ウエディング業界のDX

ウエディングパーク社がDX推進室を立ち上げた為、いくつかの結婚式場宛にDXに関するヒアリングをされているそうで、僕にも声がけいただきました。

複数の式場にヒアリングをかけているという事でしたので、結婚式場の立場としてDXを語るのではなく、僕がウエディングパーク社のDX推進室長だったら、こんな5か年計画を立てますと勝手ながらお話してみました。

事業会社にいる笠にはさすがにできない(できるのかな?)事だと思っているのですが、2020年7月時点でのウエディング×DXの私見をnoteにまとめて共有させていただきます。

なお、経済産業省の試算によれば、DX化が進まなければ、最大で12兆円の損失が生じる可能性があると既に警告している。では、そのうちウエディング業界はいくら分損失するのか。

知らない間にウエディング業界のマーケットが欠損するのは、ウエディング業界に関わる全員にとって、損しかない。

なお、DXは単なるデジタル化ではない世界です。

と、前置きが長くなりましたが、下記の私見にお付き合いいただければ幸いです。

2025年の壁とは

まずは前提を整える為に、記事引用します。

下記はソフトバンクグループの運営するポータルサイト「ビジネス+IT」の記事からの引用です。

政府のDX方針(政府から見た課題、背景、アクション)に関して、ご一読ください。

経済産業省のDXレポートによれば、企業は自社の将来の成長、競争力強化のために新たなデジタル技術を活用し、ビジネス変革や新たなビジネスモデルを創出、柔軟に改変する“DX”推進の必要性を理解しているという。
しかし、DXを推進しようという試みは見られるものの、実際は多くはビジネス変革につながっていないというのが現状だと指摘している。
その大きな要因の1つが「老朽化や複雑化、ブラックボックス化している既存の基幹システム(レガシーシステム)」の存在だ。
レガシーシステムに多くのコストや人的リソースが費やされることで、新しいデジタル技術などにIT予算などの資源を投資できなくなり、企業のグローバル競争力を低下させていると危惧されている。
DXレポートでは、2025年には21年以上稼働しているレガシーシステムがシステム全体の6割を占めると予測している。今後、これらのシステムを刷新する必要があり、この刷新の波に乗り遅れた企業は多くの事業機会を失うという。
その具体的なイメージとして、2025年~30年の間に最大12兆円の経済損失が生じると推定している。経産省ではDXレポート以降、企業のDX推進を支援するさまざまなドキュメントを公表している。

「2025年の崖」が生まれた背景とは

企業のレガシーシステムの問題の本質は、自社システムの中身がブラックボックス化していることにある。
ユーザー企業は自社のシステムの内部構造が複雑化し、自分自身で修正できない状況に陥っている状態だ。レガシーシステムの問題は技術的な側面だけでなく、適切なメンテナンスを行わないなどの不十分なマネジメントもブラックボックス化を引き起こしている。
自社のレガシーシステムがブラックボックス化していても、システムが稼働していれば大きな問題とはならない。しかし、多くの企業では、ブラックボックスの解明や新たな構築方法の検討などを、自社の経営課題として真正面から取り組まないまま時間が経過してしまっている状態にある。
レガシーシステムがブラックボックス化している現状には、いくつかの背景がある。
1つ目は「日本ではユーザー企業よりもSIerやベンダー企業にITエンジニアが多く所属している」点だ。ユーザー企業は、ベンダー企業に受託開発を依頼する構造となっているため、ユーザー企業側にITシステムに関するノウハウが蓄積しにくい。
2つ目は「有識者の退職などによるノウハウの喪失」だ。大規模なシステム開発を行ってきた人材が定年退職の時期を迎え、属人化していたノウハウが失われて、システムのブラックボックス化が起きている。さらに業種によっては企業間の合併や買収が活発化し、それに伴うITシステムの統合などによって複雑度が増大し、さらに俯瞰が困難になっているケースもある。
こうした中、レガシーシステムの問題を自覚していても、ハードウェア/ソフトウェアの維持限界がこない限り問題の重要性が顕在化してこない。
そのため、レガシーシステムの問題を根本的に解消しようとしても、長期間と大きな費用を要する上、手戻りなどの失敗のリスクもある中で、根本的にシステム刷新をするインセンティブが生じにくいのが現状だ。

