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文章のルール①記号編【創作メモ】

文章を書く上での最低限のルールをまとめています。

小説のルール①では、文章を読み書きする上で使用する『記号』に焦点を当てました。

文章には様々な記号や言葉に名前が存在し、頻繁に使用します。

これらを使って文章を書くと表現の幅が広がり、読みやすい作品が出来上がります。

意外と知られていない使い方や記号の名前などあるかも?

しかし、覚えることがとても多いので、一つ一つ確実に読んでいただけると幸いです。

筆者もできるだけ理解しやすいよう執筆を配慮しました。


■約物(やくもの)とは?

約物(やくもの)とは、言語の記述に使用する際の記号の総称です。

言語によって使う記号は変わります。

例えば、英語は句点『。』ではなくピリオド『.』を使います。

日本語だけでなく様々な言語の記号を使って文章を表現できるようになったため、使い方を間違えてしまいがちになるのは気を付けたいところ。

しかし、善し悪しはあるものの、表現の幅が広がるのはとても喜ばしい事です。

この記事では約物ではなく普通に『記号』と表記しているのは、あまり約物という言葉自体、聞きなれないため今回は割愛しています。

■句点『。』

句点『。』とは文章の終わりに打つ記号のことです。

句点を打つ位置は意外と迷いますので、ルールを知って創作に活かしましょう!

・文末に単語の注釈・説明がある場合は()かっこの後ろに『。』を打つ

○:このオーディションには年齢制限が設けられている(20歳以上)。

○の例文

✕:このオーディションには年齢制限が設けられている。(20歳以上)
✕:このオーディションには年齢制限が設けられている(20歳以上。)

✕の例文

・出典・筆者名・クレジットなどを挿入するときは()かっこの前に『。』を打つ

○:今年の世界大会は日本で行われる予定だ。(○○サイト)

○の例文

✕:今年の世界大会は日本で行われる予定だ(○○サイト)。
✕:今年の世界大会は日本で行われる予定だ(○○サイト。)

✕の例文

()内の言葉が何を修飾しているかによって『。』を打つ位置が変わります。

単語を補足するなら前に、文章を補足するなら後に、つけることを意識すると分かりやすいと思います。

・!(感嘆符)や?(疑問符)が末尾にある場合『。』は要らない

!や?は『。』の代わりになるのでいちいち必要ありません。

○:な、なんだってそんなことに!?

○の例文

✕:な、なんだってそんなことに!?。

✕の例文

✕の例文は末尾に記号が多すぎですね。

・「」(鍵かっこ)の中の末尾に『。』は要らない

○:「おはよう。今日もいい天気だね」

○の例文

✕:「おはよう。今日もいい天気だね。」

✕の例文

キャラクターのセリフの時に用いられる「」(鍵かっこ)ですが、かっこで閉じる分には『。』は必要ありません。

『」』(鍵かっこ閉じる)が『。』の役割を果たしてくれます。

添削や校正されていない文章でよく見かけます。

意外と知られていないので、覚えておくことをオススメします。

■読点『、』

読点『、』とは文の意味の切れ目に打つ記号の事です。

これだけでは分かりにくいのでルールを元に理解していきましょう。

なんとなくで打ちがちな読点ですが、うまく活用すれば読みやすい文章ができるだけでなく、誤読を防ぐ効果もあります。

ぜひともルールを覚えておきたい記号です。

・主語の後に『、』を打つ。主語と述語を明確にする

○:忙しすぎて疲れた私は、帰って寝ることにした。

○の例文

✕:忙しすぎて疲れた私は帰って、寝ることにした。

✕の例文

○も✕も違和感がない文章に見えます。

しかし、主語と述語を明確に読点で分けておくと、私が(主語)帰って寝る(述語)という綺麗な文章が成り立ちます。

✕の文章では「帰って」が「私」に係る目的語・修飾語になります。

簡単な文章なら問題ありませんが、より複雑な文章になると応用が利かなくなるので、意識しておきたいものです。

・文と文を分けるときに『、』を打つ

○:私は執筆作業に入るためにパソコンを立ち上げ、それを待っている間に書く内容を確認した。

○の例文

✕:私は、執筆作業に入るために、パソコンを立ち上げ、それを待っている間に、書く内容を確認した。

✕の例文(駄目なわけではないですが『、』で区切りすぎているため逆に読みにくい点に注意)

✕の文章は『主語の後に読点を打つ』というルールに則っていますが、区切りが多すぎて何となく読みにくいです。

文章全体のバランスや読みやすさを考慮することも時には必要です。

主語と述語の短い文章であれば、主語の後に読点を打っても違和感がありませんが、文章が長ければ長いほど、文と文の区切りに読点を用いた方が、文章の流れが自然になります。

色々試してみて、ベストな位置を見つける柔軟性が必要になります。

・単語・言葉が並列な場合に『、』を打つ

○:イチゴ、スイカ、メロンは野菜に分類されている。

○の例文

✕:イチゴ、スイカ、メロン、は野菜に分類されている。

✕の例文(最後の並列の後に読点を付ける文章はあまり見たことないです笑)

・修飾語がどこにかかっているか分かりやすくする

例:私は食べながらテレビを見ている娘に注意をした。

食べているのは私? それとも娘?

