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植田寿乃連載『令和を活きる、未来を拓く』第44回 「新生」しながら令和を活きよう!  ~「プライド」「意地」「見栄」はゴミ箱へ~

 年に何度も足を運ぶ大好きな京都、一番好きな季節が5月。中でも雨上がりの日は、青葉の色はさらに引き立ち、全てが新しく始まる匂いがたちこめる。その時、私はゼロスタート地点にたった初々しい気持ちに満たされます。今年のGWも人のいない京都で新緑を独り占めして歩いてきました。100歳を優に超える木からも青葉が溢れる中、私の心は新緑の青葉のようになって、「新生」していることを実感します。私の心、頭の中がまっさらになり、新しく生まれ変わるセレモニーです。


★令和時代に必要なのは「新生」する力

3倍速のスピードで、変化が何度も人生に押し寄せてくる令和時代、『安定した人生=幸せな人生』の方程式は崩れ去りました。安定した大きな会社に勤めていようが、組織変更、予期せぬ人事、未経験な部署への異動、外部への出向、そこで「それは嫌です。辞めます」という最終切り札を出さない限り、その変化を受け入れるしかありません。そこで、新たなるスタートをするしかない、そのときに自分を支えるのが「新生」する力です。

また、同じ部署ではたらいていても、DXが進む中、職場の人数が減り、仕事の内容は変わり続け、幅も広がり、ストレスがどんどん溜まっている人もいるでしょう。若い世代との会話の中で、人生観や価値観がずれてきていることでトラブルが生じてきている・・・。もはや、今までのやり方では通用しないことを突き付けられてしまう。ここでも自分を支えるのが「新生」する力です。

この「新生」する力こそが、令和を活きるためにとても必要な力です。新しい自分、まっさらな自分でスタートすればいいのです。古い自分にさようならをいい、新しく生まれる感覚です。何も知らなくて当たり前、最初は何もできなくて当たり前、でも未来の可能性は限りなくあるという。ワクワクした気持ちの状態からスタートするということです。この「新生」する力は、私たち全員が本来持っています。毎年、5月に新緑の季節に、全ての木が青葉で茂ように、生きている限り続きます。その「新生」の力に気づき、いかしているでしょうか?

★「継続」は美徳の弊害を捨てる
 
「未経験の分野だからって、メンバーに教えてくれなんて言えません。プライドがありますから。だからわかったふりして、ストレスばかり溜まって・・・」

「新しい部署で20代30代若手から『お手並み拝見』と思われているし、50代の私には管理職というプライドと意地があるので、歯を食いしばって頑張って・・・でも力尽きてしまい・・・」
「職場で休職者が増え、自分に仕事が集中して、深夜帰宅が続いていますが、意地でもここは乗り切らないといけないから、しかたがない・・・」

 昭和、平成と安定期に「継続は力なり」と真面目に頑張ってきた人、そして同じ場所で評価されてきた人は、自分の継続してきた仕事や自分が手に入れた肩書に強く執着するような「プライド」が高くなっていきます。そして、その高くなったプライドを守るために、「意地」を張るようになります。また、そのプライドを維持するために、「見栄」を張って、本当の自分の姿を消してしまいます。その結果、自分自身が苦しむことになります。昭和や平成の時代には、美徳だった「継続は力なり」はもはや「プライド」「意地」「見栄」に縛り付ける弊害でしかないと私は感じます。自分のためにではなく、いつも他者からどう見られているかばかり気にする人生になっていきます。「プライド」「意地」「見栄」に縛られて、必死で頑張る姿は悲しいピエロです。

30代、ANAグループで、バリバリのキャリアウーマンとして頑張っていた頃の私はピエロでした。周りからどう見えているかが気になってしかたがなかった。「仕事の出来るキャリアウーマン」「男性に見劣りしない新規事業のリーダー」「IT業界で一目置かれる存在」私の「プライド」「意地」「見栄」の産物です。でもある時、悟ったのです。それは、全く意味がないと。周りの人は、それほど私のことに関心を持っているわけではない、私が自意識過剰だっただけで、結局、ストレスばかり増やし、私の成長や進化を阻んでいただけだったと。「プライド」「意地」「見栄」を3つまとめてゴミ箱に捨ててしまえばいいのです。

★自分を信じ、自分の生きざまを受け入れ、仕切りなおす

大切なことは、自分の今の生きざま、状態を「よくやったね。お疲れ様」と認めてあげればいいのです。自分にしか生きることのできない人生をしっかり歩んできているのですから。山あり、谷あり、今どんな状態であっても、その姿を素直に受け入れて、慈しみ、褒めてあげればいい。そうすれば自然に自分自身に「誇り」がもてます。「誇り」は他人の目を気にすることのない、自分自身の宝物の感情です。「誇り」は「新生」する力を高めます。

だからこそ、「新しい自分でスタート」と躊躇なく、いつでも仕切りなおせばいい。仕切り直しのタイミングは周りからやってくる場合もあるでしょう。私のように毎年、自分でやるのもいい。人生は後ろに戻ったり、繰り返したりすることはなく、前に向かって新しい何かが起き続けています。だからこそ、古い自分を脱ぎ捨てて、絶えず新しい自分になって生きていく、この感覚こそが、令和の人生の「活き方」です。時々、脱皮しながら、何度も新生していきましょう。

昨年の今頃、起業して葛藤していたり、継続雇用でちょっとエネルギーレベルが落ちていたり、心が疲れて休職をしていたりしていた私の大切な仲間達が、今、とても活き活き輝いています。「昨年の今頃と全く違うね、別人みたいよ」という言葉に、彼らは「そうですか?去年の自分の状態・・・忘れちゃったな~」と笑顔で答えてくれます。彼らは、まさに「新生」する力で、今を活きています。あなたは「新生」していますか?
来年の5月、私はきっとまた京都の青葉の中を歩いていることでしょう。

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