「2025年の崖」克服に向けたDX実現シナリオ

仮に2025年の崖に陥ってしまった場合、日本企業はどういう状況になるのだろうか。DXレポートでは、「爆発的に増加するデータを活用しきれずにDXを実現できず、デジタル競争の敗者となる恐れがある」「ITシステムの運用保守の担い手が不在になり、多くの技術的負債を抱えるとともに業務基盤そのものの維持や継承が困難になる」と予測している。
一方、ベンダー企業にとっては、技術的負債の保守や運用にリソースを割かざるを得ず、最先端のデジタル技術を担う人材を確保できなくなる恐れがあるという。また、レガシーシステムのサポート継続に伴う人月商売の受託型業務から脱却できない状況に陥ることが懸念されている。
こういった状況の中、経済産業省では、2025年までに既存のITシステムを廃棄や塩漬けにするなどの仕分けをし、刷新を進めることにも言及している。このような取り組みなどを通じて、DXを推進することで、2030年に実質GDPを130兆円超に押し上げするための「DX実現シナリオ」を描いている。

この記事から考えるべきこと

この経済産業省のDXレポートは、デジタル化のさらに先を提示してくれています。

ウエディング業界はデジタルが弱いと言われます。

ウエディングは不景気に比較的強い産業の為、業界全体で危機に貧する経験が少ない。

コロナが初めての業界経験なのではないでしようか。

よって、今までは変化の必要性を感じる機会が少なく、優先順位が上がらなかった(集客なんとかしないと!にひきずられているのも要因かと)。

ウエディング業界のデジタル化が、ユーザーである新郎新婦様のデジタル化よりも遅い為、不便を感じさせる事が多い。

ウエディング業界の多くの企業は未だに紙文化です。

結婚式当日のクオリティ以前に、その前段階で期待に応えられていないのは、これ、なんとかしないといけないです!

今、コロナの到来で紙からデジタルに移行しよう!と考える企業がようやく増えてきた段階にあります。

そして、コロナ禍の中で、DXというキーワードを掲げる先進的な企業がいくつか現れました。

このままウエディング業界はデジタルに弱いと言われ続けるのか、ウエディング変わったねと言われるかは今が分岐点。

単なるデジタル化をゴールとせずに、
2025年の社会のゴールをウエディング業界でも共通のゴールとする事が必要だと感じています。

では、ウエディング業界は、どうするべきか。

次にご説明します。

名付けて、ウエディング2025への笠提言(笑)

キーワードは、3つのone

①ワンスオンリー
②ワンストップ
③ワントゥーワン

①ワンオンリー
現状、新郎新婦様が式場探し~結婚準備~新生活~結婚式までの間で、関わるすべての企業に対して、毎回個人情報を入力して、毎回検討状況や背景を伝えてます。

これを1つにまとめられないか。

ウエディング版で、P2P形式のデータ管理ができれば理想。

どこかの企業がデータを持つと、競合企業の賛同が得にくいので、ブロックチェーンの様な分散型台帳である必要がある気がします。

これが3つの中で最難関か。
誰か作ってくれませんか?

