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ハワイ移住を考えている方へのアドバイス


 Note共同マガジン”Vacilando”のリレー企画で、イドアモンさんから「ハワイへ移住したい人へのアドバイス」というお題をいただきました。色々な考えが浮かんで、1つの記事では答えきれずこれが2つ目の記事です。
 
1つ目の記事に興味がある方はこちらをどうぞ。ハワイ移住を決めた過程を書いています。
https://note.com/queen_lilikoi/n/ndf6c1cec89d4
 
今回はいよよアドバイスめいたことを書きたいと思います。ちなみにとても長い記事です。


 はじめに


若い頃は色々な国を旅しましたが、好き嫌いは別として人気の観光地は人で言えばカリスマ性のような特別な魅力があると感じました。ハワイはその中でも特にパワーがある場所だと思います。
 
大海原にポツンとある島群で自然に恵まれ、海も空も空気も綺麗。そして一年を通して心地の良い気候。人がのんびりしていて優しい。日本人にとってはハワイ、アメリカ、そして日本の文化がちょうどよくブレンドされていて暮らしやすい。と、いいところばかりです。短期で観光にはパラダイスにいるような気分になります。
 
ただ移住するとなると厳しい現実もたくさんあります。まだ移住は完了していないのですが、2年半の移住準備の間に体験したことや人から聞いたことを踏まえて、アドバイスをしたいと思います。ちなみにビザや永住権の取得方法については詳しくないので、ここでは触れません。
 

プライオリティを知っている


 前の記事で長々とハワイを移住先にした理由を書いたのは、大きな決断をするときに人生のプライオリティを知っていることが大事だと思ったからです。若くて体力と好奇心が旺盛でとりあえずトライしてみたいとか、アメリカ本土や日本に家があってハワイは二つ目の拠点として考えている方、結婚相手がいて安定した生活がそこにすでにある方などはこのあたりはもう少し緩くていいと思います。
 
でも私たちのように今までの生活を捨てて本格的に移住する場合は簡単にやり直しがきかないので、なぜ新しいところに移住したいかがクリアになっていることは助けになります。というのも後から書くようにハワイの生活はいいことばかりではないので、準備中に困難にぶつかったときに、自分が大事にしていることと、その困難を秤にかけて移住を進めるかを判断することができるからです。
 
私たちのプライオリティは、「自然が豊かで暖かい気候」「アメリカと日本の行き来が簡単」「家族の近くにいること」「アジア系の人、特に日系人が多く文化的に日本とアメリカのいいとこ取りのような環境」のなかでのんびり暮らすことでした。
 
もし配偶者や家族と引っ越す場合にはプライオリティについて話し合い、ある程度の同じビジョンを持っていることが大事です。
 
知り合いのご夫婦は、夫主導でハワイに来たものの、妻は肌が弱くて太陽に当たるとすぐ真っ赤になってしまうために、引きこもりの末うつになってしまい、またアメリカ本土戻りました。そういうことにならないように、家族で事前に腹を割って話し合うことが大事です。

お金のこと


ハワイは物資を本土から輸送しないといけないので、その分物価が非常に高いです。ここ数年のアメリカでの急激なインフレーションでハワイでも色々なものの値段がさらに高くなりました。加えて円安となっているので、日本から来る方にとってはハワイの物価は信じられないほど高いと感じるでしょう。
 
さらに前の記事にも書いたようにコロナ禍で仕事がリモートとなったのでハワイに移住しようと考える人が激増しました。そのせいでもともと高かったハワイの家の値段が急騰しています。家賃を含む物価の高騰で元々ハワイに住んでいる人たちが、他の州に住む苦渋の選択をすることも増えているそうです。
 
その背後にはハワイには観光業以外大きな産業がないために、専門職でない限りはなかなか良いサラリーの仕事を見つけることが難しいという現状があります。そのため2つ、3つの仕事を掛け持ちする人も珍しくありません。
 
ですからリモートである程度の収入が得られるとか、すでに高収入の仕事をハワイで見つけているとか、資産があるなど高い生活費をカバーする方法が既にないとなかなかのんびりした生活が難しいです。
 
でもどんなに仕事が大変でもハワイに住みたいという方もいると思うので、プライオリティをクリアにするといいでしょう。

住む場所を選ぶ


またプライオリティの話に戻りますが、自分たちがどんな生活をしたいかによって住む島や街が変わります。サーフィンをしたい方はいい波のある海岸の近くに住みたいでしょうし、ある程度洗練されて日本のものも手に入りやすい生活を目指す方はホノルルかその近辺の地域が良いかもしれません。
 
私たちは親戚がいるのでハワイ島を選びましたが、夫は雨が嫌いなので乾燥した西側の街を選びました。プライオリティ、ご縁、家賃や家の値段などを加味しながら選んでいきましょう。そのためには何度もハワイに来て、ハワイに住む予行演習として長期滞在をしてみるのが役に立ちました。
 

