手術note6 脛骨骨幹部粉砕骨折の最少侵襲プレート固定術(MIPO)

4階から落下した猫、12歳齢が当院に緊急搬送されました。気胸が認められたため胸腔穿刺を行い第3病日に骨折整復を行ないました。脛骨骨幹部が重度に粉砕し、解剖学的に整復不可能な骨折と判断しました。

重度な粉砕骨折で骨片の整復が不可能な場合はなるべく骨折部を触ることなく、軟部組織を温存し手術を行うことが推奨されます。皮切は近位、遠位のプレート挿入部だけにし、まずCアーム下で脛骨近位から順行性にKwireを挿入、脛骨の長さとアラインメントを回復させます。

術中のCアーム画像。Kwireが刺入され脛骨の長さが回復している。

その後ロッキングプレートを皮切部分から滑り込ませスクリューで固定しました。


粉砕骨折の場合、横骨折などと比較しかなりインプラントにかかる力が強くなります。プレートと髄内ピンの併用は30−50%ほど固定強度が増すため非常に有用です。手術翌日から歩行は可能になり、術後約3ヶ月で骨癒合が認められたため当院での診療は終了いたしました。


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