話してみた。

応対したのも、日本人ではないアジア人の女性だった。
ただビックリしたのは、土曜日の夜7時だったのに、それから延々と何回も、ああでもない、こうでもないと、親身に相談に乗ってくれたのだ。
土曜の夜に働くとかブラックじゃないの? 大丈夫?
とも思ったし、それほど技術力も語学力も感じなかったのだが、心意気に感じるものがある。
けっきょく工場出荷状態にリセットという動作があって(当然ぼくも試してはいたんだけど)それを何回かやったら「どういうわけか……」直った。

「箱にバーコードありますから、そこにアクセスしてマニュアル見てクダサーイ」
というので
「バーコードってケーブルのコネクタにあるんじゃないですか、それにアクセスしたら、なんかチャットのサイトに飛んだけど」
と言うと
「それは中国の……変なヤツですから、無視してクダサーイ」
と言うのがおかしかった。

ということで、なんか文章にすると不安な感じになってしまったけど、それから一回も最初に起きたようなトラブルはない。
ま、まったくカスタマイズしないで「素」で使っているところではあるんだけど。

Bluetooth性能は、過去使った製品の中で最も優れていると思われる。
Macの純正と同じぐらいだ。
だが、やっぱ、ちょっと「?」と思うときがある。
具体的に言うと、カーソルキーを連打するとチャタリング(押しっぱなしみたいになる現象)が起こったりする。
まあ、これはリアフォでも起こったけど……。
あと、これは製品の責任ではなくて、自分が電源をONにしなかったとか、PC側のBluetooth設定をしくじっていたとかもあるが、有線と違って、やはりレイヤーが1枚増えるので、隔靴掻痒感は否めない。
専用のBluetoothトランシーバーを買ったりもしたんだけど、どうも納得がいかず、けっきょくUSB接続に戻してしまった。

キートップ交換が楽しい!

さて、画期的にすばらしいのは、キーキャップがCherry互換ということだ。
キーキャップというのは、キーボードの指で押すところ(ボタン)のことであって、工具を使って引き抜くことができる。
引き抜いて、バネを挟んだり、CtrlとCaps Lockを交換したり、もっとメチャクチャに配列を交換したりできる。
リアフォもできるのだが、静電容量無接点方式のキーボードとCherry MX互換メカニカルスイッチのキーキャップには互換性がない。
世間の趨勢は、圧倒的にCherry MXスイッチが多数派であって、交換用のキーキャップなども売っている。
これが楽しそうで、うらやましいなと思っていた。

今回、カッコの印字が [{]} のように横並びという仕様が気になって、改めて調べてみたが、NiZ Plumはなんと、静電容量無接点方式でありながら、Cherry MX互換なのだ!!
具体的に言うと、キーキャップを工具で引っこ抜いたとき、+記号状の突起がついている。
キーキャップの裏には当然+型の凹みがあって、これを差し込む方式だ。

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ということで、最初はFILCO機についていたブラックのキーキャップを挿したりしていたのだが、どうも白の筐体に黒のキーキャップというのはダサい。
それで、別売りのキーキャップを新調することにした。
ここまで来るとなんか、YouTuberのせろりんねさんみたいなオシャレPC女子感が出てくるが、楽しい。

白を買っても良かったのだが、ここは思い切り派手な青系2色にしてみた。

もう少し渋い配色のオリーブグリーンとどっちにするか迷ったのだが、筐体が白だからキーキャップは明るい方がいいような気がしてDasherという青系にしてみた。
どうかしら。

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キーキャップの交換は全然楽勝だ、と言いたいところだが、そこそこ苦労した。
まず、数が多い。
間違える。
1個1個、1時間ぐらい掛かって交換した。

結構難儀したのが←Backspaceキーのような大物のキーで、中央の+の他に左右にも小さい+がある。
スイッチに固定されているのは中央の大きい+だけで、左右の小さい+は、固定されていず、グラグラする。
なんとなく直立させて、エイヤーでうまくキーキャップをはめるしかない。
なに言ってるかわかりますか。
とにかく、なかなかうまくいかなくて死ぬほど苦労した。
この構造、もうちょっとなんとかできないか。
だが、もとのCherryスイッチがこうだからどうにもできない。

それでも、なんとか交換した。
グッと明るくなって、使うのが楽しくなった。

総評

肝心の押し心地だが、リアフォを初めて買ったときのような「感動」はない。
だが不満もない。

異音はしない。
いや、最初なんか気になる音がしたような気がしたんだけど、エイジングして部品の角が取れたのか、ぼくの耳が慣れたのか、何の音もしなくなってしまった。
フワッフワしたブログでゴメンナサイ。
あと、カーソルキーのチャタリングがたまに起こったけど、意識しはじめてからは起きない。
このへんはリアフォでも起こるので、キーボードというインターフェイスの限界と言えないこともない。

とかなんとか延々書いてきたが、ぼくが買った機体は現在品切れ中なのだ。
これがポッと出の製品は困るね。
いま売ってるのはレイアウトを妙に圧縮して、リターンキーの右にタテにHomeとかInsertが並んでるやつで、わしはこの配列は許せないんじゃよ。
しかしながら、NiZ社のキーボードはいろいろあって、防水モデルとかもある。
ホントカヨー。
元気のいいメーカーであって、これからも注目して行きたい。

(この項おわり)

会社員兼業ライターの深沢千尋です。いろいろ綴っていきますのでよろしくです。FaceBook、Twitterもやってますのでからんでください。 https://www.amazon.co.jp/l/B005CI82FA