She Loves You:Vol.06 さくらの花の咲くころに
「そっかぁ、もう1年になるのかぁ。」
夕方、郵便受けの中に封筒が入っていた。何かと思えば、高校の同窓会の案内状だった。こんな案内状を1枚1枚手書きしているとは、さすが会長だなと思った。
卒業式の1週間前、ホームルームの時間にみんなで決めた。まずは、同窓会長。体育系に走るか、それともまめそうな子を選ぶか意見が割れたけど、結局選ばれたのは国松君と絵里だった。国松君はずっと野球部で、クラスの男の子は名前の城太郎の一文字を取って「城」と呼んでいた。どうせこいつは野球以外に脳のない奴と決め付けてたら、何と立聖館大学に進学が決まってしまった。絵里はクラスで一番しっかりしてて、噂によると高校からまっすぐ帰って暇さえあれば勉強していると言われていた。要はクラスで一番まめな子で、こっちは国公立の雄とも言われている都大学に進学が決まっている。良く言えばお互いの欠点を補えそう、悪く言えば凸凹な同窓会長が選ばれたわけだ。
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