例文では食べているのが私なのか? 娘なのか? と、両方の解釈が成り立ってしまいます。

そういう時は『、』をつけて誤読を防ぎましょう。

○:私は、食べながらテレビを見ている娘に注意をした。
○:私は食べながら、テレビを見ている娘に注意をした。

読点は大事!

・原因・理由・結果など『因果関係』を区別する時に使う

例:もしかして、なにか事件に巻き込まれたのだろうか?
例:子供が急に熱を出したため、今夜の会議を欠席致します。
例:電車の遅延なら、仕方ないよ。

文と文の関係性を分けるのに使うと良いです

もしかして、~ため、~なら等の因果関係を明確にするときに、文章を分けると見やすく、読みやすいです。

・逆接表現・接続助詞の後に使う

○:しかし、世の中悪い人間ばかりではないことは、君も知っているだろう?

○の例文

✕:しかし世の中悪い人間ばかりではないことは、君も知っているだろう?

✕の例文

しかし、ところが、それなのに等の逆接や接続助詞は単語としてではなく、単体で一つの文になると考えると分かりやすいです。

読点は『文と文を分ける』ときに用いるので、そのルールに則りましょう。

・連続する漢字、ひらがなを区切る

○:一生懸命、努力することを誓う。
○:ありのまま、なるがままに身を任せる。

○の例文

✕:一生懸命努力することを誓う。
✕:ありのままなるがままに身を任せる。

✕の例文(読めないわけではないが、読み手に負担をかける文章は避ける)

読点のルールはとても多くて細かいです。

文章の記号の中で最も感覚的で、執筆者のセンスが問われるところでもあります。

上手く活用する為に、他人が書いた文章を読んだり、自分で文章を書くことで自分だけの読みやすい表現が見つけましょう。

■感嘆符『!』

感嘆符『!』とは、感情が大きく動くときに用いる記号のことです。

驚愕・怒り・強調・命令・感動など、感情に関わる表現で用いられます。

雨垂れ(あまだれ)・エクスクラメーションマークとも言います。

例:なんて素晴らしい作品なんだ!
例:なんて素晴らしい作品なんだ。

!がないと素晴らしくなさそうです。

感嘆符がないと、不思議と読者に感動が伝わらないことが分かります。

逆に感情が読みにくいキャラクターには感嘆符を付けないでセリフを書くと表現として活きます。

■疑問符『?』

疑問符『?』とは、疑問文の末尾に『。』の代わりに用いられる記号です。

耳垂れ(みみだれ)・クエスチョンマークとも言います。

【重要】!(感嘆符)と?(疑問符)の後ろは一文字空白を打つ

!(感嘆符)と?(疑問符)のすぐ後ろの文字は、一文字空けるというルールが存在します。

小説を開いてみてください。空白があるはずです。

○:「いや、待てよ? ……成程! つまりどういうことだ?」
✕:「いや、待てよ?……成程!つまりどういうことだ?」

分けて書いたら分かりにくかったので、○✕例文を一緒にしました

違和感を感じにくいですが、ちゃんとした文章には実は空白があります。

言われてみれば、空白があった方が読みやすいことが分かります。

ちなみに『。』は会話文の中にあっても空白は要りません。

さらに、会話文末尾の『!』と『?』は鍵かっことの間に空白は要りません。

会話文中の『!』『?』にだけ、一文字空白が適用されると覚えましょう。

■三点リーダー『…』

…(三点リーダー)とは会話文につけて余韻を表現したり、沈黙や聞き取りづらい会話を表現する時に多用されます。

三点リーダーは点々が3つ1セットの記号で表現します。

・・・を変換すると、『…』になります。

割り算のあまりを表記する時や、省略にも使えます。

【追記】『・・・』と『…』は別物である

全角の『・』は中黒(なかぐろ)といいます。

『・』(中黒)は前後の言葉の区切りとして用います。

反対に『…』(三点リーダー)は前後の言葉を結びつける時に用います。

意味が真逆なので、基本的に三点リーダーの表現は、一文字で収まる『…』を用いるのがベターでしょう。

ついでに『。。。』等、句点を3つ並べた表記も避けましょう。

■ダッシュ記号『ー』(ダーシ)

『ー』(ダッシュ記号)とは、文章に余韻を持たせ、言葉を区切るときに用います。

使い方は『…』(三点リーダー)と同じです。

『だーし』と打つと、『–』と変換できます。

文章や会話を急に途切れさせたい時、場面が切り替わった時、強い感情や言葉や文章では表現できないような心の動きを表現したいときなどに用います。

例:「––––っ! 待っ––––––!」
  叫びをあげた刹那––––––––––––。

うっとおしいくらい使ってしまいがち

沈黙や緩やかな時間を表現する時は『…』(三点リーダー)を、突然の出来事や意識の途切れや場面転換などを表現する時は『–』(ダッシュ記号)を用いると使い分けやすいです。

【重要】『…』三点リーダーと『–』ダッシュ記号は偶数個!

