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裁判傍聴:常習蓄犯窃盗その2

常習蓄犯窃盗(わ)第650号

元自衛隊。
被告は前科9犯。
今まで3回の懲役(窃盗が2回、器物破損1回)を受けている。
今回の事件は、鳥取刑務所出所して1ヶ月後の犯行である。

事件の内容。
玉野(株)東急ストアーで、稲荷寿司1パック¥678‐をジャンバーに入れて、店を出たところを捕まる。
刑務所の出所時に、70万を持っていたが、捕まった時の所持金は3円であった。

弁護人の陳述。
まだ嘴(くちばし)黄色い弁護人が、緊張しながらも張り切る。
『被告は、鳥取県の刑務所でイジメにあい、精神不安定で体調も悪くノイローゼです。
以前には書けた漢字も書け無くなっています!』


ほぅ、弁護人
頑張ってんね


本人尋問に入り、弁護人と被告のやり取りが始まる。
通常、それなりにリーサルを重ね、反省アピールする場面である。
本番はシナリオ道理に、サクッと終わるのが通常。

弁護人
『出所した時に、70万ありましたよね』

被告は堂々と
『長いことアレをしたことが無かったので使いました!』

弁護人
『!!!!……(汗)』

どうやら予想外の発言だったらしく、誰が見ても動揺を隠せず焦る弁護人。
おそらく、飲食で使ったと言う予定だったのかも知れない。

弁護人、焦りながら
『!!!……(汗)……あ……あなたは…………ま……またお金が無くなったら盗んでしまいますか?』

被告
『それは、ハッキリと分かりません!』


いやいやいや!
ここは嘘でも、2度としませんだろ!


弁護人、さすがに立て直すことができず、ため息まじり呟く
『……そうですか』

被告
『はい!』
とどめを刺す被告。


弁護人は勢いを失くし、お約束の最後の質問が出てこない。
そして資料をめくりながら
『え~……え~……え~……あ!出所後、どのように生活を立て直しますか?』


はい、良く言えました
誰か飴でもやってくれ


被告
『自衛隊年金が2ヶ月に1回13万貰えるのと、母親の遺産345万と、3年後に国民年金が入ってくるから、それで生活する』
やっとマトモな答えが言えた被告。
しかし弁護人は、魂が抜け憔悴(しょうすい)して質問を終えた。


そして検察官からの質問。
検察官は、第一声から語気つよく
『あなた、反省してませんよね!!』

被告
『いや……いやぁ……あのぉ……してます』

検察官
『あなた出所時に、70万以外にも母親の遺産を前金として28万も貰ってますよね!
それは、どうされたんですか!』

被告
『アレに使いました……』


どんだけ~
出所後1ヶ月で、合計98万もの大金を下半身に消費する。

検察官から、少しは欲望を押さえ、普通に生活をしなさいと怒られる。

そして最後は、裁判官からの質問。
かなり呆れた口調で
『前回も反省してます?』

被告
『はい』

裁判官、語気強く
『じゃあ、なんで盗みをするんですか!!』

被告
『いやぁ……あの~……』

通常、ここで被告を嗜(たしな)めるところなのだが、検察官と裁判官に普通にお叱りを受ける。
背中を丸め小さくなる被告。


判決は聞くまでも無く、常習蓄犯窃盗なので稲荷寿司1パックといえど、懲役を数年くらう。
被告にとって何が1番辛いって、また性欲を封印されることだろう。
刑務所で人としての反省よりも、性欲が満たされない欲求不満で、頭の中はエロ一色で刑期を終えそうである。

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