ハワイのマイナスの部分も知っている

手頃な賃貸がない

ハワイの家の値段はかなり高いことはすでに書きました。また家を買わずにまずは賃貸に住みたいと思っても、なかなか手頃な物件がありません。というのも多くの賃貸物件がAirbnbのような観光客向けの短期のレンタルになってしまっているからです。最近、短期の賃貸を抑えるような規則もできたようですが、長期に住める賃貸がなかなか見つからないことは変わらないようです。

 物事が進まない

これは2年半の準備期間に何度もぶち当たった問題です。実は色々な事情で家を買うのではなく、土地を買ってそこに家を建てています。建築は地元の建築会社に頼んでいるのですが、その過程で信じられないような問題が出てきます。透明ガラスを頼んだのに磨りガラスになっていたり、間違ったドアが注文されていたりというような単純な間違いは日常茶飯事です。
 
それに加えてお役所を含めた大きな組織の仕事が信じられないほど遅いのです。例えば本土でしたら建築許可の申請をして二週間くらいで許可が降りるのですが、ハワイでは9ヶ月かかりました。電力会社が新しい電柱を立てる必要があると言ってきたのですが、それが半年経っても手がつけられておらず、これからどのくらいかかるかも分かりません。電柱が立たないと家に越すことができないので、本当にストレスです。
 
このように組織の機能不全ぶりを感じさせる問題にたくさん直面します。実はこういうことは私が南アジアや東南アジアを旅したときによく経験したことです。でもこれは多分、人がのんびりしているだけでは説明できない、元植民地のシステミックな問題が隠れていると思います。
 
まあ、自分たちで家を建てようという酔狂な方は少ないと思いますが、ともかく物事を進めるのには時間がかかることは覚悟していた方がいいと思います。

教育

うちは子供がいないのでリサーチはしていませんが、ハワイの公立学校の教育レベルはかなり低いと聞きます。お子さんを連れての移住の場合はその辺りをよく調べることをお勧めします。

そのほか

そのほかにもオアフは別かもしれませんがハワイ島に関しては物資がなかなか届かないことがあって、洗濯機が壊れても何ヶ月も待たないといけないとか、基本は田舎なのでなかなか洗練された文化的な体験ができない、交通渋滞がひどい時間帯がある、活火山やハリケーンの影響がある、凶悪犯罪は少ないが盗みなど小さな犯罪は多いなどいろいろマイナス面があります。また急にお客さんが増えて接待で忙しくなることもあります。うちも引越し前にすでに3組の人が遊びに来ることが決まっていて、楽しみでもあり、でもあまり続くと負担になりそうな予感があります。

良いことも悪いこともご自分で調べたり、仮の滞在をしてみたりしながら、ご自身のプライオリティと合わせながら、ハワイ移住について考えられるといいと思います。

うまくいかなかった時の予備プランを考えておく


アメリカにはisland feverという表現があります。これはハワイなどの南の島に越してきたのは良いものの、離島に住むことで閉塞感を感じたり、家族や友達から離れてしまって寂しくなったりしてひどいストレスを感じる状態を言います。旅行で訪ねた時にはパラダイスでも越してきて見えてくる現実に苦しくなる人が多いからできた表現でしょう。
 
私たちは時間をかけて準備をしたので、ひどいisland feverにはならないとは思いますが、住んでみて初めてわかることもあるでしょう。ですから一応、ハワイの生活がうまくいかなくなった時の予備プランを考えています。
 
人によってリスクへの耐性が違いますから、ともかく移住してからその先を考えたいという方はそれでも良いと思います。ただあまりリスク耐性が高くない方は念の為のプランを立てておくと冒険しやすくなるでしょう。

ハワイの文化や歴史を学ぶ


かなり長くなってきたので詳しくは書きませんがハワイは白人アメリカ人によって植民地化された末に統合された歴史があります。今でもハワイ系の人たちの中には独立を目指す動きがあります。またハワイには豊かな文化があり伝統があります。そうした背景を知りながら、敬意を持って暮らすことは大事だと思います。
 
実は私たちも移住者でハワイの家の値段の高騰に少しは貢献してしまったので、その裏で地元の人たちが苦労されていることには罪悪感を持っています。ボランティア活動などを通じて何かの形でハワイにお返しできればと思っています。

終わりに

またまた長い記事になってしまいました。ここまで読んでくださった方、本当にありがとうございます。ハワイだけでなく移住を考えている方に少しでも参考になれば幸いです。本当はまだ書きたいことがあるので、それについては別の機会に記事にしたいと思います。

この記事ではハワイのネガティブな部分も書きましたが、やはりそれを超える魅力のある場所だと思います。来週、ハワイ島に向かいますのでそのあとは、おすすめの観光スポットや住んで気がつくハワイの魅力もお伝えしたいと思います。
 

次のお題


さてではバトンはカナダオタワにお住まいのeikoさんにお渡ししたいと思います。お題は「オタワで食べた美味しいもの」です。オタワは行ったことがないのですが、フランスの影響の強いモントリオールも近くて美味しいものがたくさんあるのではと想像します。どうぞよろしくお願いいたします。


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