最低でもウエディング媒体、結婚式場、結婚式パートナー企業のソーシャルログイン機能の活性化くらいまでは到達して欲しい。

②ワンストップ
現状、新郎新婦様が式場探し~結婚準備~新生活~結婚式までの間で、関わるすべての企業に対して、個別でやり取りしている。

結婚式のカウンター(通称エージェント)で、結婚式場とジュエリーと保険を案内するなどはありますが、範囲が狭い。

式場探し~新生活まで全てワンストップになる世界が必要となりそうです。

今のD2Cの流れがウエディングにも必ず浸透してくるはず。

みんなのウエディング社のwith、リクシィ社のVウエディングなどメディアによる結婚式の提供だけに留まらず、色んな流れが出てくるでしょう。

ユーザーにとっては、ワンストップで依頼できるのは利便性に長けているので、合理的に考える層を中心に広がりを見せると予想してます。

③ワントゥーワン
個別化というのは既存のウエディングでもキーワードですが、インターネット上で個別化というと、どこも実現できていない。

ECサイトやインターネット広告では、レコメンド機能が当たり前。

ウエディング業界においても、ビッグデータを活用すれば、レコメンドできるものが多々あります。

接客経験の豊富な方が必ず言うのは、少しお話するだけで、その新郎新婦が欲しいものがわかると。

この新婦さんはどの式場が好みか
この新婦さんはどのドレスが好みか
この新婦さんはどこにハネムーンにいきたいか
などです。

例えば、500接客以上の経験があると、この法則が見極めれるとするならば、これこそAIが得意とする領域です。

必要な質問をいくつか答えるだけで、
その方が好みそうな提案を自動で導けないか。

これは新婦さんの志向のアルゴリズムを解析すると見えてくるかもしれません。

ウエディング業界で現状一番知名度の高い8つのクラスタを基盤として、そんな事はできないものか。

必要なのはウエディング業界のオープンデータ化

この3つのoneを通じて、ウエディングのDX化を実現する為には、前提として、ウエディング業界のデジタルデータのオープンデータ化が必要です。

今、個社ごとで持っているデータを集結させる仕組みが必要です。

閉鎖的なウエディング業界で、これを実現するには、上流に当たるメディア側、もしくはメタサーチくらいの上位工程にいる会社から始めると、徐々に先進的な企業と共に作り上げていけるのではないかと思っています。

これはかなり拒否感が出そうな気はしてますが(汗)。

現代だと関わる全社で資本提携レベルの連携が無いとこれができないのではないかと思いますが、オープンデータの仕組みができれば、賛同する企業間で実現できるのではないかと。

旗振り役は必要ですが。

ウエディング業界のDX化のロードマップ

ウエディングパーク社より、「これらを実現する為には、どういうロードマップが考えられるか」と質問を受けました。

おそらく2つかと思っています。

1つはDX推進室としての目先の収益源を固める。

どれだけ理想を掲げていても、5年間コストが出っぱなしではビジネス的には続けられない。

よって、短期的には、現状の業務フローをデジタル化する事で、収益源を確保する必要があると思います。

例えば、プランナーの業務で意外と煩雑な雑務類がこれに当たるかと思います。

写真の版権管理、エクセル使っている数値分析、システムとシステムの転機作業などが考えられるかと思います。

各媒体へのフェア・プラン入稿はサイトコントローラーである程度解決してますので、サイトコントローラーで網羅できない雑務の範囲が短期的な対象にすると良いのではないかと。

もう少し進むと、WEB招待状と基幹システムのデータをつなぐなどもできるかと思います。

これが1つ目、DX事業としての収益源の確保。

2つ目は、先進企業と理想形を作って行くフェーズです。

このDXの理想形を最初から理解し、賛同してくれる企業は多くない。

リスクヘッジ型、事なかれ主義の組織では最初は動かないだろうと思います。

かなり大掛かりでチャレンジングな企画になるので、意思決定に慎重になる企業が多い気がします。

2022年~2025年くらいのタームで、理想形から逆算したロードマップを作り、β版を走らせて、共に創って行くカタチになるのではないかと。

まずは、個人情報を連携し、ワンスオンリーを実現し、データを集めて解析し、ワントゥーワンを創る。

ワンストップは全企業が自社の立ち位置から始めれば良いと思います。

今はまだそんなざっくりとしたロードマップしか見えていません。

まとめ

今日はウエディング業界のDXについて書きました。

半年もすると、経済産業省がもう少し具体的なアクションやロードマップを作ると思うので、それが見えてからウエディング業界×DXの理想形を考えなえして、ロードマップを描くでも良いと思います。

次のタイミングは経済産業省が来年度の予算取りを始める10月~12月頃、一般公開されるのは予算が国会を通った後、2021年3月~5月頃ではないかと思われます。

また、その頃に機会があれば、更新してみたいと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

本日はこのあたりで。
















この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?