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[創作] 苺大福初めて物語 第802幕

老舗しにせ和菓子屋の若旦那と奥さんが、店先で話し込んでいる。

今日も、客が来ねえな?

最近は近所に、洋菓子屋ができたから、お客がみんなそっちへ行っちゃうのよ。

こちとら、商売あがったりだぜ。

とほほっ、なんか良いアイデアねえかなあ?

新商品を、考えなきゃなんねえ・・・

と、そこにもうすぐ5歳になる息子が、話しかけて来た。

父ちゃん、母ちゃん、僕の5歳の誕生日に、苺のショートケーキ買って。

冗談じゃねえ。俺んちは、和菓子屋なんだぞ。

洋菓子のケーキなんか、買えるか〜。

若旦那は、一旦は怒ってみたが、

まあ、息子の誕生日だからと、苺のショートケーキを買ってやった。

苺のショートケーキって、人気あるんだよなあ。

そりゃあ、ケーキの上に乗ってる苺が、魅力的だからよ。

苺のショートケーキを、美味しそうに頬張る息子を横目に。

あんた、あの苺で和菓子ができないかしら?

えっ、苺で和菓子だって?

そんなもん見たことねえぞ。

バカだねえ。今まで、見たことがないからって、作れないわけじゃないでしょ。

そんな和菓子ができたら、売れるんじゃない?

そうだな。いっちょ、作ってみっか。

俄然がぜん、やる気を出した若旦那。

来る日も、来る日も、試作に余念がない。

まずは、最中もなかに入れてみた。

うん、最中の皮が、苺の水分でしなしなになっちまうなあ。

羊羹ようかんは?

寒天が熱いから、苺がしなしなになっちまうだろ。

じゃあ、大福に入れてみたら?

あれ、案外上手く行きそうじゃねえか。

小豆餡あずきあんは、甘すぎねえ方が良いよなあ。

むしろ、塩餡か?

塩梅あんばいが、難しいんだよなあ。

白餡も、捨て難いしなあ・・・

なんて、四苦八苦しながら、ようやく苺大福が完成した。

物珍しさもあり、来る日も来る日も、店の前には長蛇の列が続いたということだ。

めでたし めでたし・・・

何てことが、あったとさ。知らんけど。🤣


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