三点リーダーとダッシュ記号は基本的に偶数個が原則です。

偶数個であれば、2個でも4個でも6個でも8個でも10個でもOK。

三点リーダー『……』
○:「……えーっと、おっしゃる意味が分からないのですが…………」
✕:「…えーっと、おっしゃる意味が分からないのですが………」

追記:三点リーダーもダッシュも元々、日本語にはない表現らしいですね。

ダッシュ『––』
○:「––そんなことがあったのですね。ご冥福をお祈り申し上げます」
✕:「–そんなことがあったのですね。ご冥福をお祈り申し上げます」

ダッシュは何個つながっているのか分かりにくいです。

■鍵かっこ『「」』

『「」』(鍵かっこ)とは、文章で会話を表現する時に用いる記号です。

物語の文章だけでなく、強調したい時、引用、タイトル名など文章の中に特別強調したい単語を表現する時に使われることが多いです。

例:「今日の晩飯何がいい?」
例:彼は「今日の晩飯何がいい?」と連絡してきた。

■丸かっこ『()』

『()』(丸かっこ)は補足説明や注釈、読みがなや別称などに用いられます。

この記事でも『()』は多用しているので、理解しやすいかと思います。

例:約物(やくもの)とは、言語の記述に使用する際の記号の総称です。

約物って言葉、どこで使うのだろうか?

■二重鍵かっこ『』

『』(二重鍵かっこ)は会話の中に別の会話を入れる表現です。

例:「ニュースでも『今日は一日中雨でしょう』って言ってたよ」
  彼女はお天気お姉さんの真似をしながら言った。

書籍や映画など、タイトルにも『』を用います。

例:私は休みの日に夏目漱石の『坊っちゃん』を読んだ。

追記:自分ルール

この記事でもうるさいくらいに『』(二重鍵かっこ)を使っています。

しかしながら、これは本来の正しい使い方ではありません。

それでも使う理由は単純に『強調したいから』。

自分ルールとして『』(二重鍵かっこ)を多用しています。

特にnoteでは色で文字を強調することができないため、『太字』と『』で差別するしかないというのも理由です。

ここまで、違和感なく読んでいただけたなら幸いです。

■まとめ

以上、文章における『記号』の最低限の知識でした。

文章を書くだけでも色んなルールがあり、使い方も人によって様々です。

しかしながら、あまりルールに囚われすぎずにとりあえず『書く』ことを重点に置いた方が良いと思います。

『記号』に関しては、『添削』や『校正』の時に直せば問題ありません。

そして、間違っていたとしても文章が良ければ許容される場合もあります。

一説では、誤字脱字が多い方が読まれやすいというデータもあるそうです。

とにかく書く! そうすれば記号は自然と覚えていくので、知らなかったことを知った『気づき』を大切にしていただければ幸いです。

■【おまけ】『打つ』と『書く』という表現について

この記事では基本、文字を『打つ』という表現を用いています。

文章において書くも打つも同じ意味なのですが、ペンを握って書いていないので、単純に『打つ』という表現を用いているだけです。

しかしながら、こんな『どちらでもいい』ような細やかな表現の違いも常日頃から考えて生活してみると、想像力が磨かれ、表現の幅が広がると考えます。

繊細な目で物事を真剣に観察する––––。

つまり、「この作者はどうしてこういう表現をしたのだろうか?」といったことを考えると、表現の奥深さや意図に気づくことが可能になります。

そして、何よりも『楽しい』です。

生きるとはそういうことなのだろうなぁ、と思ったり思わなかったりすると面白いかもしれません。

■【おまけ】規則があるから自由がある

ゲームシナリオ、脚本、ブログ、SNSなど文章で構成されている媒体は多種多様ですが、記号のルールに則っていないことも多いです。

三点リーダーが1個だけだったり、感嘆符の後に空白を空けなかったり、「」の最後に句点があったりなど、読者が許容しなければならないことがたくさんあります。

しかしながら、表現の幅を拡大するのにあまりルールに縛られる必要はないと考えます。

なぜなら、ルールがあるからこそそれを破り、自由に表現することができるからです。

基本を知って、そこからどうするのかは執筆者の自由です。

キャラクターの個性としてわざと三点リーダーを『。。。』と句点3つで表現しても、それはそれでありなのでは!? とも思います。(個人的見解)

ただ、読者が理解できなければ本末転倒なので、ルールを敷いたうえでルールを破るようにしましょう。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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