Yoshihiro Yamahata

普段は救急医をしています。DMATやJDRの一員として国内外の災害時には現場に赴きます…

Yoshihiro Yamahata

普段は救急医をしています。DMATやJDRの一員として国内外の災害時には現場に赴きます。学生時代はバックパッカーで、訪れた国・地域は約65。オペラ・オーケストラも好きで自分で歌ったりもする、そんな救急医です。

最近の記事

日本の新型コロナウイルス対応に活かせること〜ダイヤモンド・プリンセス号への対応から〜

ダイヤモンド・プリンセス号で起こったことは単なる特別な事件で終わらせる話ではありません。単なる個人の体験談でも終わりません。ここで得られたことは、これからの日本の新型コロナウイルス感染症への対応に行かせることも数多くあります。 キーワードは「うつらない、うつさない、うつさせない」  ダイヤモンド・プリンセス号の検疫では、閉鎖された空間にいる全ての人に対して新型コロナウイルスのPCR検査が行われました。この結果は稀有なデータです。世界中のどこにもこんなデータはありません。そ

    • 米国でのクルーズ船対応に関して

       下船をさせることを英断だ、と言う論調を見ますが、最初に確認された症例の発症日、それ以降のクルーズ日数、クルーに感染者が多いこと、などから考えると、すでに多数に感染していることが予想されます。と言うか感染しているでしょう。現段階で未症状の人は未感染で、マネジメントによって感染を減らせると考えるのはあまりにも楽観的だと思います。  その感染者数ですが、全数検査をすると、感染者数はダイヤモンドプリンセス号と大きく変わらない可能性があると思います。しかし無症候性感染者の割合を考え

      • COVID-19と戦う仲間に情報共有〜DP号対応から

         全国各地でPCR陽性の方が散発し、すでに治療にあたられているところ、数例が出現してこれからの流行に備えているところ、まだ未発生のところ、多々あると思います。  以下の内容は、ダイヤモンドプリンセス号に関わる医療支援活動の中で個人的に経験したことを共有するために記します。あくまで個人的な体験と感想です。すでに中国から多数の論文が出されているところですが、ダイヤモンドプリンセス号は、多人数の集団に対して、症状の有無に関わらず全例PCRを行った稀有な情報であると考え、一個人の経験

        • クルーズ船での新興感染症対応の困難さ②

          前回からの続きです。ここからが本題かもしれません。 オペレーションの困難さ ①動線確保(https://www.princesscruises.jp/pdf/deckplan-diamonnd_inter.pdf)  ダイヤモンドプリンセス号は大黒ふ頭に停泊し、岸壁に接岸していました。エレベーターが船首近く、中央付近、船尾近く3ヶ所にあり、それぞれ開口部がありますが、船尾の開口部は物資を搬入するための場所になっており、今回のオペレーションで上下船が可能な場所は2ヶ所に限られ

        日本の新型コロナウイルス対応に活かせること〜ダイヤモンド・プリンセス号への対応から〜

          クルーズ船での新興感染症対応の困難さ①

           以下の内容は、ダイヤモンドプリンセス号に関わる医療支援活動の中で個人的に経験・見聞したことを共有するために記します。いかにこの支援活動が困難なものであったかの一端でも伝わればと思い、一個人の経験ではありますが、生の声で伝えることに意味があると考え、発信します。なお、自分自身がその活動に携わっていないためこの文章では触れていませんが、検体採取の活動、DPATの活動、隔離されている各個人への薬剤の供給活動も様々な困難を伴ったことを申し添えます。文末に現時点で分かっている事実を付

          クルーズ船での新興感染症対応の困難さ①